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2011年 06月 14日

記事の紹介のみ: 欧州の金融政策について

先の記事で度々引用したResearch Ahead氏はドレスナー・クラインオートのエコノミストでマクロ・ストラテジストだったらしく、欧州の分析が本職らしい。

2011.1.28: Monetary developments in the Eurozone will soon call for higher rates
2011.2.2: A higher ECB repo rate by June
2011.4.5: No ECB policy mistake
2011.4.9: More ECB rate hikes needed

ECBの利上げについて早くから予想していたと氏は述べているが、そう考えた理由は、

・ソブリン危機諸国の長期金利は、危機以降、短期金利(EONIA先物)との相関性が低下しており、ECBの利上げが危機諸国の長期金利を引き上げるとは限らない。それよりも、これら諸国の財政政策などの債務軽減策のほうが長期金利にとっては重要。

・また、ギリシャ、アイルランドは事前に定められた金利によってIMF/EU/EFSFから借入を行うため、長期金利の上昇は債務返済、資金調達に実質的な影響を与えない。

・脆弱な銀行にとっては、資金調達の量が重要な問題であり、調達金利の水準は2次的な問題である。

一方で、
・量的緩和によって変動幅が大きくなっているM1やM3の増加率そのものを見るべきでなく、M3とM1の増加率の差を見るべき。M3-M1によれば、民間の資金需要が高まっていることとECBの利上げを示唆している。

・欧州の銀行の資金調達の容易性は高まり、貸出基準の急速な緩和が見られる。

・北欧、東欧では物価上昇が進んでおり、金融引き締めへの転換が必要。

・・・といったもの。氏は欧州の金融システムの脆弱性は認めており、量的緩和を維持したまま金利引き上げに進むだろうと予想し、的中させた。そして更なる利上げを予想している。


どういったかたなのか知りませんが、欧州のみならず氏の分析は首肯する部分が多い。
今後もフォローすべきかな。
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by guranobi | 2011-06-14 00:27 | 欧州
2011年 06月 13日

米国の家計所得の予想、、、あくまでイメージで

先程の記事の続きを若干。

仮に貯蓄率の低下トレンドが続くとしても、所得の伸びが過去の景気回復期と比較して異例に低い状況が続くんじゃないかと僕は考えています。その主因は時間あたり賃金の上昇率の鈍化です(下図の濃い紫色の部分)。
なので、個人消費の伸びはFEDが想定しているであろう水準よりもかなり低くなるんじゃないかと思ふ。
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米共和党が財政削減にこだわり続けるならば、更に所得・消費環境が悪化するのは必死。

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余談ですが、先の記事でも引用したresearch ahead氏の最近の記事は興味深い。今春の米国経済データの落ち込み(ソフトパッチ)は季節調整の”歪み”によるものだという指摘。今回の景気後退があまりに大幅な落ち込みだったため、統計上の歪みが生じているとの見解。
ご参考まで。

research ahead: Growing probability of positive US data surprises

ちなみに、、、前月比+5.4万人となった5月の雇用統計ですが、4-6月の労働投入量は前期比年率+3%強とかなり高めになる計算。6月の雇用統計でどーなるかはわからんがw
市場のネガティブな反応とは違って、強めのGDPなどが出て、短期的に金利はスパイクするかもな~というのが今の僕のイメージ。
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by guranobi | 2011-06-13 22:20 | 米国
2011年 06月 13日

米国の貯蓄率は低下トレンド入り

米国の貯蓄率は過去1年の間、1%pほど低下して4月は4.9%となりました。そして中期的には、このまま低下トレンドを続けて14年末では3.0%程度、あるいは3%以下まで下がるんじゃないかと思います。

高齢化や生産性などの影響も考えてみたんですが、これらの要因についてはどうもよくわからん。。。後でグラフだけ付け加えます。

今回、貯蓄率の低下を予想する理由は、債務返済負担の低下です。今更ですが。。。
ストック面の分析が甘いのは、僕だったかもしれません。
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ふつう、貯蓄率は以下のように計算します。

貯蓄 = 可処分所得 - 消費支出
貯蓄率 = 貯蓄 / 可処分所得

所得のうち消費したものの残りが貯蓄。「1 - 貯蓄率」は消費性向です。貯蓄率の低下は消費性向の上昇であり、一般的には消費意欲の高まりだと解釈されます。

しかし、消費するためのカネは所得だけではありませんね。「借金」で得たカネも使う。あるいは、「借金」の返済を優先して消費を抑制することもある。今の米国のように。

・・・ということを考慮して、貯蓄率の計算の可処分所得に「借金の増減分」を加えて修正してみました。消費に使うカネが、所得と借金の両方から出てくると考える。念のためですが、フツーの貯蓄率が不適切というわけじゃなく、借金を加えて修正したものも合わせて趨勢を把握するほうがいいんじゃないか、ということです。

その修正貯蓄率が下の赤色の破線。所得に加える「借金」は消費者信用とホームエクイティローン(HEL)です。モーゲージ(住宅ローン)を加えていないのは、住宅ローンの大部分は消費じゃなくて住宅購入に回されるため。まぁ、米国では少なくない部分が消費に回されるようですが、HELで代用できますし、あまり深く考えない方向でw

第二次大戦後から2000年代まで趨勢的に修正貯蓄率は実際の貯蓄率を上回っています。そして、2000年代では実際の貯蓄率が急低下したのに対して、修正貯蓄率は比較的安定している。リーマンショック後は、実際の貯蓄率が急上昇している。これは金融が急速に収縮したので、借金返済に優先的にカネを使わざるを得なくなったため、と考えていいでしょう。
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そこで、まず、FOFの記事でも見た家計の債務負担の調整について仮定を置きました。消費者信用は11年末~12年前半にボトム、HELは13年末~14年にボトムを付けると想定。薄い色の部分が想定値です。やや楽観的かもしれませんが、大筋を考えるための仮定値ですから、お見逃しを。
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これに、雇用・労働時間・時間あたり賃金の想定値をベースとした可処分所得から、実際の貯蓄率の推移を計算するとこんな感じ。ベースとなる”修正貯蓄率”は4.5%で横ばいにしました。とりあえずの仮定値として。
今回の試算では、11年内は4.9-5.2%程度で横ばいとなり、12半ばから本格的に低下しはじめ、13年末に4.2%、14年末 3.4%、15年末3.2%
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ここで重要なことは、債務が減っている過程であっても、債務の減少額が小さくなれば(債務負担が小さくなれば)、貯蓄率の低下要因になるということ。これは過去1年の貯蓄率低下の主因でもありますし、今後も中期的に続くだろうと思います。
上の貯蓄率の試算値では11年内から12年半ばまでは横ばいとなっていますが、それは試算のなかでのブレのようなものです。11年内に貯蓄率の低下が続いたとしてもおかしくはありません。
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・・・以上のような点も、FEDメンバーが年後半の消費ピックアップを想定している理由なのかな~?
もしそうなら、「ストック面の分析が甘い気がする」とか書いてゴメンね、バーナンキ。だけど、そういった説明を見たことないんだよな~

それと、貯蓄率の低下が中期的に続くとしても、消費が加速するとは限らない。高失業率を背景とした時間あたり賃金の上昇率の鈍化が続くのならば、所得の伸びは暫くは低いだろうから。この点、簡単な記事を書くかもです。

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以下、余談のようなもの。

貯蓄率の長期的な推移と年齢構成を比較してみると、人口動態の変化は必ずしも貯蓄率の動向を決めているとは言いがたい。
下の1段目のグラフは15歳以上人口に占める中・高年齢の比率と、貯蓄率の推移。5歳階層別。2段目は全米の平均年齢の推移。
80年代以降、米国の高齢化と貯蓄率の低下が概ねパラレルに起きているように見える。しかし、30年代から70年代までは高齢化とは逆に貯蓄率は上昇している。
また、3段目のグラフは貯蓄性向が高いとされる30-55歳の人口比率と貯蓄率の比較。パラレルに見えますが、30-55歳の構成比は逆メモリなので、、、想定とは反対の動きなのです。
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また、米国の貯蓄率について考察を加えているこちらの記事を参考に全要素生産性(TFP)と貯蓄率についても考えた。生産性上昇率の加速が投資機会を拡大し、実質金利と貯蓄率の上昇に繋がる、という氏の指摘は興味深い。

research ahead: Demographics, the savings ratio and interest rates

過去の動向を見ると、生産性(ここではMFP)の鈍化が70年代前半に生じ、それが80年代後半からの貯蓄率の低下を生んだように見える。もっと深く考えたかったんだが、、、時間切れ。
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まぁ、人口動態や生産性の状況も、どっちかというと今後の貯蓄率のトレンドの低下を示唆しているように思える。なので、上の試算値はさらに低めに考えておきたいのです。
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by guranobi | 2011-06-13 00:38 | 米国
2011年 06月 12日

米国 Flow of Funds, 11年1Q

米国のFlow of Funds(資金循環統計)が出ましたね。
どこぞのレポートでも紹介されているでしょうから、ごくごく簡単に。

FED: Flow of Funds Accounts of the U.S.

ホームエクイティローン(HEL)の可処分所得比の推移。HELは依然として安定的に減少しており、13-14年頃が調整の目安。
貯蓄率との関係については、別途、記事を書くと思います。たぶん。
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住宅価格(Case shiller)と、1世帯あたりのHEL残高を比較しても、やはり13年ころが調整終了の目安に。
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米国債保有の増加は当然ながらFEDが主役に。注目は家計が米国債の大幅な売り手となったこと。何かテクニカルな理由があるのかもしれないが、質への逃避の終焉と見るべきところ。
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家計は米国債の代わりに、MBSとエージェンシー債に回帰してきている。FEDはMBSの元本償還を国債に再投資しているため、MBSの保有残高は緩やかに減り続けている。暫くすれば(1-2四半期後?)海外勢もMBSに本格的に帰ってくるんじゃないか?ドル高とともに?
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ちなみに、FEDの資産構成の推移。
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FED: Monthly Report on Credit and Liquidity Programs and the Balance Sheet

モーゲージ債権の保有者。ABSの腐臭は半分ほど消えたところか?商業銀行はモーゲージ圧縮を継続。
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消費者信用の注目点は、学生ローンの増加。若年層の労働参加率の低下を金融面で支えている。なんか、政府プログラムが貢献しているんだろうな。わかんないけど。
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by guranobi | 2011-06-12 18:16 | 米国
2011年 06月 02日

FOMCに見る福井日銀のデジャヴ

最初にお断りしますが、グチです。毒吐きますので。

前回の記事の続きです。4月のFOMC議事録を読んだ時に福井が浮かんできたんですよ。殺人集団日銀の前総裁、福井。

不適切な金融政策がどのような悲劇をもたらすかは、われわれ日本人ならよく知っているでしょう。特に、投資をなす人々は。

2007年2月に福井日銀が2回目の利上げに踏み切る前、僕はブログ上で半狂乱でした。賃金(所定内給与)が下落しているなかでの追加利上げは、狂気の沙汰としか思えなかったのです。賃金が下落しているということは、完全雇用が達成されていない、あるいは失業率が自然失業率を上回っているということ。つまり、GDPギャップが依然として存在していた。
しかも、物価は下落ないしはゼロだった。コアコアはもちろん下落していたし、生鮮食料品を除く総合はせいぜい+0.5%。誤差の範囲だし、インフレ・バイアスを考えればゼロ以下。物価が急騰しているってんならね~、実質金利を調整するための利上げもわからなくもないんだが、、、当時は利上げすべき理由は全くありませんでした。
福井の妄想を除いては。

当時は、「いざという時の利下げに備えて、弾丸を装填しているんだ」とか、呑気なことを言ってた人もいたけれど。そういう方々や、(利上げに反対した)岩田委員以外の日銀審議委員が経済と金融政策を理解していないことは、今となっては明らかなことだと僕は思っています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

恐らく、現在、多くの方々が菅直人に対して抱いているような嫌悪感を、当時の僕は福井俊彦に対して抱いていたのです。そして今の僕も。

責任ある地位にありながらその責任に相応しい知見も理解力もなく、ただ饒舌に意味不明な言葉を吐き、愚かな行動で多くの人々を不幸にする。宰相不幸社会、いいですねw

そして、自らの過ちを決して認めることがなく、それが故に、誤った政策を続ける。リーマンショックが襲ってきたにも係わらず、福井は結局、退任するまで利下げをせず、アクシデンタルに後任となった白川も利下げしたのは主要先進国では最後でした。
無謬性に拘る輩は、悲劇を拡大する。原発だけじゃないんですよね。

専門家と見做される人々が決してそれに相応しい能力を持っているとは限らないし、日本の場合には組織の意向に沿った”専門家”は得てして無能であり、有害ですらある。原発対応の稚拙さは、日銀の無能さと重なって見える。なんかね、デジャヴなんです。

FOMC議事録で早々に出口戦略を議論するメンバーには、福井と似た臭いを感じる。
大幅なGDPギャップが存在していることは明らかだし、第3次産業が経済の主体であるなかでは賃金動向やULCに注意を払わなければならない。そして、株価や、特に住宅価格の上昇を忍耐強く甘受しなければならない。賃金が鈍化し、住宅価格が下落を続ける中で出口戦略を検討するなんてのは、早過ぎる。

まそれでも、物価がゼロどころかデフレのなかで資産価格を殺しにいった福井の無能さと較べればはるかにマシではありますが。

唯一の救いは、バーナンキには”過ちを認める能力”があることです。リーマンショックの時も状況把握に時間はかかったけれど修正したし、10年初頭のMBS購入停止の失敗もQE2で修正した。フリードマンに対しても、FEDを代表して大恐慌時の対応の過ちを認めた。

だから、深刻な事態にはならないとは思う。けどね、注意しなきゃいけないと思うのですよ。米国の低金利こそが、株高、商品高、エマージングのインフレ懸念の主因でしょうから。
FEDが利上げしちゃったら全ての景色が変わるはず。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ちなみに、Case Shiller指数を時間あたり賃金で実質化したグラフ。

だいぶ下がりましたね。南東部や中西部といった内陸部では90年代を下回るほどにまで低下しています。NYやCAなどの東西両岸は90~2000年ころの水準を2割ほど上回る水準にとどまっています。ただ、これら両岸地域にはドル安や不動産安を理由に海外投資家の資金が流入しているとも指摘されています。
低金利も長期化しているし、そろそろ反転上昇してもおかしくないぞ、と。
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そしてFEDも注目していると評判の?CoreLogicのHome Price Index
CoreLogic HPI
・・・を紹介しているCRの記事
CoreLogic: Home Price Index increased 0.7% between March and April

HPIは季調前のデータであり、季調前の住宅価格は通常6月から上昇を始めるにもかかわらず、4月のHPIが+0.4%上昇しているとCRは指摘している。
HPIについて同様に興味深いのは、distressed sales除きの価格が前年比で上昇しはじめていること。これもね、利上げの理由にされかねないんですよね。
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by guranobi | 2011-06-02 21:11 | 米国