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2011年 05月 18日

原油とガスの欧米価格差③・・・ガス

次いでガス。
北米のシェール・ガス革命については広く知られるところですが、その”革命”は北米限定です。なぜなら、北米からガスを輸出する手段がないから。原油での中西部と同じように、北米全体でガスがダブついている。

JOGMEC: 米国:メキシコ湾岸におけるLNG輸出計画
JOGMEC: カナダ西海岸からのアジア向けLNG輸出計画

米国はカナダからパイプラインでガスを輸入しているが、シェール・ガス革命まではガス不足が懸念されていてLNG受け入れ基地を作りまくっていた。だけど、シェール・ガスが予想以上に低コストで生産され始めると、LNGでガスを輸入する必要がなくなり、LNG受け入れ基地の現在の稼働率はヒジョーに低水準にとどまっている。今は長期契約の輸入を仕方なく行っている程度らしい。

そこで、LNG受け入れ基地を持つCheniere Energy(NYSE: LNG)がシェール・ガスを液化して逆に輸出するべく取り組んでいる、というのが最初の記事の内容。

世界のガス価格は北南米と英国のみがガスの市場価格によって取引されているが、大陸欧州とアジアは原油価格に連動して決められている(ただし、欧州はロシアとの取り決めで3年限定で一部市場価格連動を採用。下のドイツ国境渡し価格と日本のLNG価格の差が10-11年に拡大している一因じゃないかと思う)。
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ここで天然ガスの価格を見比べてみる(ソースはBP statistical review)。ブレント原油価格との相対価格(下図)を見ると、90年代から2008年頃まではガス価格は原油の60-100%程度で推移していた。
しかし、09年以降は興味深い動向を見せている。09-10年には原油連動価格である日本のLNG輸入価格とドイツ国境渡しロシア産ガス価格(German border)は高止まりする一方で、市場連動価格である米Henry Hubと英NBP価格はガス需給の緩和を反映して原油価格以上に低下し、ブレントに対する相対価格も低下した。

しかし、11年に入ってHenry HubとNBPの価格は全く違った動きを示す。Henry Hubの価格が再び下落したのに対し、NBPはドイツ国境渡し価格にサヤ寄せするように急上昇した。このNBP価格の上昇は、原油連動である大陸欧州の価格に引きずられたという解釈もできるが、もう1つの側面もあると思う。
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ここで英国のガスの輸入と、生産・需要動向を見てみる(ソース)。英国はガスの生産が03年から減少し始め、04年から純輸入国に転落した(下図)。その後も国内生産の減少に伴って輸入が増加し続けているが、09年からはLNGが輸入増加をまかなうようになった。
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そして、これはIEA のWorld Energy Outlook 2010に掲載されている欧州の2020年時点でのガス輸入のコスト予想。欧州の消費地に入ってくるガスのうち最も低コストなのはノルウェー沖からのパイプラインであり、次いでアフリカ・中米のLNG、ロシア・ヤマル半島からのパイプライン(BP, ロスネフチの破談の案件)と予想されている。この図から、現在の英国の主要な輸入先であるノルウェー沖と比較して、LNGのコストは3ドル/MBtuほど高いと思われる。そして、高コストなLNGが09年以降の増加を担っていることから、英国が調達するガスの限界費用が急上昇したのではないだろうか。これが、NBPがドイツ国境渡し価格にサヤ寄せして上昇したもう1つの理由じゃないかと思う。
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英国と米国のガスの需給はたぶん、こんな感じに変化した。英国は国内生産の減少にともなって供給曲線が左シフト。需要を補うのは高コストのLNG輸入。対して、米国では国内のシェール・ガス生産の増加が供給曲線を右シフトさせた。この2つの市場は別々に存在している。
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この2つの市場を融合させるのが上のメキシコ湾岸でのLNG液化、あるいはカナダ太平洋岸でのLNG液化計画なんだが、、、そのどちらも順調にいって2015年以降のお話。

その時に米国と英国どちらの水準に価格が収斂するのだろうか?まぁ、ずいぶんと先の話なんだが、米英の差は最大でもLNGの輸送コスト=3-4ドル/MBtuに収まるだろう。現在のスプレッド5ドル/MBtuはやや大きすぎる。

原油市場との違いは、原油の場合には曲りなりにも鉄道やトラック輸送という代替手段があり、その輸送コストが裁定コストとしておおまかながらも機能している。それに対して、ガスの場合にはパイプラインとLNG以外の輸送手段、代替手段が全く無く、米英市場のスプレッドは輸送(=LNG)コストよりも大きく乖離している。だからこそ、メキシコ湾岸やカナダ太平洋岸でのLNG液化プロジェクトが動いているわけだが。

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また、EIAのリサーチのように大陸欧州でのシェール・ガスが大量に存在し、独仏などから低コストのガスが入って来れば英国の供給曲線が右シフトし、米英のスプレッドは更に小さくなるだろう。ただし、その場合にはメキシコ湾岸のLNG液化プロジェクトは採算性が取れなくなり、またもや空振りに終わることになるだろう。。。

これ以外に天然ガス価格に影響を与えるとすれば、原発事故および対石炭との相対価格の優位性からガス発電が本格化するなどの需要サイドの要因が考えられる。

短期的には、北米でのシェール・ガス生産が鈍化する可能性がある。恐らくは北米でのガスの価格が原油と比較してあまりにも低すぎるため、稼働リグがガスから原油採掘にシフトしている模様。
Baker Hughes: Rig Report
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・・・と、つらつら書きましたが、恐らくはエネルギーに詳しい方にとってはあたり前のことかもしれないし、あるいは全く的外れかもしれない。ともかく、原油とガスのスプレッドの背景についての、ど素人の理解はこんな感じなのです。
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# by guranobi | 2011-05-18 02:39 | energy
2011年 05月 18日

原油とガスの欧米価格差②・・・原油

最初に原油から。と言っても、人さまからの引用に終始するわけですw

通常、油質の違いが原油価格に影響すると言われます。ナマの原油すら見たことのないど素人なので、その違いも価格への影響の程度も見当がつかんのですが。wikiによるとWTIとブレント、そしてドバイの油質は次のようになっている。

WTI: API度 (API gravity) 39.6, 硫黄分(sulfur) 0.24%
Brent: API度 38.06, 硫黄分 0.37%
Dubai: API度 31, 硫黄分 2%
また、09-10年にかけてOPEC諸国がWTIの代わりに参照価格に採用したASCIは、
ASCI: API度 28.25~30.25, 硫黄分 1.7~2.4%
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ソースは、Argus Sour Crude Index

幾つかの油種の合成指標であるASCIはドバイに近い中~重質油。一方、WTIとブレントはともに軽質油に分類されるが、その違いは僅かなもののように僕には思える。若干、WTIのほうが軽質かつ低硫黄なので、通常はWTIのほうがブレントよりも高品質=高価格と見なされる。

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WTIの相対価格が下落している理由についてだが、この記事の説明が最も詳細で分かりやすかった。
Our Finite World: Why are WTI and Brent Prices so Different?

今回、はじめて知ったことですが、米国の石油関連の統計では本土48州がPADD(Petroleum Administration for Defense District)と呼ばれる5つの地域に分かれている。そして、 WTIの現物引渡しが行われるオクラホマ州クシンを含めた中西部はPADD2に分類されている。
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このPADD2にはパイプラインによって南北から原油が送られてくるが、出て行くパイプラインはほとんどないか、あるとしても容量が小さい。そういう構造のなかで、北部からカナダのサンド・オイルの輸入が増えたほか、PADD2に含まれるノースダコタ州のシェール・オイルの生産が急増したため、PADD2において原油がダブついた。これがWTIの価格を押し下げた、ということらしい。

ft.com/alphaville: WTI’s upcoming ‘Keystone’ problem


実際に、PADD2の原油在庫だけが10年末頃から急増している。
Weekly Petroleum Status Report
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他に参考にしたもの。
Econbrowser: Brent-WTI spread
EIA "Today in Energy FEB 28, 2011": WTI-Brent crude oil price spread has reached unseen levels
ロンドン滞在記:WTI-Brentスプレッドの拡大

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ここで、参考にした記事ではカナダ・エドモントンから伸びるKeyStone Piplineの第一弾が2010年4月に開通したことをPADD2での原油ダブつきの主要因として挙げている。しかし、PADD2の輸入量(ほとんどがカナダから)とノースダコタでの原油生産を並べてみると、ノースダコタの生産が急増していることのほうが影響は大きいんじゃないだろうか?
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これも全く知らなかったんですが、ノースダコタの原油生産は過去3-4年急増を続けていて、今やテキサスに次いで全米第2位の原油生産州となっている。そのほとんどがオイル・シェールから産出されているらしい。知らんかったな~
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しかし、ノースダコタの原油はその輸送コストの高さから他地域よりも大幅なディスカウントとなっている模様。ここで提示されている価格はビッド・プライスなので必ずしも取引価格というわけではないだろうが、WTIよりも16ドル安く、カンザスなどその他地域よりも10ドルほど安い。

上のOur Finite World氏が引用している記事によれば、クシンからメキシコ湾岸までの輸送コストはトラックで10ドル/バレル、鉄道で6ドル/バレルらしい。クシンからノースダコタまではこの倍の距離がある。WTIに対するノースダコタ油のディスカウント16ドルは輸送コストに見合った水準なんだろう。

足下では原油価格が下落している。更に下落した場合には、ノースダコタのシェール・オイル(そしてカナダのオイル・サンド)はもともと採掘コストが高いだろうし、加えて輸送コスト高による売値のディスカウントから採算性が急速に厳しくなるだろう。たぶん、テキサスなどのストリップ・ウェルズよりも採算性が厳しいため、ノースダコタから生産が落ち込み始める。そして、PADD2での原油ダブつきが緩和され、WTIとブレントのスプレッドが若干縮小する。。。といっても、過去の原油価格と生産動向からは、WTIが80ドル以下になって初めて起きることだろうが。

シェール・オイルに関する参考記事。
Our Finite World: Is “shale oil” the answer to “peak oil”?
Business Watch: Adding value to oil: Refining the state’s energy industry

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年初来の原油価格の変動にもかかわらず、WTIとブレントのスプレッドは10-15ドルで維持されている。『スプレッドを決めているのは、クシンとメキシコ湾岸までの輸送コストであり、マージン込みで考えて10-15ドル/バレルが適正なスプレッドだろう』というDennis Gartman氏の見解(上の引用と同じ)は正しかった。

他の要因もWTI-ブレントのスプレッドに影響を与える。米政府の承認待ちであるKeyStoneパイプラインの増設(KeyStone XL)はエドモントンからノースダコタ、クシンを通ってメキシコ湾岸を直接結ぶ計画だが、これが順調に承認されるとしても、KeyStone XLの稼働は2013年と見込まれている。それまでスプレッドは解消しないというのが一般的な見方だろう。

また、メキシコ湾岸からパトカに原油を送っているConocoPhillipsのCapline Pipelineが逆送されて中西部からの輸送ルートが確保されれば、同様にスプレッドは解消に向かうだろうが、ConocoPhillipsは逆送させる予定はないそうだ。

この他、オイル・シェールの採掘に関する環境規制が強化されればオイル・シェールの採掘コストを引き上げるためスプレッド縮小要因となるが、一方、KeyStone XLに関する環境規制が強化されると、中西部における原油ダブつきが続くため、スプレッドが維持される要因となる。

・・・というふうに、原油に関しては米中西部(PADD2)における市場の分断が価格差を生み出し、そのスプレッドは中西部から世界市場(メキシコ湾岸)への輸送コストによって決まっている、ようなんですが、これと同じような構図はガスにおいても生じていると思うのです。
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# by guranobi | 2011-05-18 01:13 | energy
2011年 05月 17日

今更、原油とガスの欧米価格差について①

まったくもって今更ですがw、自分なりに理解しときたかったので。

最初に、価格差の動向から。

原油・・・WTI(US)とブレント(UK)のスプレッド(ともに1ヶ月先物)。期間は過去5年。
過去にもWTIとブレントのスプレッドが拡大したことはあるけど(07年5月など)、今回はそのスプレッドの大きさもさることながら、スプレッド拡大の期間が長期化していることに特徴があり、投機マネーや先物のロール・コストといった金融面の要因ではなく、構造的な変化が起きたことが背景にありそう。シルバー・ショック後もスプレッドは縮小していないし。
Bloomberg: 1st Month WTI Brent Spread
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次に、ブレントとドバイのスプレッド。同様に、期間5年。
恐らくはガソリンなどの軽質油・液体燃料の需要増加とリビア政変を反映して、2011年に入ってからブレントの価格はドバイに対して上昇しているが、せいぜい3-4ドル程度の上昇でしかなく、過去5年の水準と比較しても例外的に高いというわけじゃない。つまり、WTIとブレントの価格差の拡大は主にWTIの相対価格の下落によるものだと思われる。
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ガス・・・NBP(UK)とHenry Hub(US)のスプレッド。原油とは逆に欧州 - 米国なのに注意。こちらの期間はデータの制約から、1年。
INO.com: NBP Henry Hub basis swap, Jun 2011
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ガスが過去1年を通じて欧米間スプレッドが拡大していたのに対して、原油は今年に入って急速にスプレッドが拡大しています。

そもそも2-3年前までは、『カタールのLNG輸出が本格化し、ガスの取引市場が世界的に拡大するとともにガス価格が収斂し、原油のような一物一価が実現するのだ』と考えられていたはず。
だけど、今おきているのはガスの欧米間価格差の拡大。そして原油価格の欧米間スプレッドまでが拡大している。

convergence (収斂)のはずが、divergence (格差拡大)が起きている、という不思議。しかも、高度に統合されていると見做されていた原油市場までがdivergenceしている。

なぜ?

ど素人なりの結論は、原油・ガスともに、①市場の分断と②米国における生産急増(シェール革命)③欧州における資源枯渇、によるものだというものです。そして④スプレッドを決めるのは裁定コスト(輸送コスト)である、ということも似ている。
規模は全く違いますが。
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# by guranobi | 2011-05-17 00:26 | energy
2011年 04月 20日

J-REITの長期投資・・・③

今度は、各ファンドの個別物件のIRRを見たもの。メンドいので、ビルファンド、JRE、野村不動産オフィスのみ。
取得時の不動産価格の高低によって個別物件のIRRは大きく変わります。よって時系列で並べたほうがフェアで分かりやすいでしょう。ビルファンドはH18年ころまでの投資物件は比較的安定したリターンを上げていますが、ここ数年は著しく低い運用成績となっています。対照的にJREは特別に高いわけではありませんが安定した運用成績を維持しています。直近の大型物件である汐留ビルディングは賃料収入から判断するとこれでも保守的な価格評価を行なっているとさえ思えます。

対して野村不動産オフィスは、、、ひどいですねw
前掲の個別物件IRRの低さは、なにか特別な物件によるものではなく、「平均して」物件のIRRが低いのです。時期や物件の大小も関係なく。このグラフではIRRが▲70%となったため除外したNOF名古屋伏見ビル(購入直後の決算でほぼ半値の評価w)が注目を集めていますが、これだけではなく、物件取得時の想定NOIが実績と比較すると高い傾向にあるように思えます。てか、実績が想定を上回っている物件が非常に少ないし。証券取引等監視委員会が注目していてもおかしくないレベルw
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あと、物件評価の際の利回りの推移。DC法の直接還元利回り、単純平均。Aクラスビルの期待利回りと比較すると、評価の際の利回りはまだ十分に上昇していないんじゃないかと思うんですよね。特に、良質のオフィス系は。
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この点、不動産価格の上昇余地が(原発問題を別にしても)あまり大きくはない可能性を示唆しているし、最初に見たグラフの、水色の囲み、すなわち賃料上昇&投資口価格の上昇期に移行したとしてもその上昇余地はあまりなさそうだ、と思えるのです。
まぁ、よくわかんないんですがw
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# by guranobi | 2011-04-20 23:23 | REIT
2011年 04月 20日

J-REITの長期投資・・・②

次にお示しするのは、出資金のリターンと、J-REITの投資口のトータル・リターンの比較です。

ややこしいのですが、出資金のリターンとはJ-REITの投資成績であり、出資総額、分配金総額、保有資産の時価などによるIRRで計算しました。一方、J-REITの投資口のトータル・リターンとは、投資口の価格変化に分配金利回りを加えたトータル・リターンです。株式で言えば、企業の事業成績と株価のリターンを比較したようなものでしょうか。

縦軸(y軸)が出資金のリターンであり、Fund IRRとしています。横軸(x軸)が投資口のトータル・リターンです。バブルの大きさは時価総額、水色はオフィス系(複合系を含む)、赤色はレジデンシャル、紫はリテール、灰色はインフラ系です。ホテルなどは除外。合併などによりリターンが極端に大きい銘柄(ビ・ライフなど)も除外してます。

データの更新が面倒だったのでw、トータル・リターンの計算は04年からにしています。まぁ、それでも両者の相関性はまずまず高い。そして、出資金のリターンのうち、分配金利回り(3段目のグラフ)=インカムよりも保有不動産の含み益(2段目)=キャピタルの運用成績こそが長期的にはJ-REITの投資口のリターンを左右するのではないかと思います。
この点、前掲の住信のレポートがJ-REITのリスク決定要因として不動産市場の影響の大きさを指摘していることと符合します。
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ちなみに、水色のオフィス系のみで見た相関性。結構高いですね。このことから、J-REITのセクター・セレクションが重要であることと、同一セクター内ではより良い物件選択を行うファンドに投資すべきであることがわかります。まー、当然のことなんですがw
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更に、出資金のリターン(Fund IRR)と、個別物件のIRRの平均を比較したグラフ。
J-REITの運用成績を左右するのは主に物件選択だということじゃないでしょうか。もちろん、LTVの水準や借入金利などの財務戦略、あるいは運用報酬の水準なども重要なんでしょうけど、何よりも物件の運用成績こそがJ-REITの運用成績、ひいては投資口価格の長期的な動向を決めるんだと思います。

また、出資金のリターン(Fund IRR)が概ねポート資産のIRR平均を上回っている(傾向線の傾きが1よりも大きい)のは借入金等によるレバレッジ効果によるものであり、傾きが1よりも低いファンドは財務戦略に難あり、あるいはファンドサイズが小さすぎて規模の経済を働かせられていない、ということかと。右下の方に小さなバブルが集まっているのは、合併や増資などのサイズ拡大による効率性向上の余地があるということだと思います。
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個別物件のIRRは、取得価格(追加取得を含む)、NOI(不動産運用損益+減価償却費)から資本的支出を控除したNCF、売却価格(売却関連費用控除後)、保有時価などによって求めています。
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# by guranobi | 2011-04-20 22:21 | REIT
2011年 04月 20日

J-REITの長期投資・・・①

お久しぶりです。
例によってまとまりのない内容なのですが、他にネタもないので、J-REITについて。

昨秋の神の声(春山さんです)をちゃんと聞いてなかったので、ウェイトを上げ損なったJ-REIT。それでも多少持っていたので、まじめに銘柄分析するかと思い立ち、いくつかグラフを作りました。

参考にしたレポートはあまりありませんが、住信の「J-REITのリスク要因分析」など。
このレポートでは、01-07年のJ-REIT投資口価格の上昇局面を、04年10月を境にして01-04年を外部成長期、そして04-07年を内部成長期としています。そして、外部成長期には賃料が下落しており、分配金利回りの低下によってJ-REIT投資口価格の上昇が見られたこと、一方で内部成長期には賃料が上昇し、分配金の増加と利回り低下が投資口価格を上昇させたとしています。

このように、J-REIT投資口価格の上昇局面を、賃料の下落・上昇によって分けてみると、こんなグラフができます。
オレンジ色の囲みが賃料下落期、水色の囲みが賃料上昇期であり、そのどちらにおいてもJ-REIT投資口価格は上昇しています。このように分けると、09年から現在までは賃料下落とJ-REIT投資口価格の上昇が起きた時期であり、(原発事故さえなければ)11-12年頃を境にして水色の賃料上昇を伴った価格上昇局面に移行していただろうと考えられます。
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データソースですが、賃料、空室率などは三鬼商事の「東京ビジネス地区」を、J-REIT投資口価格指数と分配金利回りは住信基礎研究所のSTBRI J-REIT指数を使わせていただきました。
不動産市場の先行指標としては、新築の空室率(ドット付きの赤線)が重要ですね。
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# by guranobi | 2011-04-20 22:05 | REIT
2011年 03月 28日

東電の不足電力拡充の影響

放射能汚染とその社会的影響とは長期的に付き合っていかざるを得ない。非常に残念だ。

ニコニコニュース・東日本大震​災特番 「どうなる原発、どう​する被災地」

「きっかけは天災だが、放射能汚染は人災」という見解が正しいのならば、東電の責任は糾弾されるべきだ。しかし、免責条項が適用されない理由が「国民感情」であってはならない。免責条項が不適用となるためには、東電に重大な法令違反ないしは重過失があったことが証明されなければならないはずだ。津波が福島第一原発を襲った後に海水注入などの迅速な対応が物理的に可能だったにも係わらず、東電が注入を意図的に避けたこと、それによって燃料棒露出と原発建家の破壊、格納容器の破損が生じ、放射能漏れに繋がったことを証明すべきなのだ。政府の対応も含めて事故に至った検証を行った後で初めて、免責適用の是非が判断されるべきだろう。枝野の発言は、民主党という政党の法制度軽視の姿勢を表している。

民主党政権はポピュリストであると同時に官僚の言いなりでもある。仙谷が官邸に入ったので、保安院や経産省の意向を汲んで、結局は免責条項が適用されて逃げきり!となりかねないとも思う。

いずれにせよ、この政党には国政を担う資格はない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

それはさておき、東電の不足電力の大部分は当面はLNG火力で賄われる見込みのようだ。
Bloomberg: トヨカネツ株急騰、LNG輸入拡大見込む買い-政府が調達支援報道
JPモルガン・チェースは今月14日のリポートで、日本は最大で日量10億立方フィート、年間で約770万トンの発電用LNGを追加購入する必要がある、との推計を公表。


日量10億立方フィートは年間では約10bcm。東電のLNG輸入は年間24bcm程度なので、4割以上増える計算になる。東電には横須賀火力発電所(LNG火力)など休止中の発電所があるほか、火力はもともと原子力で賄えない需要期に補助的に使われていたはずなので、今後LNG火力が主力となった場合にLNG輸入が4割も増えるという試算は現実的な想定だと思う。そして、割高なLNGのスポット輸入に大幅に依存するだろうことこそ、東電の値上げの理由のはずなんだが、、、それこそ「国民感情」から許されないだろうw
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以前の記事(天然ガス価格の動向 ② )で紹介したLNG貿易市場の輸出入マトリックスを再掲。2008年のものだが、LNGの貿易量は年間208bcm、うち日本と韓国の輸入量は132bcmと過半を占めている。
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そして東電の24bcm/yrという輸入量は、日本の30%、全世界の総取引量の11%を占める。
東電 2012新卒採用サイト: 東京電力の仕事図鑑

つまり、世界のLNG需要が5%増える計算になる。
通常ならばこの規模の需要増加は需給に大きな影響を与えるはずだが、、、LNGの需要不足はこれよりも遥かに大きいんじゃないかと思う。
やはり以前の記事(天然ガス価格の動向 ③ 需給の緩和)で示したLNGの供給力の予想だが、2011年現在においても供給力は30bcm/yrほど需要を上回っていると思う。東電の10bcm/yrという追加需要はそれなりのインパクトはあるんだが、需給が逼迫するには程遠いというのが今のところの(ど素人の)判断。
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震災直後から天然ガス価格は上昇しているものの、本格的に反転・上昇に向かうのは2-3年先じゃないかと。
それよりも、原発からLNG火力へのシフト、そして生産・貯蔵・発電設備の需要増加の方が可能性が高い。
トーヨーカネツかぁ、反射神経が鈍かったなぁ。。。いつものことだけどw

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

以上は、電力不足への短期的な対応だが、長期的にはどの分野が反応すべきなのだろうか?
東電の発電能力は既に大幅にLNGに依存している。ここから更にLNG比率を高めることはエネルギー源分散の観点から好ましくないだろうし、東電もそう判断するだろう。現実的な可能性は石炭発電だろう。ただし、現有の石炭火力である常陸那珂火力、広野火力(5基中2基)はともに停止中であり、更に広野は福島第一原発の30km内にある。
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ロシアがLNG供給を倍増させようとしているのは、これを機にLNGの長期契約を原油等価で結びたいからじゃないかと邪推する。天然ガス需給が緩和し、天然ガスの取引価格を割安な市場価格連動にするチャンスなのだから、くれぐれも日本国政府および東電はスポット取引に留めるべきだ。石炭火力で能力不足を補う方針を示しつつ、LNGの価格交渉では粘り強く牽制するという戦略的な姿勢で望んでほしい。

まぁ、ど素人の妄想でしかないのだろうけれど。
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# by guranobi | 2011-03-28 01:09 | energy
2011年 03月 20日

余震の発生状況・・・フォローアップ

余震の発生状況をフォローアップ。ようやく落ち着いてきているようだが、くれぐれもご注意怠りなくよう。
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また、地震のエネルギーの累計値。ジュール換算。余震の累計エネルギーは本震の1.5倍に達している計算になるが・・・計算間違いかも。
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# by guranobi | 2011-03-20 09:36
2011年 03月 18日

震災に関するつぶやき

完全ど素人のボケで。


-超短期的な危機、あるいは不透明局面は昨日お昼ごろまでで終了と判断。

2ch軍板が現場の方針を速やかに把握するのには最適だった。
1-3号機の炉心注水は自動ポンプ機によって継続実施。
5-6号機の使用済み核燃料プールの水温は緩やかに上昇しているが、電源が回復すればコントロール可能。(失礼。6号機の小型の補助電源が稼働中でしたね。しかし、5・6号機についても本格的な電源確保は重要と認識)
http://plixi.com/p/84750993

よって、短期的に重要となることは
①3-4号機の使用済み核燃料プールへの継続放水によって現場の放射能濃度を抑制し、作業可能な状況を確保すること、そして
②高圧送電線からの電源を確保し、持続的な燃料棒の冷却体制を確立すること

の2点。

巨大地震特設スレッド 14
707 :名無し三等兵:2011/03/18(金) 05:09:21.46 ID:???
>>704
270氏、日本の見解として4号機のプールには水が入っていると考えてよろしいのでしょうか?

708 :270:2011/03/18(金) 05:13:01.19 ID:VlwTH7dc
>>707

十分とは言えないため3号機制圧後4号機に対する対処をおこないます。

では仕事に戻ります。


自衛隊の努力によって放射能濃度が抑制されること、そして電力が確保されることが長期的問題に本腰入れて取り組むための大前提と判断。
逆に、電力確保に難航すれば再び短期的パニックに陥るだろう。


一応、本日からようやく長期的問題に目線が向くことに。
財政法5条但し書きの適用は当然で、日銀引受による復興債発行は既定路線。問題は金額で、10兆では少なすぎ。少なくとも20兆円の日銀引受は必要で、できれば30-40兆円のオーダーで。その他に一般公募も。

電力の計画停電よりも電力料金引き上げないしは割当制が望ましいという意見に賛成。
震災が物価上昇を引き起こすという見方には懐疑的。一部の不足物資の価格は上昇するが、一方で需要が落ち込む商品もあるわけで、一般物価の上昇というよりも相対価格の調整が起きると考える。

今週末あたりの政府対応が重要になるかな~
増税はやめてよね。デフレなんだから。

#谷垣_引退しろ
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# by guranobi | 2011-03-18 07:42
2011年 03月 12日

余震の状況

皆様、大丈夫でしょうか。

久しく投稿していませんでした。すみません。
今回の悲劇によって亡くなられた方々のご冥福と、被災された皆様への支援が速やかに届くことを切に願います。そして、福島原発への海水注入が成功することを祈ります。

僕にできることは何もありませんが、、、tenki.jpの地震情報をまとめました。
時系列で地震の発生状況を追った物です。
縦軸は地震のマグニチュードをジュール換算したものの対数表示(マグニチュード表示に差し替え)。横軸は時系列です。
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ご存じの通り、三陸沖では大地震発生の2日前から群発地震が発生していました。それが7時間途絶えた後に大地震が置き、それから余震が間断なく、平均して5分置きに発生しています。本日20:00台になってようやく発生間隔が広がっていましたが、22:00台に再び発生間隔が短くなっています。

また、本日04:00以降は、中越地方および関東地方での地震発生も頻発しています。プレート連動を懸念します。。。

民主党政権と東電の対応への批判はわかるが、今はもう、炉心が無事に抑制されることを祈るのみ。地震と津波の被災者の無事も願うんだけど、あまりにも原子炉のリスクがでかすぎる。


===3/13 8:00追記。グラフは最新のものに順次更新===

13日に入ってからは余震の発生頻度は15-20分程度と伸びています。また、日本海や関東などの他地域での地震発生頻度も少なくなっています。
このまま落ち着いてくれるといいのですが、余震の発生頻度が伸びた後に大型の余震がくることもあるかもしれず、皆様、くれぐれも警戒を怠らないでください。
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そして、原発をなんとか守ってくれよ。
東電の判断を狂わさないように、被災した原発を政府が補償するというインセンティブ政策でも緊急にやってくれないかな。。。批判は多いだろうが。

===3/13 18:40追記===

そうか、東北地方の観測点の多くが破壊されていたんだ。。。だから、東北太平洋での小型の余震が計測されていなかったんだな。むーーー、被災者の皆さんの不安なお気持ちは如何ほどか。

===3/13 21:00追記===

地域分類は以下のとおり。プレート分布を考えてど素人が適当にわけただけです。煽るつもりはないのでご了承下さい。

東北太平洋・北関東:
岩手県沖, 三陸沖, 宮城県沖, 福島県沖, 茨城県沖, 千葉県東方沖, 岩手県沿岸北部, 岩手県内陸南部, 宮城県南部, 福島県浜通り, 茨城県北部, 栃木県北部, 群馬県北部

南関東:
東京湾, 神奈川県西部, 千葉県北西部, 千葉県南部, 新島・神津島近海, 伊豆半島東方沖

日本海:
秋田県沖, 新潟県中越地方, 石川県加賀地方, 福井県嶺北, 富山県東部, 島根県西部, 岐阜県飛騨地方, 長野県北部

東海:
長野県中部, 長野県南部, 愛知県東部, 三重県南東沖, 三重県北部, 岐阜県美濃中西部
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# by guranobi | 2011-03-12 22:46