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2011年 01月 20日

貨幣の流通速度と株価の関係

皆様、お久しぶりです。
ずいぶん遅くなりましたが、今年もよい年でありますように。

さほど重要とは思えない話ですが。。。

デフレ脱却国民会議で岩田規久男先生が貨幣の流通速度(Velocity)と貸出の関係に言及されていました。まず貨幣の流通速度が増えて、企業が内部資金で賄えなくなってから初めて外部資金=貸出の需要が増えるのだと仰っていました。全くもってその通りで、今更このことに気付かされる自分の勉強不足を恥じるばかりです。

とすると、名目GDPの伸びがマネーの伸びを上回る状況がしばらく続いてから、初めて貸出が本格的に増加するということ。

そこで、米国の貨幣の流通速度と商工業向け貸出(C&I loan, 前年比)を確認してみるとこんな感じ。
流通速度は08年央から09年にかけて急落しており、これには名目GDPの下落とマネーの増加双方が影響している。

過去の事例を見ると、景気後退期には貨幣の流通速度が概ね低下し、景気回復初期には概ね1~2年の間上昇する。そして貨幣の流通速度が上昇し始めて半年から1年ほど遅れて、C&Iローンの前年比の伸びが高まる傾向が認められる。ただし、ここではC&Iローンを前年比で測っているためにこうしたラグが生じているのかもしれない。
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マネー(ここではM2)の伸びの内訳をざっと見ると、リーマン危機の後にM1が急増した一方で、M1以外のM2はやや遅れて09年後半に伸びが鈍化した。

仮に、(以前の記事で見たように)今後デフレ懸念が本格的に高まるような状況になれば名目GDPの伸びはせいぜい4%程度に留まるだろうから、貨幣の流通速度が上昇するようなケースではマネーの伸びはこれを下回ることになる。あるいは、名目GDPが比較的高い伸びに回帰するまでは、貨幣の流通速度は更に低下し続けるだろう。
貨幣の流通速度は足下2四半期に渡って僅かに再低下しており、今後の動向に注目したいところ。
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ところで、貨幣の流通速度は名目GDPをマネーで割った値なので相場とも何らかの関係があるのでは?、と考えて、S&P500のPEを貨幣の流通速度と長期金利を使って最小二乗法で推計した。
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ヒジョーにシンプルな推計式なのに、adj_R^2が0.75と結構高い。ただし、D.W.比が0.12と非常に高い正の系列相関が認められるので、まぁ、参考程度にしかならんだろうがw
長期金利の係数がマイナスなのはいいとして、流通速度の係数がプラスなんですよね。流通速度=名目GDP/マネーからフツーに考えると、マネーとPEはプラスの関係→貨幣の流通速度とPEはマイナスの関係のはずなんだが。。。まぁ、因果関係がどっちに向いているのかも色々考えられるところなので、深くは追求しないw
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ここで、貨幣の流通速度と長期金利に仮定の数字を置いて、S&P500のPEの推計値を伸ばしてみる。
名目GDPは前回の雇用・賃金動向の記事から、11年4.0%、12年3.75%、13年4.0%、14年4.5%と置き、名目長期金利はこの数値を下回るように設定した。依然としてデフレ脱却を要する局面であり、名目GDPを下回る長期金利が続くだろうと僕は考えているわけです。

これによると、足下のPE推計値22.7倍(実際の予想PEは22.0倍)が、13年初には26.1倍に上昇することに。貨幣の流通速度が過去の景気回復初期と同様のペースで上昇すると想定したことと、長期金利が更に低下すると置いたので、まー、こういう結果になるのは仕方がない。
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このような、いい加減な推計式とその延長を示したのは、僕が持っている米国景気と相場のイメージに合うからです。QE2を採用しつつも、高失業率が続くためにデフレ懸念は逆に本格化するだろう。そのために長短金利はブル・スティープするだろう。一方で、実質成長率は3.0~3.5%程度の成長を見せるだろうから、貨幣の流通速度は緩やかに上昇し、徐々に資金需要が高まり始める。これらはいずれも株価にはプラスに働くだろう。

まー、証券会社とかの見通しとたぶん大差ないでしょうけど。。。

日本や他の先進国、エマージングにおける関係とかも見てみたいのですが、とりあえず。
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# by guranobi | 2011-01-20 22:57 | 米国
2010年 12月 31日

良い新年をお迎えください

皆様、今年もありがとうございました。
今年の前半はほとんどお休みし復活後も休みがちでしたのに、ご覧いただきそして示唆を頂いた皆様に御礼を申し上げます。

休みがちではありましたが、幅広い分野を多少は掘り下げて行けたと思います。タイヤ業界、天然ガス、人民元と中国の金融政策、IIP(International Investment Position)、日本の財政動向、米国のB/S調整と金融政策、、、Doblogの頃に比べると頻度は落ちましたが、思考の土台となるようなリサーチができたと思っています。

今年一番の悔恨は現代重工業を買わなかったことですね~ LNG輸送船はすでに韓国が最先端にあるらしいことは昨年調べていたのに、そこから先を調べずにタイミングを逃した。リサーチの意味がねぇ。。。

エキサイトの検索キーワードによると「天然ガス」でこちらに来る方が結構多いことにちょっと驚いています。一読でおわかりでしょうが、資源関係の経験も全くないど素人の考えですw 出来る限りソースは提示するように心がけていますので、何らかの参考になれば幸いですが。

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新年も皆様にとってよい一年でありますように。

guranobi
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# by guranobi | 2010-12-31 19:44
2010年 12月 29日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向⑤・・・おまけ

なんと、Calculated Risk氏も労働参加率の記事を書いていらっしゃいましたよ。

CR: Labor Force Participation Rate: What will happen?

似たようなことやってんなーw
まぁ、経済動向や金融政策を予想するなら当然っちゃ、当然なんだが。

2015年で66%か。65%なら十分にあり得るんだが、大胆な予想。わずか1%の違いだけど、デフレとインフレの境目にある状況では、結構、シナリオに与える影響は大きいのです。

明らかなのは、彼我の生産性の違いですねw
相変わらず分析のレベルと量がとんでもないぜよ。

ご参考までの紹介でした。
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# by guranobi | 2010-12-29 23:33 | 米国
2010年 12月 28日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向④・・・シナリオ

最後に、実質GDPのシナリオごとに予想される雇用・物価動向を確認しましょう。実質GDPの前期比年率の伸び率が、+3.25%、3.75%、+4.25%、そして+2.75%のときの推移です。

各機関の見通しのように+3.25%程度の成長率では、デフレ圧力の顕在化は避けられないように思います。11年における雇用者数の月平均増加数は+15万人程度で、失業率は11年末で9.6%、12年末でも8.8%にとどまり、この間、賃金上昇率の低下が続き、ULCは12年から長期間のマイナスに至ります。

仮に+4.25%程度で推移すれば11年の雇用増加数は月平均+25万人程度、失業率は11年末8.9%、12年末には7.3%程度に。賃金上昇率は13年前半の+1%程度でボトムを打ち、ULCもかろうじてゼロ程度から反転。デフレ回避に成功するパターン。

+2.75%程度の成長率では、18年になってもデフレ脱却の目処も立たない。日本の失われた20年に至るパターンです。
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これまでブログで書いてきたとおり、家計のバランスシート調整には14年くらいまで掛かると思われますし、また、銀行部門の不良債権処理が遅々として進まない場合には金融部門の機能不全も需要創出の足かせとなり得ます。
目先、11-12年は+3.25%から+3.50%程度の成長にとどまり、バランスシート調整が概ね終了するであろう14年あたりから+4%を大きく上回る成長を比較的長期間に渡って続けるという感じじゃないかと、今のところは思う次第。

債券市場の展望としては、ある程度の成長率が見られつつもデフレ・リスクが高まる展開なので、実質金利は比較的安定する一方で、BEIの低下が特に短-中期セクターにおいて見られると思料。よって、再びブル・スティープの展開を予想します。

株は、、、わかんねーなー。今年同様にボラの高い展開ながらも、カネ余り相場継続でいいんじゃないかな?
追加・・・売りたくて仕方がない原油だが金余り継続なので120ドルくらいまで上昇を続けると勝手に思う。

注目点は賃金動向ですね。
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# by guranobi | 2010-12-28 20:53 | 米国
2010年 12月 28日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向③・・・労働参加率

需要増加によってどの程度の雇用が生み出されるのか、そして失業率の推移はどうなるかを考えるためには労働参加率を考慮しなければなりません。

就業者数+失業者数=労働力人口
失業率=失業者数/労働力人口
労働参加率=労働力人口/人口

労働参加率は、(生産年齢)人口のうち労働市場に参入する意志を持った人の割合を示しています。
詳しい考察は、例えばサンフランシスコ連銀のレポートなどをご覧ください。
SF-Fed: Labor Force Participation and the Future Path of Unemployment
ロイター:景気後退で職失った人の求職再開が失業率低下ペースを左右=米SF地区連銀

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米国の労働参加率を年齢階層別(5歳区分、男女計)で見たもの。年齢別に見ると、労働参加率には90年代からの趨勢が伺える。
①若年層の労働参加率が趨勢的に低下している。
②中年層の労働参加率も趨勢的に低下している。
③高年齢層の労働参加率は逆に上昇している。
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SF-Fedのレポートではティーンエージャーの労働参加率の低下は進学率の上昇(と在学者の就労率≒アルバイトの低下)によるものだとしている。しかし、恐らくは20代の労働参加率の低下も、そしてもしかしたら30代前半の労働参加率の低下の一部も進学率の上昇によるものだと思う。
特に16-34歳の男性の場合には進学率の説明力は有意に高い。女性の進学率の有意性は25歳以上のケースで低下するが、これは90年代半ばまで女性の社会進出が継続して高まっていたためじゃないかと思う。
ちなみに、ここで取り上げている”進学率”は正確には卒業率?(Earned Degrees)であり、ソースはStatistical Abstract of the United States。この数値には海外からの留学生が含まれている可能性があるが、それは気にしないw(たぶん留学生は含まないが、なんらかのデータの重複はあるかも)。
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また、高齢者の労働参加率が上昇している理由については、SF-Fedのレポートは高齢者の体力の向上や年金受給額の引き上げ(受給開始年齢が遅いほど年間受給額が増加する=日本と同じ)、医療費負担の高まり、などを指摘している。だが、これらの要因以上に重要なのはIT化の進展ではないかと思う。なぜなら、60歳以上の全ての世代の労働参加率の上昇が90年代の半ばから始まっており、その後趨勢的に上昇を続けているから。IT化の進展によって体力は労働の制約とはならなくなり、あるいは在宅勤務を通じて労働供給が可能となれば通勤の難しさも制約とはならなくなるだろう。社会でPCやネットに触れてきた世代が高齢者になるとともに、高齢者の労働参加率の上昇傾向は続くだろうと考える。

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また、人口構成の高齢化そのものが米国全体での労働参加率の低下を引き起こしている。日本ほどではないが米国でも高齢化が進んでおり、目先はさらに進む見込み。そして、上昇傾向にあるとはいえ高齢者の労働参加率は中年層のそれよりも低いため、高齢化が進むほどに労働参加率は低下する。
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詳しい説明は省くけど、年齢別の労働参加率を2007年時点の数値に固定したり、労働参加率と人口構成の変化を累積したりして高齢化による労働参加率の低下を計測すると、92年から10年までの期間で▲1.5%pほどになる。また、今回の景気後退に相当する07年末から10年までの労働参加率の低下▲1.5%pのうち、▲0.5%pほどが高齢化によるものと計測される。今後は高齢化が幾分加速することもあって、年間▲0.2%pほど労働参加率は趨勢的に低下する(景気変動要因を除く)。
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さらに詳しい説明は省くけどw、性別・年齢階層別の労働参加率を失業率、進学率、男女の賃金格差、95年屈折パターンのトレンド、実質最低賃金を使って推計し、その延長をナメナメ修正を加えて、全体の労働参加率を求めるとこんな感じに。
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こいつをもとに失業率を計算して、最初の賃金上昇率の加速度との相関に繋げたという訳っす。

なんか、、、無駄な努力な気がしてきた。。。
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# by guranobi | 2010-12-28 17:30 | 米国
2010年 12月 28日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向②・・・労働生産性

前の記事で見たとおり、ULCを予想するためには労働生産性の仮定を置かなければなりません。生産性の決定要因は、教育や人口・産業構成など様々な仮説があるようですが、たぶん未だに確たる説明は得られていないと思います。なので、下手に推計するよりもトレンドを見たほうが適切かと思います。ま、その方が楽ですしねw

このグラフは米国の労働生産性の推移を対数グラフで見たものです。米国の労働生産性は明らかに長期的なトレンドを示しており、そして戦後の間に幾つかの屈折点があります。おおまかに言って、73年に労働生産性上昇率は低下、97年に上昇、そして04年に再び低下している。景気動向に短期的に左右されることはあっても、このトレンドの変化は(短期的な)景気循環とは無関係であるように思います。
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また、労働投入の他に資本投入も考慮した全要素生産性(MFP)で見ても、同様の時期にトレンドの転換が見られます。
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期間を少し短縮して80年以降のグラフです。紫色の期間はいわゆるドットコム・バブルの時期で、生産性革命!?とか言われていましたね。この生産性上昇率の加速が企業収益を押し上げ、バブルを引き起こし、そしてサプライサイド・ショックから02年ころのデフレ懸念を生みました。そして、デフレ懸念に対応した利下げと04年からの生産性上昇率の下方屈折がより不健全なサブプラ問題に繋がった、という解釈もできるかもしれません。

ここで注目したいのは09年の労働生産性の大幅な上昇です。04年以降のトレンドから大きく逸脱するほどの生産性の上昇が見られている。これが新たな転換なのか、それとも一時的なジャンプに過ぎないのか・・・
もしこれが新たなトレンド転換ならば、生産性上昇と企業収益の拡大、そして非常に長期間に渡るであろう超金融緩和の組み合わせが予想されるので、米国株のバブルが再び?というシナリオもあり得る。が、同時にサプライサイド・ショックからデフレがより深刻化することにもなる。
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そこで、業種ごとの付加価値額と労働投入量をもとに要因分析を行ったグラフがこれです。上が前期比年率、下が前年比。GDPと付加価値額のカバレッジの違いやデフレーターの設定の仕方からやや説明力は劣りますが、おおまかな内訳は伺えます。これによると、09年の労働生産性上昇率のうちおよそ半分は(不動産を含めた)金融セクターから生じている。一方で、製造業、卸売業、情報などの幅広い業種でも労働生産性の高い伸びが見られていた。
09年の非常に高い労働生産性の伸びは金融セクターの雇用削減に負う面が大きいようだが、幅広い業種でも高い伸びが見られているため、生産性トレンドが転換した可能性もあながち否定できない。その場合、クラウド・コンピューティングやiPadの企業活用など、IT活用の深化がストーリーとして考えられます。まぁ、今後の状況を要確認といったところなのです。
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そして、今回の予想では労働生産性の伸びを低めの+1%としました。その理由は、09年のジャンプを深刻な景気後退に伴う一時的なものと考えたからです。04年以降のトレンドに徐々に回帰していくとすると、低めの伸びににとどまる。どっちに転ぶかはわからんが。。。
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# by guranobi | 2010-12-28 14:54 | 米国
2010年 12月 27日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向①

来年以降の米国経済の動向を考えてみました。面白い見通しになるかもしれんなーとワクワクしながらやってみたのですが、ありきたりの、ツマンネー内容でちょっと気落ちしています。
まぁ、それでも一応まとめましょう。

今回の予想もかなり手抜きです。各機関のGDP見通しがだいたい+3%強らしいので、そのときの雇用や物価動向はどうなるだろうか、ということを考えました。

その結果、実質GDPが年率+3.25%で推移する場合には12年から17年にかけて単位労働コスト(ULC)がマイナスで推移し、デフレ圧力は今以上に顕在化することに。ULCがマイナスにならないためには実質GDPが+4.25%以上で成長しなければならないが、そのペースを続けると16年以降のULCは+2%を超えて加速する。恐らくはここらへんの数字が米国のデフレとインフレの境目になるんじゃないかな~と思った次第。
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このような結論に至る理由のうちで最も重要なのは、時間あたり賃金の上昇率の変化(加速度)と失業率の関係です。このグラフは65年以降の四半期ベースの両者の関係をプロットしたもので、赤い○が直近の10年Q3(7-9月期)です。近似線がy軸(賃金の加速度)の0と交差するのは、x軸(失業率)が概ね6%の水準なので、失業率が6%を上回れば賃金上昇率(ここでは前年同期比)は前年よりも低下する。実質GDPが+3.25%で推移した場合に失業率が6%を下回るのは15年なかばなので、それまでは賃金上昇率が低下する。
今回の試算では、失業率にかかる係数をこのグラフ通りではなく、3/4にしています。つまり、Y=▲0.2852Xではなく、Y=▲0.2139Xに変更している。その理由は、直近までの推移が傾向線よりもややモデレートな水準にあること、QE2の効果、ゼロ以下での賃金の硬直性などを考慮したためです。もし、65年以降の両者の相関をそのままあてはめるとよりシビアなデフレ局面を示す数値になります。
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時系列での両者の関係を見るとこんな感じに。加速度の推計値はわりと賃金動向を正確に示していると思います。賃金上昇率は最も低い時でもゼロ近辺にとどまりますが、労働生産性がある程度のプラス(今回は+1%と置いた。理由は後ほど)ならば、ULCはマイナスになる(ULC=時間あたり報酬-労働生産性)ので、最初のグラフような結果になるわけです。
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次の記事では、このような結論に至った他の要因、労働生産性や労働参加率などについて若干の補足を。

たぶん、、、似たようなことは各調査機関が出していると思うんですが、最近は経済レポートもろくに読んでいないので重複があったらすみません。
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# by guranobi | 2010-12-27 21:26 | 米国
2010年 12月 16日

11月FOMC後の米債金利の上昇

もちろん債券もど素人なので思いつきでしかないんだが、以前の記事でこう書いた。

中期ゾーンは実質金利も期待インフレも低すぎると思うので、ある程度評価される内容のQE2が出てくれば中期の金利が上昇しながらベア・フラットニングしていくんじゃないかと思うけど。

で、偶然にもそういうことが起きたようだw
11/3のFOMCから現在までの金利変化は、5年+97bp, 10年+82bp, 20年+61bp, 30年+45bpと中期ゾーンを中心にベアフラットしている。BEIは5年+18bp, 10年+5bp, 30年▲16bpとこちらもフラット化。
結局、2番底懸念、デフレ懸念が強すぎて中期ゾーンの実質金利が▲0.5%、BEIが+1.2%と低下しすぎていたレベルからの水準訂正が起き、それに引っ張られるように長期ゾーンも売られたのだと僕は解釈する。これまでのところはQE2の失敗と見るよりも、QE2に対する信認の表れだと思う。皮肉な話ではあるけど。
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QE2の真価が問われるのは行き過ぎた低金利の水準訂正が行われた後、すなわちこれからで、国債利回りで言えば長期金利がこれ以上上昇するのは好ましくない。短期も、QE2が少なくとも2年は維持されると考えれば、3-5年の金利水準はちと高めの印象。
前回、最後の利下げとなった2003年7月にも短期金利の上昇が見られた。たぶん、追加利下げを折り込み過ぎていたために起きた修正局面だと思うが、このときと同様に今回も水準訂正後にじわじわと短期金利も下がっていくんじゃないかな?カーブはこっから再び小幅のスティープ化に向かうんじゃないかと。
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また、国債利回りだけじゃなく、その他の資産の動向も重要。株価はモチロンのこと、社債、モーゲージ、地方債などの対国債スプレッドが潰れていくかどうかも大事。社債、モーゲージは11月FOMC後、あるいは8月ジャクソン・ホールの講演後、スプレッドが潰れてきている。だが、地方債は不穏な動き。。。
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# by guranobi | 2010-12-16 00:37 | 米国
2010年 12月 13日

2010Q3 米国Flow of funds

米国のFlow of fundsが発表されました。あまり変化はなかったと思いますが、気づいた点をごくごく簡単に。

まず米国債の保有状況ですが、海外の保有意欲は活発ですね。前回教えてもらったTICデータによると英国(88 bil)と日本(80 bil)の買いがメインのようで、英国経由のオイルマネー?中国かなぁ。中国の(直接的な)買いも23 bil ほどあるが、多くはない。
Monetary AuthorityすなわちFEDが再び買い手となっているが、これは次に見るMBS・エージェンシー債の減少見合いの買いだろう。また、家計/NPOの買いが細っているのは"質への逃避"が収まりつつあるのかもしれない。
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つづいてエージェンシー債およびエージェンシーMBSの保有状況。
FEDの保有が減少しているのはもちろん売却したわけじゃなく、期限前償還によるもの。また、投信(Mutual Fund)の買いが加速しているように見えること、そして家計/NPOが水準は極めて低いが保有を増やし始めていることも市場環境が落ち着いてきていることの現れかも。色メガネですか?w
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社債・外債の保有者(左側)と発行体(右側)。ここにはサブプラ関連の汚物がおそらくは含まれていて、右側の発行体のうちABS発行体によるものがそれ。着実に減っているがまだまだ243 bilも残っている。
一方で非金融法人の発行は引き続き活況で(右上)、これに対応するように商業銀行の保有が大幅に増えている。Q1に見られたような会計制度変更に伴う特殊要因もなさそうなので、これは純増と考えていいだろう。腐臭を抱えつつも銀行部門がリスクテイクし始めているのならばQE2が成功する兆しかもしれない。銀行のcharge off rateも下がっているみたいだし、11月までのデータを見ると資産圧縮もようやく終わったのかもしれない。11月には国債・エージェンシー債の保有が減ったのかぁ。何ヶ月ぶりの減少なんだろう?
この社債増加の動きが貸し出し増に波及し、そして保険・年金などの限界的金融部門の社債保有が増加に転じるならばさらに心強い。
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モーゲージの保有者の内訳。商業銀行は引き続きモーゲージを圧縮している。まー、リスクテイクといってもセクター、仕組み、満期、様々あるわけで減らしている分野も当然ある。
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改めて怪しく思えるのはABSのモーゲージ保有の減り方がとても安定していること。四半期ごとの増減を見るとこんな感じで、定規で測ったように減っているわけじゃないんだが、、、金利リセットの度にフォークロジャーに計上されているからかな?だとするともう暫くすると再び減少ペースが加速するんだろうか?
ウィキリークスがBACの資料を公表したら一気に減っちゃうのか?
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そしてホームエクイティローンの残高の対可処分所得比の推移。これも安定的に減っています。Q3の減少は年率81 bilで、可処分所得の同▲0.7%。消費・雇用の抑制要因だと思うんだけどな~
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たぶん、月次・週次のデータを詳しくフォローするとまた違った側面が見えるでしょう。また、FOFの切り口ももっと他にあると思うんですが、、、ナマケモノなのでご勘弁を。
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# by guranobi | 2010-12-13 02:45 | 米国
2010年 12月 11日

World Energy Outlook 2010読み込みはまだまだ途中・・・

お久しぶりです。

World Energy Outlook(以下、WEO)を読んでみたものの例によって挫折・・・

まだ途中ですが、今回のWEOで気づいた点を幾つか列挙すると、
足下、石炭価格は堅調だが、WEOは中期的には弱気に見ている。その主因は新疆ウイグル自治区での石炭開発の本格化であり、09年の9000万トン/年から2015年に5億トン/年、20年には10億トン/年の生産を見込んでいる。現在の中国の石炭生産が30億トンであることからもそのインパクトの大きさがわかる。新疆ウイグルの石炭埋蔵量は2.2兆トンと、中国全体の埋蔵量の40%。足下では石炭輸入国になっている中国は再び輸出国となり、その影響が石炭価格にも及ぶ、というシナリオをWEOは提示している。

この石炭資源はWEOが言うように西部開発にも使われるだろうが、人口構成との差異から新疆ウイグルの石炭は内モンゴルや山西省を補って東部のエネルギー源となるだろう。新疆ウイグルでの石炭開発に先立って鉄道路の整備が進行しているようで、2013年には新疆ウイグルと甘粛省、青梅省を結ぶ鉄道が完成するらしい。
現在の中国では石炭輸送が道路渋滞を引き起こすほどになっているようだが、中国における鉄道建設は新幹線技術のパクリ疑惑(ないしはJR東日本の売国疑惑)で一部に注目される旅客輸送よりも、貨物輸送こそがキモなのかもしれない。

ガスについては、中国の発電用などの需要サイドの上方修正があった一方で、豪州の生産は僕の想定ほどには増えないシナリオだった。LNG液化施設の立ち上がりに時間がかかるという想定なのかな~?詳しくは書いていなかったが。。。

以上のような点はあったけれど、目先3年ほどは以前書いたガス・石炭価格のシナリオを変える必要は感じなかった。すなわち、米シェールガス、カタール・豪州のLNG余力からガス価格は低迷を続ける一方で、中国の石炭需要が石炭価格を高止まりさせるだろう。8月にこの記事を書いた時よりもガス価格は下落し、石炭価格は+10%ほど上昇している。
しかし、2015年以降は新疆ウイグルでの石炭生産の本格化が石炭市場のみならずガス市場にも影響を及ぼしそうだ。


石油で気になったのは石油需要の予測が下方修正されていること。GDP予測値が上方修正されたにもかかわらず、WEO2009との比較では20年時点での石油需要は▲2%、30年時点では▲9%の下方修正になっている。

この石油需要の下方修正の主因は輸送、特に自動車の効率性改善を反映したものらしい。それもEVやバイオ燃料などの影響は小さく、既存の内燃機関の燃費改善による効果が大きいらしい。世界の輸送用エネルギーのなかで石油の比率は現在の94%から20年に91%に低下するに過ぎない。
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軽乗用車の燃費は15年にかけて急激に改善するらしく、目先はこの燃費改善が石油需要を抑制するかもしれない。
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20年時点での石油需要は08年比+7%程度であり、石炭(+20%)、ガス(+21%)あるいは原子力(+36%)と比較しても低い伸びにとどまる。その石油の価格が上昇しているのはOPECによる価格操作の色合いが濃いと思うんだが。。。

ただし、一方でエマージング諸国の自動車保有が想定以上に加速するリスクもある。WEOの想定では、35年時点でのNon-OECDの自動車保有率(対人口比)は10%強とOECDの1/5にとどまるが、仮に想定以上に自動車保有が加速すれば、燃費が改善しようとも石油を奪い合うような事態もありえる。このように石油については下ブレ、上ブレ双方の不透明要因があるようだが、下ブレ要因は比較的短期で上ブレはより長期の話なのかな~と思ったのです。

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余談になりますが、今回のWEOでの特集の1つはカスピ海沿岸諸国です。昨年の特集がASEANで、その後にASEAN株が急上昇したので2匹目のどじょうがあるかな~と思ってちょっと調べてみたんですが、、、
意外とカスピ海沿岸諸国、特に中央アジアの経済ファンダメンタルズはよさげに思えたんですよね。
GINI係数などで見ると格差は西欧並に低いし、イスラム圏でありながら女性の労働参加率が高い。いずれも旧ソ連の数少ない恩恵なのかもしれない。
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また、09年に急上昇したインフレ率は足下落ち着いてきている。なかなか良い投資先かなーと思ってたんですが、、、中央アジアのETFすらないんですよw 先にそれを調べろよ orz...

まー、それでも中央アジアの地政学的な重要性を多少は確認できた気がします。特にトルクメニスタンは重要そう。トルクメニスタンは天然ガスの埋蔵量が12tcmと巨大(ロシアが43tcm, イラン30tcm)であるとともに、パイプライン網がロシア・中国と結ばれている。更に南に国境を接するイラン、アフガンともガス・パイプラインを建設する構想もあるらしく、市場が分断されているガス市場を東西南北に結ぶ結節点となりうる。今後ガス市場に与えるインパクトは無視し得なくなるだろう。

・・・といった感じがWEO2010のとりあえずの感想です。他にも再生可能エネルギーの分析などもあるんですが、それはまだ手付かず。それでは。
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# by guranobi | 2010-12-11 23:49 | energy