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2013年 08月 25日

大雑把な見通しの補足

補足というか、備忘録みないなものを追加で。

90年以降の米国債利回りとイールドカーブを眺めると、11年半ばから13年5月にかけて、2ー5年スプレッドが緩和局面としては異例なほどに潰れている(フラットニングしている)のがわかる(下段の図、黄色の囲み)。
通常、緩和局面におけるイールドカーブは、短期金利が政策金利に連動して低水準に留まるのに対して、長期金利は緩和効果による景気やインフレへの押し上げ効果を見越して短期金利ほどには低下しない。その結果、緩和局面ではイールドカーブはスティープニングするのが通常だ。92~93年、02~03年のように。
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しかし、11年半ばから13年5月まではカーブが潰れている。このときに何があったかというと、QE2でもQE3でもなく、”時間軸の明確化”だ

2011.8.9 FOMC statement

FEDは異例に低水準なFFレートを維持する期間について、それまでの ”for an extended period(長期間)”という曖昧な表現から、”at least through mid-2013(少なくとも13年半ばまで)”と低金利を維持する期間を明示した。
これによって、2年債利回りが低下するだけでなく、5年債利回りは2年債以上に低下し、2-5年スプレッドは潰れていった。5ー10年スプレッドはさほど潰れていないものの、多少はフラットニングしている。”時間軸の明確化”はカーブ全体を押し下げる効果があったのだと思う。統計的な検証はしてないけどw

時間軸はその後、12年1月のFOMCで”14年終盤まで”、さらに12年9月のFOMCでは”15年半ばまで”と延長されていったが、この間は金利水準・カーブともに低下を続けた。

おそらく重要な転機は12年12月のFOMCで、それまで”15年半ばまでは”低水準のFFレートが維持されるだろう、としてきたものを、”失業率が6.5%に低下するまでは”と変えたことだ。期間を明示して低金利をFEDが保証してきたが、低金利が維持される目安を失業率に変更した。経済状況に応じて柔軟に緩和期間が変化するようになったのだ。たぶん、これを境として金利上昇の下地はできていたのだが、FEDが経済の先行きに慎重な見通しを維持していたこともあり、今年5月までは金利はさほど上昇しなかった。

今年5月のバーナンキの議会証言(のQ&A)が金利上昇のきっかけとはなったけれど、すでに昨年末のFOMCで政策のルールが変わっていたんだと思う。今の金利上昇は、11年9月~12年12月までの「時間軸の明確化」効果の修正過程にある、というのが僕の判断。

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すでに2-5年、5-10年のスプレッドは金融緩和局面としては妥当な水準にまで上昇している(多少の上昇余地はあるだろうけど)。今後は、2年債が14年後半から始まるだろうFF引き上げのパスを織り込んで上昇して、カーブ全体を押し上げる形での金利上昇が起きる。
実際にFF引き上げが始まるだろう(あるいは引き上げをリアルに意識し始める)14年半ばころからはカーブ全体が潰れながら上昇する、ベア・フラットニングの局面に移るだろう。

・・・と考えると、10年債利回りは目先は3%を上回る程度で小休止したのちに、14年半ばまでに4%を上回る水準にまで再上昇。その後は4.0~4.5%程度での横ばい、というのが大雑把なイメージに。

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ここまでFEDの資産買入れ額の縮小などの量的側面にほとんど触れなかったのは、もうあまり意味が無いと考えているから。すでに昨年12月を境にFEDの金融政策は、ほぼ無条件の緩和継続から、失業率すなわち経済状況に応じた可変的な政策にかわっているし、なによりも市場金利はそうした変化を織り込みながら上昇していっている。

もはや、FF引き上げの時期やその後のパスを示さなければ米債金利の動向を論じることはできないのに、未だに資産買い入れ額の減少が9月だとか12月だとか言うだけのレポートはオカシイ。

もちろん、5月以降の金利上昇の影響が実体経済に及ぶだろうし、その影響の程度を市場もFEDも確認していく。しかし、その影響は利上げのシナリオを3~6ヶ月程度前後させるマイナーな修正だと考えるべきだろう。すでにFEDは利上げモードに入っており、おおまかな利上げのシナリオを念頭においた上でマイナーな変化を見るようにしないと、大局を見誤ることになりかねない。

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このFEDでの経験は日銀にとっても重要な示唆を与えていると思う。
15年4月以降のQQEについてそろそろ緩和継続の意思表明をしといたほうが良いんじゃないだろうか。15年4月までの2%インフレを実現させるためにも、15年4月以降も国債買い入れを一定期間継続するよーと宣言して、時間軸の明確化を保っておいたほうが、長期金利の安定性にも貢献するんじゃないかなーと思うのです。
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by guranobi | 2013-08-25 08:17 | 米国
2013年 08月 20日

米国金利の大雑把な見通し

久々の投稿なので、ざっくりと。

米国債の利回りが上昇している。イールドカーブを眺めると、2 - 5年が急激にスティープニングしていることから、今回の金利上昇は5年債(中期ゾーン)が主役だったことがわかる。
対して、2年債はほとんど動いていない。これは、ほぼ今後2年間はFF金利が引き上げられないだろうという市場の予想を反映しているのだろう。
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しかし、今の失業率のトレンドが続くならば14年後半にはFEDが目安とする6.5%に到達する。失業率は過去3年間、前年比で▲0.7%pのペースで低下を続けており、来年の今頃には6.7%程度ということになる。さらにそのまま行けば、16年半ばには5.5%というキケーンな水準に届く計算に。

もちろん、労働参加率の上昇だとか、パートタイマー主体の雇用増加だとか、労働市場の改善に対してネガティブな面もあるのだけど、一方で今の5年ないしは10年の実質金利がゼロなのだから、この低すぎる実質金利が経済を刺激しないはずがない。フレディやファニメなどのGSEの不良債権処理もおおっぴらに議論できるほどに金融システムが改善してきている以上、ユルユルの実質金利水準が経済を刺激すると考えるのが自然でしょ?

・・・と考えると、14年後半には利上げ開始、そして失業率が5.5%に届くであろう16年半ばころには実質FFレートは均衡水準である2%に持っていかなければならない。そのときのインフレが2%だとすると、目標とする名目FFレートは4%ということになる。
こんな感じで。
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94年、04年に続き、14年後半には、10年おきの本格的な金融引締め局面に入る。そしてこのFFレートの推移を前提に2年債利回りを予想すると、結構な勢いで上昇することになる。


バーナンキの後任が誰になるかは重要ではあるけれど、おおまかなイメージには大差ないだろう。
FEDはすでに出口戦略に関する幾つかの目安、ヒントを与えてくれているので、それに従ったシナリオが立つ。

ここで示したFFレートに基づけば、今の2年債利回りは0.5%を越えていなければならない(実際には0.35%)。そして5年債利回りは2%程度のはずだ(実際には1.55%)
そして時が経つに連れて、織り込んでいくFF引き上げの回数が増えるので、”あるべき”利回り水準は徐々に上昇していく。14年初での2年債は1%に届いていなければならない。


6月下旬のオフ会では、「今の米債利回りは特に短中期ゾーンが低すぎる」と言ったけれど、それは今でも変わらない。エマージングの変調がFEDの利上げを暫くは躊躇させるかもしれないが、その”一時停止”はせいぜい3-4ヶ月程度だと思う。FEDは米国経済の状況に合わせた金融政策を採るべきであり、対外的な調整は為替レートが行うものだ。

5年債が主導する金利上昇の第1ステージはそろそろ終わりかもしれない。しかし、年末あたりには2年債が中心となる第2ステージの金利上昇が起きるだろう。ひとつの目安は2年債利回りが0.5%を超えてくるかどうか、だろう。
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by guranobi | 2013-08-20 19:52 | 米国