2010年 10月 02日
次にインカム・リターンを見る。 インカム・リターンは(金利・配当等の)所得受取/対外資産・負債残高で計算する。 先に述べたとおり、インカム・リターンは所得収支として経常収支に含まれている。そのため累積経常収支とIIPの差にはインカム・リターンは関係ない。だけど、間接的には関係していると思う。 詳しくは調べていないんだがw、インカム・リターンが高い資産は時価評価においても「のれん」などで高く評価されるだろう。特に、時価が取れない資産、例えばFDI(海外直接投資, Foreign Direct Investments)の評価にはインカム・リターンが関係するんだと思う。 計算に際してデリバティブの扱いにちょっと迷いました。デリバティブは05年から計上されていて、リーターンを左右する。市場金利との比較から、今回はデリバティブを含めてで計算しました。金利収入を生まないであろう金準備や、ドル紙幣、さらにはSDR、IMF預け金は除外。SDR、IMFについては利息があるのかもしれないが、金額自体が小さいので全体に影響はほぼない。 その結果は、これです。分かりにくいでしょうけど、米国資産のインカム・リターンが米国負債(外国の対米投資)を安定的に上回っています。右側を見ると、インカム・リターン格差は70-80年代と比較すると幾分低下(77-93年平均 2.0%→94-10年 1.3%)していますが、90年代からは横ばいで安定している。 また、為替との関係は、名目実効ドルとの相関性が-0.6766と比較的高い一方、EUR/USDとの相関性は-0.1845とあまり高くはない。 次に、米国の所得収支の分類に従って、インカム・リターンについてもFDI、その他民間投資、政府、の3つにわける。すると、リターン格差を産み出しているのが主に米国の高い対外FDIリターンであることがわかる。 ・・・てか、竹中先生はじめ各レポートが指摘していることなんだがw ま、続けましょう。 この資産・負債それぞれに対する寄与度の差をとって、リターン格差の要因を見ると以下のとおり。 FDIのリターン格差が、インカム・リターンの格差のほとんどを説明できている。また、政府部門のマイナス寄与は米国債を保有する外国への支払いによるものだが、主に米国金利の低下に伴ってマイナス寄与度が小さくなってきている。これも、米国のインカム・リターン格差を維持する要因となっている。 ちなみに、これが資産・負債の構成割合の推移(ただし、デリバティブ除き)。米国の対外資産のうち、FDIは70年代後半の50%超から25%程度に下がっている。この程度の資産がインカム・リターン格差のほとんどを生み出していることは驚き。また、対外資産のうち株式の比率が高まっており、これがキャピタル・ゲインのうちの価格効果を生み出していると思われる。
by guranobi
| 2010-10-02 16:32
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