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2009年 12月 30日

WEO2009から・・・おまけ

石油が足りない、ということについてちょっと追加を。

2005年以降、ずっとWEOで書かれていた埋蔵量別の石油生産コストの推計の図表が今回のWEOではなくなっています。
WEO2008の図表はこれです。

2009年エネルギー白書:第3節 原油価格下落による上流事業への影響 2.上流事業の現状
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Producedは既生産分で、MENAが中東・北アフリカ。

ここで、石油やガスの埋蔵量について、WEO2008のp204あたりから丸写しすると。。。
資源の賦存量(Resource)と可採埋蔵量(Reserves)があって、人間が使えるのは可採埋蔵量です。
その可採埋蔵量は、”存在の確からしさ”によって1P, 2P, 3Pの3段階に分かれています。
1P(Proved)・・・既発見の可採埋蔵量と、確率90%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量
2P(1P+Probable)・・・1Pと、確率50%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量
3P(2P+Possible)・・・2Pと、確率10%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量

可採埋蔵量とは”商業ベースに乗る”という意味なので、市場価格が上昇すれば可採埋蔵量も増加します。また、回収技術が向上すればやはり増加します。例えば水平リグなど。現在一般に想定されている原油の回収率は35%程度らしいので、65%は地中に残されると想定されているわけです。

通常使われている可採埋蔵量は1Pの1.2兆バレルで、年間生産300億バレルで割ると40年。

そして、この図で示されているのは2P(Proved + Probable)だと思います。WEO2008では2.4兆バレル。この図のMENAとその他の合計に相当する。
で、これ以外にEOR(Enhanced Oil Recovery)や深海、北極圏、さらにはオイル・シェールや液化(GTL、CTL)を含めると8兆バレルも残ってますよー、という意味です。

重要なのはEORや深海、北極海よりも、本当に中東北ア(MENA)に1兆バレル超もの低コストの原油が眠っているのか、ということだと思います。
僕はこのデータをもとに「中東の低コストの原油が採掘されないのはおかしくね?」と言っているわけですが、中東に1兆バレルの原油が眠っていなかったら話の前提が覆るw

この分析は主にUSGS(米地質研究所)の調査結果WORLD PETROLEUM ASSESSMENT 2000に基づいたものです。

USGSの別の分析によると、石油の埋蔵量の増加はASSESSMENT 2000で想定されているペースを下回っている。
An Evaluation of the USGS World Petroleum, Assessment 2000—Supporting Data
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1995年から25年までの30年間の埋蔵量増加の予想数値に対して、96-2003年の8年間で実際にどれだけの埋蔵量が増えたかを検証したもの。
期間で按分すれば、27%が実現していれば予測値は当たっていることになる。

その結果は、既存埋蔵量の増加分は石油が予測値の28%、天然ガスが51%が達成されているのに対して、新規発見は石油が11%、天然ガスが10%しか達成されていない。
両者を合わせると、天然ガスの発見ペースは予想を上回っているのに対して、石油は下回っている。予想されたほどには石油の埋蔵量は増えていない、、、すなわち2Pの数値は高すぎるんじゃないか?という疑問が出てくるわけです。

加えて、WEO2009でこの表が消えたのは、ちょっと気になるw
まー、石油の分析そのものがほとんど無くなっているし、市場価格も変動しているし、鉄鋼などの原材料をはじめコストの変動も大きいので、コスト分析が難しかったのだろうとは思うのですが。。。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

これに対して、WEO2009は天然ガスに相当に大きな注力を払っています。

詳細はお読み頂くとして、現在、1Pは180tcmで年間消費3tcmに対して60年の可採年数があるわけですが、2Pはさらに巨大です。コンベンショナル・ガス(従来型の天然ガス)だけで405tcm、ノン・コンベンショナル・ガス(タイト・ガス、コールベット・メタン=CBM、シェール・ガス)を加えると785tcmという膨大な数値になります。
可採年数261年www

その組成パターンから天然ガスは石油よりも深い地層に埋蔵される傾向にあり、これまで開発が進んでいなかったとされること、近年、トルクメニスタン、ブラジルなどで大型ガス田が発見されていること、北米のシェール・ガス生産が本格化し、ノン・コンベンショナル・ガスの採掘コストが低下していること、その結果、欧州でもシェール・ガス調査が本格化していること、などはいずれも、ガスの巨大な埋蔵量の可能性を強めている。

尚いいのは、ガスはCO2削減に役立のみならず、CO2の話を除いても経済的な競争力があることです。
それだけ、安心して取り組むことができるんじゃないかと思います。
また、ガスを本格的に輸送用に使うようになると、この可能性はさらに広がることになるでしょう。

余談でした。
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by guranobi | 2009-12-30 10:35 | energy
2009年 12月 30日

WEO2009から・・・⑧

WEOで発電能力の予想も出ているんですが、それに基づいて中国とインドの発電能力の増加(純増)を見るとこんな感じ。
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中国の発電能力自体は増加しているものの、その純増分は、今後減少が見込まれます。
もちろん、原子力や風力、そしてガスといった分野はこれから上方修正されるんでしょうが、電力機械メーカーの株価が概ね低調なのは致し方なしかと。
01072 東方電気
02727 上海電気
01133 哈爾浜動力

インドはいいかも?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

最後に言うのもなんですが、エネルギーには手を出すべきじゃないかなーとw
その理由は、1つにはGDP比でのエネルギー投入量(原単位)は趨勢的には低下すること、もう1つは技術を理解できなきゃ話にならんような気がするんです。

原単位については、例えばこのグラフ。
わかりにくいかもしれませんが、71-2007年の間に、世界の実質GDPが3倍以上に増えているのに1次エネルギー投入は2倍しか増えていない。OECD諸国はさらにエネルギーの伸びが低い。Non-OECDもこれからそうなるでしょう。
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エネルギーは労働や資本と同様に生産活動に不可欠ではあるけれど、そうした投入資源をより少なくし、生産をより多くすることで付加価値を高めることができる。それこそが生産性の向上なんじゃないかと。
だから、エネルギー投入の伸びは実質GDPを長期的には上回らないと考えておいた方がいいでしょう。

名目ベースでは、エネルギー支出と名目GDPの比率は長期的にはあまり変わらないのかもしれないけれど、それは、エネルギーが有限で稀少性が増すからであり、エネルギー価格が一般物価の上昇を上回るということに過ぎない。なら、エネルギー株よりも商品価格に投資した方がいいんじゃないか?あるいは、エネルギー価格が上昇するタイミングにベットすることと同じじゃない?


また、エネルギーに限らないでしょうけれど、技術をある程度理解できないと、どうにもツボが判らんです。伸びる分野の見当がサッパリわかりませんよ。
まー、ネットの技術をわからなくてもネット株に投資したりするんですけれどねw

最後までgdgdで申し訳ないですが、これで終りです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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by guranobi | 2009-12-30 00:01 | energy
2009年 12月 29日

WEO2009から・・・⑦

Cap & Trade(排出権取引)についてですが、よく判らんのです。何が判らんのかさえも、よく判らんw

一応、書きますと。。。

WEOの450シナリオで想定されているCap & Tradeとは、まず国のカテゴリーが3つに分かれる。
-OECD+ ・・・OECDと、OECD未加盟のEU加盟国
-OME (Other Major Economies) ・・・2020年時点で1人当りGDPが13000ドルを超えると見込まれる、排出大国。具体的には中国、ロシア、ブラジル、南ア、中東諸国(インドは含まれないようですね。失礼しました。。。)。
-OC(Other Countries) ・・・その他すべて

その上で、OECD+のみが2013年から2020年をターゲットとして、発電と産業分野でCap & Tradeを始める。OMEは2021年から発電と産業分野でCap & Tradeを始める。この2つの排出権取引はリンクしない(2つの市場が併存するので、CO2排出権価格が2種類存在する)。
産業分野と輸送分野ではセクター別アプローチを採用する。
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読むからに怪しそうな臭いがするんですがw、どこが怪しいのかサッパリ分かりません。全く理解できない。

450シナリオでは、排出権価格はOECD+では2020年に50ドル、2030年に110ドルと想定している。
しかし、その一方で「特定の仮定のもとでは、450シナリオが実現すればCO2価格は2020年に8ドル、2030年に70ドルとなる」みたいなことも書いている。
By comparison, it is interesting to note that under the assumption of a global carbon market with a unique price, reaching the 450 trajectory would lead to global CO2 price of $8 per tonne in 2020 and around $70 in 2030 (according to the results of a modelling exercise using the OECD ENV-Linkages model).・・・Box5.2


CO2削減が成功すればCO2価格が低下するのは当然なんだが、450シナリオは割高なCO2価格を前提に成立しているんですよね。。。
例えば、CCSやCCGTの競争力強化にはCO2価格が不可欠となっている。
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OECD+とOMEの排出権市場がリンクしないとは言っても、裁定機会がある以上、なんらかの裁定が働くと考えるのが自然でしょ?

中国の立場で考えると、まず自分の目標を低くするために足元のCO2排出量は多めに維持する。セクター別アプローチにはとことん反対する。それが認められたなら、Cap & Tradeを実現させ、排出権取引でカネを稼ぐ。
欧州としてみれば、日本からカネを得られれば尚いいが、別に日本のカネが中国に向かおうと、Cap & Tradeが成立すればとりあえずOK。

穿ち過ぎですかねぇ。。。相当に慎重に臨むべきだと思うのですが。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

環境がらみの部分はロクに読んでませんし、サッパリなんですが、、、
前にも書いた通り、石油(液体燃料、輸送用)絡みの新エネルギーの方がよっぽど確実性が高いと思う。

電熱市場の新エネルギー・新技術については、Cap & Tradeが13年に導入されるかどうかがまず不明だし、CO2価格に依存したCCSなどの技術は、ちょっと怪しい。この分野は自前のコスト競争力では既存エネルギーよりも一般的に割高だし、政策に依存する部分が大きい。
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まぁ、わからんものには手を出さん、ということでw
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by guranobi | 2009-12-29 20:55 | energy
2009年 12月 28日

WEO2009から・・・⑥

まだネタがあるのが不思議ですがw

WEO2009が発表されたのは11/10、中国がCO2排出量の削減計画を発表したのは11/26です。
中国、GDP当たりCO2排出量を05年比40―45%削減へ
発表のタイミングに付いては、COP15を目前にして、というのが当たり前の解釈なんすが、、、WEOのリリースを待ったんじゃないかと思うのは穿ち過ぎですか?

中国のCO2排出量はGDP比ではロシア以上に非効率的で(下図、下段)、1人あたりの排出量は既に世界平均を上回っています(同、上段)。
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WEO2009のレファレンス・シナリオで示される中国のGDPあたりのCO2排出量は2005年から2020年に33%低下すると見込まれています。中国が発表した40-45%の削減計画とは、レファレンス・シナリオとの比較で言えば10-18%程度の追加の削減(抑制)に相当するでしょう。

また、レファレンス・シナリオでは2020年までの原子力増強計画が反映されておらず、おそらくはこの計画を反映させると1%程度の追加削減効果があるのではないかと思います。
(レファレンス・シナリオでは20年での原子力発電能力を40GWとしているが、実際には70GWと倍増させる。来年以降のWEOでは反映させる見込み。+30GWは20年の全発電能力の2%に相当。発電部門はCO2排出量の55%を占める)

仮に40%削減を実現したならば、2020年でかろうじて中東のGDP比排出量を下回る程度。これを大した努力と見るか、それとも依然としてロシア・中東並に非効率と考えるか。僕は後者ですけどね。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

主要国・地域の発電施設のCO2効率性を、化石燃料別に見てみる。最初はロシアを加えたもの。
左上が再生可能エネルギーを含めた電力全体でのCO2効率性。左下が石油発電、右上が石炭、右下がガス。
左上の全体ではロシアの効率性は最低ランクではあるけれど、中国やインドと大差ない。しかし、各資源別に見ると突出して効率が悪い。計算ミスか?
この数値が間違っていないとすると、ロシアの発電効率に踏み込まずしてCO2削減もないですね。加えてロシアは送電ロスも多いとされる。
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今度はロシア除き。
全体を見ると、ラ米のCO2効率の高さが際立つが、これはアマゾンとアンデスの賜物。ラ米の発電のうち2/3は水力が生み出しており、化石燃料の割合は合計でも28%に過ぎない。しかし、資源別に見るとラ米のCO2効率は高いわけじゃない。

それに対して、日本の発電施設のCO2効率性は全てのエネルギー源で高い。特に石油発電のCO2効率性は際立って高く、日本では石油からガスへのシフトは(欧米型のコジェネでない限り)、CO2削減には限界的な効果しかもたらさない。
いったい、ポッポ鳩山はどこからCO2を減らすつもりなのか?
なんちゅーか、論拠の乏しいスローガンが先走りして国民が苦労する様というのは、「日本の”大躍進”時代」という感じがするのは私だけですかね?
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それに対して、中国の発電効率は低い。日本と比較すると、同一の電力を生むのに、石炭で+23%、石油で+85%、ガスで+37%も余計にCO2を排出している。

仮に中国の発電所が今すぐに日本並の効率性になったとすると、0.5GtのCO2削減になる。これは、2007年のCO2全排出量の9%に相当する。

また、化石燃料の発電構成が仮にOECD並になるとするとさらに削減効果が大きい。
OECDの発電に占める割合は石炭37%、石油4%、ガス22%。その他の原子力や再生可能エネルギーの割合が変わらないとすると、中国の発電源は石炭49%(現在81%)、石油5%(同1%)、ガス29%(同1%)となる。つまり、石炭からガスにシフトすると仮定するわけですね。
その場合のCO2削減効果は1.0Gt、全排出量に対して17%になる。

つまり、発電施設の効率化で9%、発電源の石炭からガスへのシフトでさらに17%、合計26%の削減は十分に可能。

まぁ、、、机上の空論なのかもしれませんがね、、、この試算からはいくつかの可能性が考えられると思うのですよ。

-中国は将来的にガス発電に比重を移す。
-中国はCO2削減につながる発表を小出しにしている。
-さらには、現在のCO2排出量を”過大申告”しているかもしれない。

最初に、石炭からガスへのシフト。
レファレンス・シナリオでは中国の石炭消費は2030年に07年比+85%で増加し、世界の石炭の49%を消費する見込みです。石炭生産も同時に増やして2030年での石炭自給率は97%。
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石炭は石油やガスとは違って、固形物なので採掘・運搬の手間が余計にかかる。レファレンス・シナリオどおりに石炭生産を増やすのが物理的に可能なことなのかなー、というごく単純な疑問が1つ。
まー、それが可能だとしても、可採埋蔵量の制約も考えなきゃいかん。石炭は世界では可採年数150年とも言われる膨大な埋蔵量がありますが、中国の石炭埋蔵量は今のところそう多くはありません。2007年時点での可採年数は45年(BP資料から)で、レファレンス・シナリオどおりに採掘されると、2030年時点での可採年数は7年となります。
といって、輸入に頼るのであれば資源の安全保障上の意味は乏しくなる。石油やガスを輸入するのと大差なくなる。
埋蔵量の問題以外にも、度重なる炭鉱事故は社会的な問題となりかねないのでは?

と考えると、石炭からガスへのシフトを十分に視野に入れていると思うんですよ。

ただ、ガス市場を拡充するとしても問題は色々ありそうで。。。例えば消費価格が低すぎてインフラ整備が追いついていないらしい。
サーチナ:中国各地が「ガス欠」状態…供給不足で価格も半月で2割上昇

ここらへんの可能性としては、パイプライン拡充とか、ガス発電メーカーとか、LNG受け入れ施設、んー何かな?

また、邪推かもしれませんが、中国はCO2削減への取り組みをできるだけ小出しにしていると思うのです。
例えば、原子力や風力発電の計画は少しづつ上方修正されている。
もし、ガスへのシフトを含めて、大々的にCO2削減策を発表すると、それがIEAをはじめとする国際社会に”織り込まれ”てしまうので、できるだけCO2削減策を小出しにしているように思う。特に2021年から中国・インドなどでもCap & Tradeが導入されるならば、それまではCO2削減策の発表・導入を先延ばししたいんじゃないか?
さらに言えば、COP15でCO2排出量の国際査察を拒んだのは、足元のCO2排出量が”過大申告”だからじゃないか?

もしこういった推測が当たっているなら、ズルイけど、賢い選択かもしれない。
少なくとも、根拠も乏しく、自分のカッコ良さのためだけに25%削減をぶち上げるようなおバカよりも、遥かに国民のため、国益のために行動していると僕は思いますねw


まー、バカの話は置いておいても、本当に”地球愛”を発揮してCO2削減に取り組みたいのならば、中国(と韓国)と共同してガス価格についてロシアと協議するというのはアリだと思う。
詳細には確認していませんが、東シベリア・パイプライン計画が中露間で一旦頓挫した理由は、ガス価格の設定が合意できなかったからだとか。ロシアは石油を参照価格にするように主張し、中国は石炭価格をベースにしたかったらしい。前の記事で見た通り、僕は石油市場とその他電熱市場は分断されていると考えるので、ガス価格が石油価格に連動するように設定されるのは不合理だと思う。
日本は中国とともにガス価格の石炭連動を主張するべきだし、そうすることで中国のガス消費、石炭からのシフトを支援すれば、自分のCO2削減にはあまり繋がらなくとも、地球を救うことになるんじゃないか?

少なくとも、割高なLNG価格を是正することは日本の国益に叶うと思うのだが。。。
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by guranobi | 2009-12-28 17:51 | energy
2009年 12月 28日

WEO2009から・・・⑤

この表で見られるように、レファレンス・シナリオからの直接のCO2削減効果は2030年で年間13.3Gtですが、そのうち9.4Gtは発電設備から生じると見込まれています。
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その発電設備からの削減効果を国別に見ると、まず先進国。
高効率の発電設備へのシフトによる効果は日欧が小さいのに対して、米国は大きい。また、欧州では再生可能エネルギー、特に風力による削減効果が主体であるのに対して、日本の削減は原子力に大きく依存しています。これは、おそらくはそれぞれの国の方針を反映したものでしょう。
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ついで、その他主要国。中国とインドの削減効果は、米国と同様に高効率の発電設備へのシフトによる部分が大きく、また、水力開発の余地が大きいと考えられているようです。
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ここで話がそれます。
日本の温室効果ガスの削減効果は原子力に大きく依存する形になるわけですが、、、これ、おかしいんじゃないかと思っているんです。

近年、日本のCO2排出量が急増した原因の1つに、02年の東電の記録改ざんや07年の中越地震による原子力発電の利用率低下があります。
経済産業省:平成20 年度の原子力発電所の設備利用率について
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んで、例えば08年の利用率を施設別に見ると、柏崎刈羽が全部止まっているのは仕方ないとしても、経産省の資料が示唆するような、BWR(沸騰水型、オレンジ色)だから利用率が低いとかPWR(加圧水型、青色)だから高いという傾向は認められんのです。
それ以上に注目すべきは、利用率が80%を超えているのは、全54施設(09年1月にお亡くなりになった浜岡1,2号を覗いても52施設)のうち20に過ぎず、全体の63%は稼働率80%未満にとどまっていることです。
別に柏崎刈羽の7つの原子炉が止まったから日本の原子力発電の利用率が低いわけじゃござんせん。
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この傾向は、中越地震以前の06年でも同じ。利用率80%超は21施設にとどまり、全体の62%が利用率80%未満です。
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で、民主党政権は自民党と同じく原子力の利用率を87%だか88%だかに引き上げることで温室効果ガスを減らすそうですが、、、それって現実的なのかな?

確かに、過剰な検査による利用率低迷は避けるべきで、新検査制度による利用率の向上は必要でしょう。
三菱総研:「低炭素社会における原子力の役割 ~原発稼働率向上のために~」

海外の利用率では、90%前後は珍しくもない。
高度情報科学技術研究機構:海外の原子力発電所の設備利用率の推移

しかし、日本は地震国です。
”適正”な検査とは言っても、BSEのときに全頭検査を求めるお国柄。何か問題が起きたときに、利用率が長期間低迷するということはこれからも起きうることじゃないかな。

WEO2009のレファレンス・シナリオでは、既に2007年の段階で人口あたり、あるいはGDPあたりの原子力発電能力は世界最大級の日本が、さらに原子力に依存するというのは問題じゃないか?
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フランスが原子力に依存しているといっても、地震のリスクは少ないし、ヨーロッパは電力の輸出入が一般的なので、万が一の備えもある。
それに対して、日本は地震が起きれば火力発電に依存せざるを得ないし、Cap & Tradeが実施されていれば排出権購入も必要になるだろう。
災害が起きたときに、追加の支払いをしなきゃいけないというのは”逆”保険?

冗談にもならんと思うのですが。。。

それでも、東電をはじめ電力各社は原子力発電に積極的。
日本の電力市場の自由化が不十分であるとか、業界の癒着とかいろいろ理由はあると思いますが、
既存施設の利用率向上に取り組むのは当然としても、新規の発電能力は、例えば風力などの分散型発電に政策として重点をおくべきなんじゃないかな。。。

ど素人の疑問です。
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by guranobi | 2009-12-28 01:59 | energy
2009年 12月 27日

WEO2009から・・・④

さて、エネルギー市場が石油(液体燃料)とその他の主に電熱用エネルギーに”分断”されていると考えると、新エネルギーもその視点から分類できるような気がします。

石油(液体燃料)代替の技術としては、液化(CTL = Coal to Liquid, GTL = Gas to Liquid)、バイオフューエル、電化(電気モーター、蓄電)、そしてEOR(Enhanced Oil Recovery)も。

電熱用エネルギー代替の技術は、主に電力ですね。風力、原子力、太陽熱、太陽光(Solar PV)、高度火力発電(IGCC、Gas CCGT、Coal USC)、CCS(Carbon Capture & Strage)、地熱、潮力、あとは、、、水力、バイオマス。
そして、熱効率の高い建築技術や送電なども。

僕が考えるようにOPECによる価格操作が引き続き行われ、石油価格が割高に維持されていくのならば、前者の新技術は比較的に高い成長が期待できて、後者では不透明要因が多いのではないだろうかと思っています。
まー、かなり曖昧でいい加減な考えだろうと思うのですが。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ここで、WEOで提示されているもう1つのシナリオ、450シナリオに触れましょう。
成功したんだか失敗だったのかすらよく分からないCOP15でもよく話題に出ましたが、温室効果ガス濃度を450ppm(CO2換算)で安定化させると、50%の確率で平均気温の上昇を+2℃に抑えることができる、というものです。そのためには、2000-2049年の50年間に排出される温室効果ガスを累計で1.44兆トンに抑えなきゃいけない。
もし、レファレンス・シナリオどおりにエネルギーを使いまくったら、温室効果ガス濃度が上昇し、地球の平均気温は+6℃も上昇し、海面は最大で3.7mも上昇しますよ、というもの。
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例のデータ捏造事件でこういった前提も怪しくなった訳ですが、、、まぁ、最悪のリスクに備えるためにも温室効果ガスを抑制する努力はすべきだろうとは思いますです。

エネルギー関連のCO2排出は、レファレンス・シナリオから450シナリオではこのように抑制され、、、
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1人あたりのCO2排出は日本、中国、欧州ではほぼ同水準となります。
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でもねぇ、、、ほんとに米国がCO2排出を半減させますかね?中国もGDP対比はともかく、実数ベースでCO2削減に取り組むかな?

あと、過去のCO2排出量の累計については、こういうデータもあり。日本は過去については欧米やロシアほどには責任なさそうですが。
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レファレンス・シナリオでは、中国の累計排出は急速に積み上がっていく見込み。
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(まだ続く予定)
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by guranobi | 2009-12-27 22:33 | energy
2009年 12月 26日

WEO2009から・・・③

次は、主に化石燃料の市場構造です。WEO2009のレファレンス・シナリオから。
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石油の消費は輸送用に集中し、その他の産業用、家庭用は石油以外のエネルギーが担っていることが分かります。

同じような内容になるのですが、データを加工したものがこちら。
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円グラフは2007年での世界の1次エネルギーの熱量ベースでの構成割合。金額では石油の割合が2/3と圧倒的でしたが、熱量ベースでは化石燃料は1次エネルギー全体の8割を概ね3等分しています。

棒グラフは石油、石炭、天然ガスの最終利用目的の推移です。「その他」とはエネルギー外利用などではないかと思うのですが、、、詳しくはOECDに聞いてください。すみません。

2007年時点で石油の53%は輸送用に使われています。1970年でも発電用の割合は11%と少なかったのですが、07年では7%とさらに低下。産業用が70年の21%から07年の8%まで劇的に低下しています。
おそらく、代替可能な分野は他の資源(天然ガス、電力等)で代替していったのではないかと。

輸送用エネルギーのうち94%は石油です。バイオフューエルの割合は1.5%。2030年での予測は石油92%、バイオ4%。
貴重で割高な石油は主に輸送用として使われるようになっています。

一方、石炭の68%、ガスの39%は発電用です。「その他セクター」とは、「最終消費」のうちの「産業用」「輸送用」以外の部分なので、主に家庭用の暖房用などではないかと。Worldでのガスの「その他セクター」の割合は24%でしかありませんが、米国では33%、OECD欧州では39%に達しています。
ガスは発電のみだとエネルギー効率は最大40%程度だが、電熱併用のコジェネレーションでは80%程度にまで高められるらしいですね。WEOではコジェネがどう分類されているかは不明です。


当たり前のことなのかもしれませんが、エネルギー市場は輸送用の石油と、電熱用のその他エネルギー源に2分されていると考えるべきじゃないでしょうか。前者は今の技術水準では代替が非常に難しく、後者は代替可能。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

石油に関しては、WEO2009からさらに引用を。
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2007年から2030年にかけての石油需要の地域別・目的別の増減予測。OECDは輸送用を含めて全目的で石油需要が減る。それに対して、中国・インド・中東での輸送用が石油需要を押し上げる。
既に金融危機前の2005年をピークにOECDの石油需要は輸送用を含めて減っている。もちろん、燃費向上とSUVなど低燃費車からのシフトによるもの。日本の石油需要のピークは99年で、2008年の消費量は99年比88%にとどまります。
これに関しては、こちらの資料を。
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日本の自動車のCO2排出効率(≒燃費)が2000年代を通じて急速に高まっている事がわかります。ただし、ディーゼル主体の欧州はさらに高効率ではありますが。レファレンス・シナリオでは、欧米中の低エミッション車支援策は既に織り込まれているとのこと。

Non-OECDの石油需要を膨らませるのが自動車。中国・インドの軽乗用車の所有台数は2007年から30年にかけて8-10倍になると見込まれている。
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by guranobi | 2009-12-26 00:25 | energy
2009年 12月 25日

WEO2009から・・・②

今度は、化石燃料の価格を見てみましょう。ほんとはウランや電力にまで広げたかったんだけど、気力が持ちませんでしたよ。

WEOではシナリオ作成のために、GDPなどの前提を外挿するんですが、価格もその1つです。
今回WEO2009でのガス、石炭価格は以下の通り。これは、原油価格(ブレント)に対する相対価格の推移です。
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そして、これと似たものをBPのStatistical Review of World Energyなどから作りました。

最初は、これ。
同一熱量(1MBtu)あたりの、石油、天然ガス、石炭の実質価格です。
石油は1MBtu = 5.8barrel、石炭は = 19.988tonneとして熱量換算しました。
石油は1barrel = 5.8MBtu、石炭は1tonne = 19.988MBtuとして熱量換算しました。
1バレル75ドルとすると、5.8で割って12.9ドルが1MBtuあたりの価格となります。
天然ガスは1MBtuが通常の売買単位なので、天然ガスはそのまま使う。
2009年の価格データは可能な限り直近で、市場価格のあるものは12/18、cif(通関価格)は10月データっす。ICEの石炭先物の出来高がチョー細いとかは無視でw

さらに、米国CPIを使って2008年基準の実質価格としました。
b0165963_1324791.gif


ちなみに、、、石油は化石燃料の中では一物一価が成立している方です。石炭はもともと炭化も違うし、硫黄含有量などの差異も大きい。また、天然ガスはガスそのものの組成分に大差はないんだろうけれど、例えばUAEのガスはCO2含有量が多くてLNG液化が難しかったりする。それ以上に大きな要因は、ガスなので容積あたりの熱量が少なく事実上の輸送手段がパイプラインかLNGに限られるので、長期契約が主体となり、生産地と消費地の直結度が非常に高い(LNG受け入れ地には再ガス化施設が必要なので受け入れ地が限られる)。そのため、ガス価格は地域間での価格裁定が起きにくく、北米、欧州、アジアで非常に大きな格差が生じる。
Henry Hubとは、ルイジアナにある北米最大のパイプラインの結節点です。NYMEXなどで取引される北米の卸市場のガス先物はほとんどのケースでHenry Hubを対象としていると思います。
欧州ではZeebrugge(ベルギー), TTF(蘭), NBP(英)と3つの代表的な結節点が熾烈に競合していて、加えてドイツ国境渡し価格(ただし月次)という指標価格もあるらしい。詳しいことは判らんです。。。

このグラフで特徴的なことの1つは、日本のLNG輸入価格は90年代の低価格期には石油を上回っている一方で、2000年代の価格上昇期には石油価格ほどには上昇せずに石油価格を下回っていることです。これは、もともと日本のLNG契約の9割が長期契約で、石油を参照価格としつつ、上昇期には逓増する形となっているためだと思われます。ただし、JOGMECだったかのレポートでは2009年以降に長期契約の更改があるとかでしたが、その帰趨は調べてません。。。

Henry Hubの価格が2005年にピークを付けているのはハリケーン・カトリーナの影響じゃないかと思うんですが、、、

で、これをWEOと同じように相対価格にしました。
b0165963_411415.gif

まず石炭は日米欧すべての市場で90年代よりも相対価格が低下している。石油価格の上昇にキャッチアップできていない。同一熱量の石油に対して0.2-0.5程度の価格にとどまっています。
また天然ガスは欧米市場で、2006年以降の相対価格の下落が顕著です。2009年の直近でも、足元の天然ガス価格の反発にも関わらず、歴史的に見て低い相対価格にとどまっています。
あるいは、石油価格がガスや石炭に対して”割高”な水準にとどまっています。

私は、8月に書いた石油価格についてで述べた通り、石油価格は寡占市場の特性を持っており、OPECによって割高な価格に維持されているのではないかと考えています。

OPECによる石油価格の操作を支えている市場構造がエネルギー市場の2分化ではないかと思います。
石油(あるいは液体燃料)と、それ以外の主に電力に振り向けられるエネルギーの2つに"分断"されているんじゃないか?
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by guranobi | 2009-12-25 23:16 | energy
2009年 12月 25日

World Energy Outlook 2009からちょっとだけ

久しく書かずにすみません。

エネルギーをちまちまと調べていたんですが、正直に言って挫折しました。
挫折しただけで終りだと悔しいので、愚痴を書き連ねます。愚痴なので、いつも以上にまとまりがありませんし、新エネルギーとか全く届きません。念のため。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

エネルギーを調べようと思った理由は、全く見当がつかないからです。
例えば日本のGDPならおおよそ500兆円、消費が7割で、米国のGDPは日本の3倍弱、と適当にイメージが持てるんですが、エネルギーはサッパリ。

調べていて思ったのは、エネルギーで使われる単位が多すぎることが、わかりにくい理由の1つかなーと。
原油の一般的な単位はバレルですが、1バレル=159リットル、ペットボトル80本。
これは容積の単位ですが、熱量で表すと5.8MBtu(百万英熱量)=6.1GJ(ギガ・ジュール)。カロリーで表現されることもある。そして、石油以外のエネルギーと比較するときは石油換算トン(TOE, Tonne Oil Equibalent)で比較する。細部については、換算数値が年や国で変わるし。

ジュールで統一してくんねーかな。。。
ガスだと、、、bcf, bcm, kl, tonne, MBtu, kcal, Toe, 石炭はtonne, Toe, 電力はkwh, Gw, Toe,
エネルギーやっている人って、さくっと使い分けできるんですかね?それとも、重要じゃない?

とりあえず米EIAのHPが熱量換算に関しては使えます。
Calculators for Energy Used in the United States
JOGMEC: 資源換算表

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さて、世界で原油がどれほど生産・消費されているか、ご存じですか?
僕は知りませんでした。

おおよそ日量8200万バレル(bpd, barrel per day)です。
1300万立方メートル=klであり、235m四方の立方体に相当する。東京ドーム11個分。
これだけの量の石油を毎日消費している。地球のサイズからすれば大したことは無いのかもしれないが、膨大なボリュームですね。

んで、年間では300億バレルを消費する。
1バレル=70ドルとすると、2.1兆ドル=200兆円が石油の1次的な市場規模、ということになります。

同様に、ガスの市場規模は6800億ドル=60兆円(2007年消費量100Tcf(兆立方フィート)、1MBtu価格=6.75USD)、石炭は3300億ドル=30兆円(2007年消費量46億トン、1トン価格=72.84USD)。

石油とあわせて3兆ドルが化石燃料の市場規模。

World Energy Outlook 2009のレファレンス・シナリオ(基本シナリオ)に基づいて計算すると以下の通り。
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化石燃料の市場は世界のGDPの5%を占めており、この比率は2030まで変わらない想定です。

化石燃料消費金額の対名目GDP比を地域別に見ると、2007年のOECD平均は4.3%、北米5.1%、日本3.7%、OECD欧州3.2%、ロシア9.0%、中国5.0%、インド3.7%、中東9.9%、アフリカ5.4%、ラ米4.0%。ロシアと中東のエネルギー消費が突出しています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

WEOはかなり高いので、過去分はWebcast Plusで調べて大学図書館で借りました。

これからの記事は著作権に引っ掛かる部分とか計算ミスとかあると思うのですが、、、お見逃しは、、、難しいかな。

WEO2009もろくに読んでいませんが、WEO2008の焼き直しという感じがするので、もし読むならば2008の方が参考になるかもです。
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by guranobi | 2009-12-25 23:13 | energy
2009年 12月 09日

Carbon Derivativesは第二のCDS

Naked Capitalism経由で、
Washington Blog: Woman Who Invented Credit Default Swaps is One of the Key Architects of Carbon Derivatives, Which Would Be at the Very CENTER of Cap and Trade
CDSを発明したJPMのBlythe Mastersは、今はJPMのCarbon Tradingのヘッドをしており、Carbon Derivativesのキーパーソンのひとり。

田中宇: 地球温暖化めぐる歪曲と暗闘(1)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

正直、Cap & Tradeの話まで行けていないので、具体的になにが問題なのかは分からない。
しかし、怪しさはすごーく感じる。
備忘録として
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by guranobi | 2009-12-09 07:18 | energy