2010年 09月 26日
尖閣諸島問題が一気にこじれて民主党政権の腰砕けに終わってしまった。 てか、まだ問題は再燃する(再燃させる)可能性は十分にあるだろう。 3-4年前だったか、沖縄出身の中学・高校以来の友人2人と飲んだ。 そのときに、尖閣と沖縄の問題について話したことを思い出す。 彼らは、尖閣は日本領だし沖縄も日本であることを疑っていなかった。当たり前だが。 だが僕は、尖閣も沖縄も中国との間のグレーゾーンだと言った。 サンフランシスコ講和条約の締結前、すなわち日本が独立を回復する前に寝込み強盗のように武力占領された竹島は、江戸時代から日本が実効支配していて明白な日本領だが、尖閣は怪しい。 京都大学の井上清教授の論文「「尖閣」列島--釣魚諸島の史的解明」で指摘されている通り、琉球政府は尖閣を琉球領とはみなしておらず、日清戦争直前まで琉球を含めて日本が実効支配した歴史はない。 確か鄧小平だったと思うが、この井上説を中国首脳は把握しており、日本とのトップ会談の際にも触れている。中国はしっかりと戦略を練り、尖閣を狙っていたことは明々白々だった。 その手段が、問題の棚上げ、グレーゾーンの設定だと思う。境界線を明白にせず、相手国との力関係が逆転したと判断するや強硬手段で奪う。 ところが、、、グレーゾーンは尖閣だけではない。中国は沖縄もグレーゾーンと捉えていると思う。 中国は公式文書でも、公式発言でも沖縄を日本領土と認めたことはないはずだ。朝貢貿易の歴史を使って、琉球が中華帝国の一部であるとの主張を行って来ると思う。朝貢貿易を行っていたのは韓国もベトナムもそうなんだが、まー、チベットと同じようにするつもりだろう。 中国から見れば、米国にとってのキューバ、それ以上の脅威を感じる地政学的存在なんだから、手段を選ばずにやってくると思うべきでしょ? ・・・という話をしたら、彼らは「そしたら俺らはどうなるん?」というので、「中国の55番目だか56番目だかの少数民族になるんじゃない?」と答えた。彼らには冗談に聞こえたかもしれないが。 中国との付き合い方は、グレーゾーンを残さないことだと思う。曖昧さは侵略される余地を与えるだけだ。 その飲み会で僕が出した解決のための提案は、「中国が沖縄を日本領土と認めることを条件に、尖閣問題を国際司法裁判所にかける」ということだった。日中間のグレーゾーンをできるだけ小さくするために。たとえ裁判で負けても、紛争の種をなくすほうがどれだけ良かったか。そして沖縄の人々を守ることができた。 だが、、、そのチャンスはもうなくなったようだ。中国は司法裁判所にかけるという提案を逆手に取るかもしれない。中国がここまで大きくなったあとに問題解決に向かっても、圧力に屈したとの印象を内外に与えるだろう。 そもそも、中国の台頭と武力外交は見えていたのだから、将来を見据えた問題解決をするべきだった。 今回の船長無罪放免wは民主党の失策だが、尖閣問題を放置し続けたのは自民党政権だ。この問題については自民は批判する資格がないと思う。 中国が力の空白を埋めるために武力行使を躊躇しないことは、フィリピンから米軍が撤退した後にスプラトリー諸島に軍事進出したことからも明らか。真性バカのポッポが日米関係に亀裂を入れ、日中のGDPが逆転したチャンスを見事に活かしたといえる。 現状維持と権力に固執するばかりで、将来を見据えた判断ができない政治家を持ったことが不幸だ。 ■
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by guranobi
| 2010-09-26 17:49
| 中国
2010年 09月 26日
竹中正治氏は、外国為替はこう動く: これから10年の編者および1・2章の著者であり、5章「中国の台頭と人民元の将来」の著者は西村陽造氏でした。 もちろん、ご覧になっているわけがないでしょうが、ここにお詫びと訂正をさせていただきます。 改めて、西村氏の人民元に関する見解に概ね同意します。 ■
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by guranobi
| 2010-09-26 17:01
| 為替
2010年 09月 26日
最後に、竹中氏の論説に対する若干の反論を。 まず、バラッサ・サミュエルソン効果が2010年代に本格化するだろうとの見方には基本的に同意します。しかし、その効果は2010年代後半から2020年代にかけて見られるだろうと思います。 中国のベビーブーマーは国共内戦などの影響から日本よりも10年ほど遅れて生じているため、第2次ベビーブーマーの発生も10年ほど遅れている。新卒供給のピークは現在から10年代半ばにかけて発生し、10年代半ば以降、新卒の供給は次第に減少する。よって、バラッサ・サミュエルソン効果が顕在化するのは10年代後半から20年代にかけてになるだろうと僕は考えます。竹中氏との違いは効果発生の時期のささやかな違いです。 バラッサ・サミュエルソン効果とはおおまかに次のようなものです。 貿易財の生産性上昇は非貿易財よりも高いため、貿易財産業はより高い賃金を提示できる。しかし、労働市場の供給力に制約があるときには、貿易財産業が提示する賃金上昇は非貿易財での賃金をも引き上げる。非貿易財の生産性上昇は貿易財産業を下回るため、非貿易財産業は商品価格を引き上げざるを得ない。結果、非貿易財産業の物価上昇が経済全体の一般物価を引き上げる。 ここで、、、バラッサ・サミュエルソン効果が典型的に見られたのは日本であり、その結果、日本円の実質実効為替レートは90年代なかばまで趨勢的に上昇しました。しかし、その他の新興国、例えば、韓国、シンガポール、メキシコなどでは実質実効為替レートの上昇は見られていないのです。 ![]() ですから、中国においてバラッサ・サミュエルソン効果が起きる、ないしは人民元の実質為替の上昇が起きるとは限りません。バラッサ・サミュエルソン効果が実質実効為替レートに及ぼす影響は様々な検証があるようで、引き続き確認を要します。 もう1点は、人民元の国際化、決済通貨としての可能性に竹中氏は疑問を呈していらっしゃいますが、僕は予想以上に早いかもしれないと思います。 竹中氏が人民元の国際化に時間がかかるだろうと考える理由の1つは、貿易決済通貨としての人民元供給について外資系銀行が多くの制約を受けていることを挙げていらっしゃるようです。しかし、これは中国政府が大陸系銀行を支援するためだと考えれば、決して人民元国際化の制約にはならないように思います。まー、この点は解釈次第なのかもしれませんが。 すみません、酔っ払いながら書いているのでまとまりがない内容だったかもしれません。。。。 金利についてですが、固定相場制に近いフローティング・ペッグ制を取っている以上、人民元金利はは米ドル金利に相当程度、追随せざるを得ないと思います。そのため、金利差は資本移動のproxyにはならないと思います。この点もデータに基づく検証が必要な部分です。 あとは、、、もう少しデータの読み込みを行って記事を加えるかもしれませんが、、、ちょっと疲れました。 すみません、以上です。 ■
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by guranobi
| 2010-09-26 01:44
| 為替
2010年 09月 26日
人民元がフローティング・ペッグを維持しつつも、目先は人民元高を続けざるを得ない理由は他にも幾つか。 竹中氏の、準備通貨であるメリットを活かしてドルは持続的な下落を続けるだろう、との指摘は非常に興味深いのですが、これは中国から見ればある程度の経常収支黒字を続けることができるということです。もちろん、ASEANなどの競合国との相対的な競争力次第ですが。 しかし、日本に並ぶGDPに達した以上は外需主導の成長には限りがあり、米国の経常収支赤字に頼った成長を続けることは難しい。よって、人民元高を通じて内需主導の成長に転換することで持続的成長を担保するというのは春山さんも指摘しているとおりです。 また、中国は割安な人民元を維持することで経常収支黒字を確保する一方で、その外準増加圧力を緩和するために対外投資を奨励しています。 野村のレポートが指摘するところでは、中国の資本取引自由化に関する姿勢は 長期から→短期へ 流入から→流出へ 直接投資から→証券投資へ 機関投資家から→個人投資家へ というものです。 実際に中国は対外直接投資を急速に増やしています。 また、野村のレポートによればQDIIの残高がDFIIを上回っているようで、この点でも資金流出が進んでいます。 ![]() しかし、恐らくは中国が資本取引規制を撤廃した場合には、中国への資金流入が急増することになるでしょう。その際には再度、流入&機関投資家の流れが起きます。その動きが急激にならないように、相当程度、人民元を引き上げておく必要があるのではないかと思います。 ■
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by guranobi
| 2010-09-26 01:16
| 為替
2010年 09月 26日
次に人民元の過小評価の程度です。 中国の経常収支ないしは外貨準備増減は90年代前半には概ね均衡していました。このことを踏まえると、90年代前半の人民元の水準は均衡レベルにあったと見做せます。 人民元は94年の公定レート一本化以前に、93年に市中レート(調整センター・レート)が40%下落し、それによって90年代半ばの貿易収支はGDP比3%程度に高まっています。このことから、90年代半ばの人民元は40%程度過小評価されていたと考えることができます。 また、90年代前半を均衡水準と考えたときの米中PPIに基づくRMB/USDの相対購買力平価(相対PPP)は40%程度上昇しているはずですが、CPIに基づく実質実効為替レートは20%弱しか上昇していません。ドル円の例では、輸出物価ベースの相対PPPが実際の為替レートとの適合が最も高く、ついでPPIベースの相対PPP。CPIベースの相対PPPは最も説明力が低く、為替レートの実勢よりも割安にとどまる傾向にあります。 このことから、人民元は少なくとも、20%程度は過小評価されていると考えることができます。 あるいは、10年の貿易収支はGDP比3%弱に縮小していますが、足下の月次の貿易収支は09年と同水準の200億ドル/月にまで回復しています。これはGDP比では4%程度であり、均衡水準よりも人民元が相当程度、過小評価されていることをしめしています。 ![]() 以上の点から、人民元は20-30%、ないしはそれ以上に過小評価されていると考えるのが妥当だと思います。 話がそれますが、 The Balassa-Samuelson Relationship and the Renminbi によると、バラッサ・サミュエルソン効果によって、人民元の実質為替レートは年率2.8%上昇しなければならず、足下(2006年時点)の過小評価40%を加味すると4.8%/年の上昇が必要だそうです。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 野村のMOF委託レポートのなかで最も重要な情報の1つはこれでしょう。 人民元の自由化は円に対しておおよそ30年遅れているという指摘。 ![]() しかし、もし30年遅れているのならば73年のブレトンウッズ体制の崩壊に遅れて2003年には人民元が変動相場制に移行しているハズ。しかしそうなっていない理由は、日本の”失敗”に学んで中国が意図的に国内金融市場の拡充と金利自由化を先行させているためです。 ここで中国の短期金融市場の動向をアップデートすると以下のように。 中国の短期金融市場は足下でも急速な拡大を続けています。日本との比較で、債券のインターバンク現物取引の対GDP比を見ると、中国は10年において162%であるのに対して日本は300-350%程度と見られる。国債発行残高のGDP比率が中国20%、日本180%であることを考慮すると中国の短期金融市場は取引ボリュームの面では十分な発達を遂げていると考えることができます。 ![]() この点は僕の理解不足が多々あるとおもうのですが、中国は相当の短期金融市場の厚みを持ってきているのではないかと思います。 中国が他のエマージング市場と決定的に異なるのは、ボリュームではないかと。 小国の開放経済は、どれだけ頑健な資本市場・短期金融市場を持っていても投機資金の一方的な流入・流出に対抗することは難しい。しかし、米欧日のように絶対的なボリュームが大きい市場は、投機的な”仕掛け”に抗うことは、容易いことではないか。だとすると、中国は自国の人民元市場のボリュームを拡大することで相当程度、投機的な動きに対応できるのではないでしょうか。 中国の短期金融市場の急速な成長は、それだけ人民元の自由化・国際化の可能性を高めるものだと思います。 ■
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by guranobi
| 2010-09-26 00:50
| 為替
2010年 09月 25日
最初に、あまり考えがまとまっていない、というか苦手なw理論的な部分です。 オブズフェルド/テイラーによる国際金融のトリレンマは広く知られるところです。 ①完全自由な国際資本移動 ②固定相場制ないしは為替相場の安定 ③国内目標を実現するための独立した金融政策 この3つを同時に実現することはできないというのがその趣旨ですが、私はこのうちの2つを実現することは可能だと解釈していました。しかしそれは誤りで、2つを実現できるのは非常に限定された場合ではないかと思います。 中国/人民元になぞらえて、②固定相場制ないしはそれに準じるケースで考えると、②を採った場合には、97年のアジア通貨危機ないしは07サブプラ危機後のエマージング通貨の動揺などから、①完全自由な国際資本移動は困難になると考えるべきでしょう。 また、固定相場制のもとではマンデル・フレミングが示すとおりに財政政策は有効ですが、金融政策は効果がない、ないしは非常に限定されます。金融政策を緩和すると自国通貨が下落するため、それを買い支えると同時に外貨準備を取り崩し、自国通貨を吸収することになり、最初の金融緩和効果を相殺します。 すなわち、③の金融政策も、かなりの程度、①固定相場制に従属せざるを得ないのではないか。 これまでの中国は、 ①国際資本移動には制限を加え ②固定相場ないしはそれに準じた制度を維持し ③金融政策は固定相場に従属させる(受動的な金融政策) というものであり、 今後の人民元に関する中国の課題は、 ②為替相場の変動性を高めるかわりに ①国際資本移動を自由化するとともに ③独立した金融政策を確立すること であると思います。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ よくわかっていないまま書いているので、意味不明かもしれません。 以下、具体的に中国の数値を確認します。 1.人民銀行BS 人民銀行のBSについては、ちょっと古いこのレポートが参考になる部分もありますが、、、 加藤出:準備預金世界一の人民銀行が頭を悩ませる市場のスキル育成 人民銀行のBSは足下では逼迫の度合いを強めているように見えます。 下図は左が資産、右が負債で、上段が実数、下段が対GDP比率です。 外貨準備を外為特会に分離している日本とは違って、中国では人民銀行が外貨準備の主要な保有者であるため、人民銀行のBSは外準の増加に伴って急増しています。足下の6月時点では、人民銀行の資産のうち82%が外貨です。人民元の対ドル切り上げにともなって人民銀行は相当の資本不足になっているはずです。 また、対政府債券はその大部分がSWFへの資産移管に伴うものと推測されるので、これを含めれば実に資産の88%は外貨に関連します。 負債サイドを見ると、外準急増に伴って人民銀行が市中から資金を吸収し、不胎化を行っている姿が分かります。外準が急増し始めた03年には、預金準備率の若干の引き上げとともに、人民銀行債の発行によって市中から資金吸収を行っていました。しかし、人民銀行債には米ドルよりも高い金利を不利しなければならないこと、そして中国の金融市場が未成熟であることによって人民銀行債の発行も難しくなってきました。そのため06年以降は、より強制力の高い預金準備率の引き上げによって市中から資金を吸収しています。 つまり、中国における預金準備率の引き上げは金融引き締めのシグナルというよりも、外準の急増に対応した不胎化政策という側面が強いのです。 この結果、人民銀行の市中オペレーション(公開市場操作)は非常な困難に直面していると思われます。 野村のレポートによれば、そもそも中国における準備率操作は一定期間における平残ではなく、日々の積みによって行われているため、市中金利は変動しやすいそうです。準備預金が巨額に及んでいる一方で、人民銀行が保有する人民元建て資産が少ないため、売りオペによる資金吸収には制約があると思います。 本来ならば、割安な人民元水準を維持する以上は外貨準備が増加することは必然的なので、日本の外為特会のように別会計を設け、外準購入の原資は短期国債等によって市中から吸収すべきです。それによって自動的に不胎化する一方で、人民銀行が短期国債を購入すれば市中に成長通貨供給・資金供給を行うことができ、かつ人民銀行のBSをより健全なものにできるでしょう。 将来的に人民元の柔軟化・国際化を目指すのであれば、金融政策の独立性を確保するためにもそうすべきですし、いずれはそうなるのかもしれません。が、中国がそうしない理由はわかりません。 いずれにせよ、中国における不胎化は公開市場操作によるよりも、準備率変更によって行われるという非常に歪な構造に陥っています。この点も、人民元高を許容して外準を抑制する誘引になるでしょう。 ![]() このような人民銀行のBSの動向は、金融政策が固定相場制に従属していることの表れではないかと思います。準備率操作も量的規制ですし、また、貸出制限などの総量規制も量的規制です。預金準備ないしは貸出額≒マネーサプライ供給が主体的におこなれていない。 人民銀行が国務院の下部組織であり、金融政策が事実上国務院によって決定されているという構図も、固定相場制に適合した制度ではないかと思います。 ■
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by guranobi
| 2010-09-25 19:33
| 為替
2010年 09月 25日
お返事が遅くなり、申し訳ありません。 まだ途中なのですが、大まかな考えを。とは言っても、人さまの意見への追従に過ぎません。 この竹中正治氏の著作に最も説得力を感じました。経済学のバックグラウンドがしっかりしており、かつ、マーケットの経験も深い方のようです。中国元に関する部分は多くはないものの、その結論を支える論理はとてもしっかりしていると思います。 外国為替はこう動く: これから10年 これに、以前ご紹介した野村のMOF受託レポートによる実例の把握を加えることで人民元への理解が深まったように思います。 中国の人民元国際化に向けた動きに関する調査 竹中氏の他の著作では、人民元に直接関連するわけではありませんが、このレポートも興味深い。 グローバル・インバランスとドル基軸通貨体制の行方 米国の経常収支不均衡の趨勢的シフトとその要因 また、ベタですがクルーグマン/オブズフェルドの教科書も参考になりました。特に、18章「固定為替レートと外国為替介入」。 国際経済―理論と政策〈2〉国際マクロ経済学 クルーグマンについては、この論説も。 NYT:Capital Export, Elasticity Pessimism, and the Renminbi (Wonkish) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 竹中氏の著作での見解は、人民元はクローリング・ペッグ制を維持しつつ、2010年代には実質為替レートでは上昇するだろう、というのもです。 人民元の実質為替レートの上昇は、①名目為替レートの上昇、ないしは②国内インフレの(相対的な)上昇、のいずれかによって起きます。 人民元の実質為替レートの上昇が起きる理由は、①足元の人民元が大幅な過小評価であること、②2010年代に生じる生産年齢人口比率の低下によって余剰労働力人口の枯渇が始まり、バラッサ・サミュエルソン効果が顕在化するようになるため、です。 僕もこの見解に同意するものですが、次以降において若干の補足というか自分なりの見解を。 ■
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by guranobi
| 2010-09-25 16:27
| 為替
2010年 09月 20日
ご参考までに、BIS公表の実質実効為替レートのグラフを並べました。2005年=100 中国元、米ドルと一緒に。並べただけで、コメントもありません。 ![]() 追加。 同じグラフですが、基準年を2000-06年の平均=100としました。足元の水準をより適切に判断できるかと思い。97年および07年の危機の影響を除き、また、04年からの資源価格の上昇をある程度除くということで00-06年。エイヤーですが。 ![]() ■
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by guranobi
| 2010-09-20 11:08
| 為替
2010年 09月 18日
先月、1-3月までのFlow of fundsの状況を記事にしたけど、4-6月分が発表されたので概況をアップデート。 目につくところは、 - ABSの圧縮など、銀行部門の資産リストラは継続している模様。 - Home Equity Loanの削減も続いており、可処分所得に対する押し下げ効果は年率で▲0.6%(前期は▲1.0%) - 海外部門がエージェンシー債・GSE-MBSの買い手になった。8四半期ぶり。 最初にABSとCPの状況。上がABSで、下がCP ABSの圧縮はQ1ほどではないが粛々と続いている。負債サイドではABCP(前期比▲120億ドル)、社債(同▲970億ドル)ともに減少しているが、ABCPがほとんど残高が無くなってきたこともあり、社債削減が主体になっている。一方、資産サイドではモーゲージ(▲720億ドル)、エージェンシー債・GSE-MBS(▲290億ドル)と不動産関連が主体であり、消費者信用(▲120億ドル)は削減幅は少ない。ただし、削減率で見ると、モーゲージ ▲3.4%、消費者信用 ▲5.0%となっている。 CP市場の発行体を見ると、上掲ABCPが▲10.0%、銀行持ち株会社が▲3.4%、海外▲1.7%と軒並み減らしている一方で、非金融法人が+10.2%と2四半期連続で増やしている。 ![]() 前期Q1にABCPの発行残高が消費者信用を中心に急減し、その一方で銀行持ち株会社のCP発行が増えたのはオンバラが進んでいるためじゃないかと書いたが、実はFASBによってSPEのオフバラのルールが変わっていたらしい。 FASB Issues Statements 166 and 167 Pertaining to Securitizations and Special Purpose Entities こんなことも知らなかったとは・・・ 2010会計年からこのルールが適用されていて、その影響でFOFの数字も激変したということなんだろうが、、、 その影響が消費者信用を担保とするCPにしか現れていなくて、社債などの長期債務、あるいはモーゲージ担保のABSに影響が見られないということは、実は、このルール変更の影響はごく一部にしか及んでいなくて、モーゲージ担保のSPEなんかは未だ大部分がにオフバラされているのかしらん、と勘繰ってみたくなる。特に、ABSが持っている腐ったモーゲージなんかは、、、お目こぼし、なのかなぁ。 エージェンシー債・GSE-MBSで目についたのは、海外が保有を増やしたこと。「中国は外貨準備の構成を米ドルから日韓、欧州に分散している一方で、エージェンシー債も買っているよ~」という記事もあり、中国なのかな~。政治的な動きなのか、資産分散なのか、全く想像がつかん。けどまぁ、米ドルにとっては良いニュースかも。 WSJ: China’s Reserves Already Diverse, Citi Says ![]() 最後にHome Equity Loan HEL残高の可処分所得比率は8.8%と前期9.0%から低下。可処分所得に対する押し下げ効果は年率で▲0.6%と前期▲1.0%よりも幾分下がったが、まー、傾向は変わらず。 ![]() 以上っす ■
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by guranobi
| 2010-09-18 12:13
| 米国
2010年 09月 11日
すみません、あまり進んでません。。。 とりあえず、中国統計の解説で参考になるもののリスト。 amazon 詳説-中国GDP統計―MPSからSNAへ 著者の許憲春氏は中国国家統計局副局長。翻訳本の出版は09年4月と比較的新しいが、原書は氏の99-03年の論文集であるため、現在の05年基準GDP統計以前の情報。しかし、90年代なかばから、SNA準拠などによりGDPをはじめとする中国統計の精度が飛躍的に向上していること、それでもなお改善の余地が大きく残っていることがわかる。 GDPに関しては、①部門・業種の分類が粗い②サービス業(第3次産業)のカバレッジが低い③統計が事業所単位ではなく企業単位で集計されている、といった問題が指摘されている。以上の問題は05年基準で改善されたものの、少なからず残っているのではないか。 特に③事業所統計が使われていない(統計がない?)というのは驚きで、省・市別の統計と齟齬をきたすのは当然。また、業種別分析の精度が低い、企業内の事業(運輸など)が把握されていないといった問題も。 許憲春:中国のGDP統計 於:京大21世紀COEシンポジウム 以下は本書の各章に対応するもの。埼玉大HPからPDFダウンロードできるがリンク貼れず。ググられたし -許憲春:『中国国民経済計算体系(試行案)』の改定について -許憲春:中国経済の国際収支分析 特に後者は中国の国際収支と人民元について関心があればお読みになることを薦める。中国の統計部門は分析とともに政策提言も行うようなので、中国政府の考えが垣間見える、、、気がするw 本書とは直接関連しないが、同様に以下のレポートをダウンロードできる。 李潔氏は本書の翻訳者の1人。 -李潔:中国のGDP統計と経済センサスについて -李潔:中国の就業者統計について amazon:中国における経済政策決定メカニズム―景気過熱、金融改革、人民元はどうなるのか 著者は財務省より在中日本大使館参事官として00-04年に駐在し、その知見を踏まえて非常に広範かつ有益な情報をわかりやすく伝えている。05年出版だが、中国の制度、人材について幅広く詳細に伝えているため今なお有効な情報を与えてくれる。たとえば、p30にリストされている中国の有力エコノミストで検索すれば、中国政府に近い人々の考えが見つけられる。 マクロ経済全般 呉敬璉 呉敬琏 国務院発展研究中心研究員 王洛林 前中国社会科学院副院長 林毅夫 北京大学中国経済研究中心所長→世銀チーフエコノミスト 樊綱 樊纲 国民経済研究所長 胡鞍鋼 清華大学国情研究中心主任 陳東琪 国家発展改革委員会経済研究所長 易綱 易纲 人民銀行行長助理→人民銀行副総裁、兼中国国家外貨管理局長 金 融 余永定 社会科学院世界経済政治研究所長 謝平 中央外準投資公社社長 李楊 社会科学院金融研究所長 財 政 賈康 財政部財政科学研究所長 高培勇 社会科学院財貿研究所副所長 蘇明 財政部財政科学研究所副所長 農 業 陳錫文 共産党中央財経指導小組弁公室副主任 韓俊 国務院発展研究中心農村部部長 貿易・国際経済 江小涓 杜会科学院財貿研究所長 張燕生 国家発展改革委員会対外経済研究所長 隆国強 国務院発展研究中心対外経済研究部副部長 アジア・日本経済 張蘊嶺 社会科学院アジア太平洋研究所長 趙晋平 国務院発展研究中心対外経済研究部副部長 張淑英 社会科学院日本研究所線済室主任 財務省の海外駐在ってレベルが桁違いの印象だが。特に駐DC、北京は。 大西氏の他のペーパーではこれ。中国財政・税制に関する大著。分量大杉w 大西靖:中国財政・税制の現状と展望 PRIディスカッションペーパー 国家外貨管理局の年報。統計のみならず、中国政府の通貨・外国収支に関する公式見解。 中国外貨管理年報2009 季刊中国資本市場研究 リストを順次、追加するかもしれません。 ■
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by guranobi
| 2010-09-11 10:50
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