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カテゴリ:米国( 28 )


2010年 08月 29日

バーナンキ講演について・・・反省してます

かなり量が多いです。ご注意。

The Economic Outlook and Monetary Policy

これまで米国を含めてマクロ情報をほとんど見てなかったので、Monthly Report on Credit and Liquidity Programs and the Balance Sheetを読んだりしたんですが、米金融政策に関するバックグラウンドがスッカラ管でしたね。エラソーにコメントしていたことが恥ずかしくなりましたよ。
それでも、今んとこの考えを書くわけですが。。。

最初に、前半の経済分析について。
気になることが3つある。

1つめは、バーナンキは住宅取得補助が4月で切れた影響の大きさを十分に認識していないように思えること。下線部分のように触れてはいるんだが、その後で住宅着工には強弱双方の要因があると言っている。住宅もかなり減ったのでGDPに占めるウェイトも寄与度も小さくなっている。だけど、先食いした反動は暫く続くはずで、住宅需要の低下→住宅価格の下落→銀行の財務内容の悪化+ネガティブエクイティ拡大による個人消費低下、というルートのリスクは十分にあるし、そうなったときのインパクトは非常に大きい。このシナリオに全く触れていないのは、意図的に避けているのか、ほんとに考えていないのか、わからない。

Household finances and attitudes also bear heavily on the housing market, which has generally remained depressed. In particular, home sales dropped sharply following the recent expiration of the homebuyers' tax credit. Going forward, improved affordability--the result of lower house prices and record-low mortgage rates--should boost the demand for housing. However, the overhang of foreclosed-upon and vacant housing and the difficulties of many households in obtaining mortgage financing are likely to continue to weigh on the pace of residential investment for some time yet.

これに関連して、2つ目は金融システムの脆弱性への懸念が見られないこと。
スティグリッツ教授:米国では、銀行がB/S上に抱える資産の多くが本当の市場価値を大きく上回る水準となっていることをわれわれは承知している
という見方もあり、金融システムの脆弱性は現に存在していると考えるべきだろうし、再度深刻化するリスクも十分にあるのではないか?

ただ、家計と中小企業向け融資がタイトであることはアネクドートも含めて把握しているようで、この点はちゃんと見てたのね。失礼なこと言ってごめんね、バーナンキ。


3つめ、最も懸念されるのは、個人消費を強めに見過ぎてないか、ということ。特にホームエクイティローンに全く触れていないのは解せない。ここで指摘したとおり、HELは家計所得・消費の抑制要因になっているのは間違いないし、その影響は14年いっぱいまで続く可能性が高いと僕は思う。

Consumer spending may continue to grow relatively slowly in the near term as households focus on repairing their balance sheets. I expect the economy to continue to expand in the second half of this year, albeit at a relatively modest pace.

Despite the weaker data seen recently, the preconditions for a pickup in growth in 2011 appear to remain in place. Monetary policy remains very accommodative, and financial conditions have become more supportive of growth, in part because a concerted effort by policymakers in Europe has reduced fears related to sovereign debts and the banking system there. Banks are improving their balance sheets and appear more willing to lend. Consumers are reducing their debt and building savings, returning household wealth-to-income ratios near to longer-term historical norms. Stronger household finances, rising incomes, and some easing of credit conditions will provide the basis for more-rapid growth in household spending next year.

短期的には個人消費は弱いけど、11年以降は伸びを高めるだろうと見ていて、その根拠を資産/所得比率の改善、所得増加、与信姿勢の改善、としている。
でも、ほんとにそうか?
なにをもって資産/所得比率が改善していると言っているのか不明だが、仮に純資産で見ているとしてもさほど改善しているようには思えないが。また、今の状況はネットで見るべきではない。資産サイドでは、株価による資産効果とは多分にセンチメントに影響されるものだろうし、足元では下落している。地価上昇の恩恵を実現したHELは効かない。逆に、ネガティブ・エクィティと脆弱な金融システムのもとで負債サイドでのHEL適正化圧力は必ず長期化ないしは(調整が短期ならば)激化する。→CR:Percent Homeowners with Mortgage Negative Equity by state
住宅・個人消費が弱いならば、雇用・所得は何をもって増えていくのだろう?また、住宅価格が下落するならば与信姿勢は一層タイトになるんじゃないか?
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バーナンキをはじめFOMCメンバーの経済見通しはこれまでやや強気過ぎた。その見誤った原因を彼は直視していない、ないしは認識していないように思う。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

以上の経済認識・見通しのもとで金融政策について述べている。
以前のFOMCで述べられたらしい(詳しく確認してません)、①長期証券の追加購入②金融緩和を続ける「期間」についての表現変更③超過準備付利(IOER)の引き下げ、に加えて④中期のインフレ見通しの引き上げ、について考察を述べている。以下、青色部分は概要を意訳。

①長期証券の追加購入
金融システム機器の局面では信用政策として大きな効果があったが、ここからのさらなる量的緩和(長期証券の追加購入)にどれほどの効果があるかは、未経験の領域なのでわからない。逆に、FEDの出口戦略を難しくするとの疑念を生めば望ましくない期待インフレの上昇を生むかもしれない。もちろん、インフレ期待がが低すぎたり、ましてやマイナスの場合にはインフレ期待の上昇はベネフィットとなる(Of course, if inflation expectations were too low, or even negative, an increase in inflation expectations could become a benefit.)

・・・とちゃんと言っているんだから、前半だけを切り取って悪用するなよ、日銀w

②金融緩和を続ける「期間」についての表現変更
略(ちゃんと「期間」の意味は伝えているけど、変更も検討するよ、という感じかと)

③超過準備付利(IOER)の引き下げ
効果は低いだろう(However, under current circumstances, the effect of reducing the IOER rate on financial conditions in isolation would likely be relatively small. )。なぜなら、IOERを引き下げたとしてもFFレートが10-15bp以上下がることはないだろうし、長期ゾーンへの効果はさらに小さいだろうから。また、IOERをゼロにすると短期金融市場の流動性に支障をきたす虞がある。

・・・だってさ。事の軽重もわからない間抜け、って言ってごめんね、白川。

④中期のインフレ見通しの引き上げ
今のところ、FOMC内ではこの選択肢に対する支持は全くない。恐らくは、デフレが長期化して中央銀行が物価安定を実現できないのではないかと公衆の中銀に対する信任が著しく弱まった場合には、インフレ期待をシフトさせるためにドラスティックな手段が必要とされるため、このような手法は理にかなっているかもしれない。(Conceivably, such a step might make sense in a situation in which a prolonged period of deflation had greatly weakened the confidence of the public in the ability of the central bank to achieve price stability, so that drastic measures were required to shift expectations. )
しかし、現在の米国ではインフレ期待は安定しているし、実際のインフレ率も物価安定の範囲に収まっているため、このような手段は不適切だ。FEDに対する信任を損ない、リスク・プレミアムを高めるかもしれない。


・・・下線部分は、日本と日銀のことですね。よくわかります。

では、どういった環境・基準でこれらの対策を検討・実施するかというと、a.デフレリスクが高まったとき、b.経済の著しい悪化が見られたとき。
At this juncture, the Committee has not agreed on specific criteria or triggers for further action, but I can make two general observations.

First, the FOMC will strongly resist deviations from price stability in the downward direction. Falling into deflation is not a significant risk for the United States at this time, but that is true in part because the public understands that the Federal Reserve will be vigilant and proactive in addressing significant further disinflation. It is worthwhile to note that, if deflation risks were to increase, the benefit-cost tradeoffs of some of our policy tools could become significantly more favorable.

Second, regardless of the risks of deflation, the FOMC will do all that it can to ensure continuation of the economic recovery. Consistent with our mandate, the Federal Reserve is committed to promoting growth in employment and reducing resource slack more generally. Because a further significant weakening in the economic outlook would likely be associated with further disinflation, in the current environment there is little or no potential conflict between the goals of supporting growth and employment and of maintaining price stability.

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

と読んでくるとですね、FED内の意見の対立の前に、バーナンキの経済認識がちょっと甘いんじゃないか、もっと危機感を持って前のめりになっていいんじゃないかと思うのですよ。
(前の記事の内容とは異なりますね、すみません)

なぜなら、前のFOF分析で見たとおり、家計のHELの調整は14年くらいまでかかると思われるし、また、ABSのモーゲージ処分≒商業銀行の財務体質の健全化にも同じくらいの期間がかかると思う。もしそうなったら、デフレ圧力が今よりも強まるんじゃないかなー。

また、対策を打つ基準にはc. 住宅価格が加えられるべきじゃないか?住宅価格が再び下落し始めたら怖いよね?



対策①~④のうち、③IOER引き下げは確かに効果が小さそう。②期間は、④中期インフレ見通しを引き上げたときにペアで設定されるだろう(「コアCPIが2%を超えるまで異例な緩和政策を続ける」、とか)。
目先の具体的な対策は①長期証券の追加購入となるだろう。

ここで気になるのは、MBSもAgencyも、FOMCで定めた上限近くにまで膨らんでいるということ。

09年3月に決められた上限は、MBSが1兆2500億ドル、Agencyが1750億ドル、長期国債が3000億ドルなんだが、直近週ではMBSが1兆1032億ドル、Agencyが1565億ドル、長国は不明(たぶん調べればわかる)。MBSの余裕は1468億ドル、Agencyでは185億ドル、計1653億ドル。

FOFで見た、エージェンシー債・GSE-MBSのホルダーを見ると、Money market mutual fundsはあと3000億ドルは減らすかもしれない。Mutual Fundsが保有を増やすかもしれないが、恐らくは緩やか。海外は住宅政策が未だ不透明な中、売り手を続けそう。と見ると、FEDはMBSとエージェンシー債の保有を3000-4000億ドルは増やすのが望ましいし、その場合には今の上限から2000-3000億ドルほど引き上げられる、という感じか?
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少なくとも、低金利と住宅販売の低迷という状況では、今後のモーゲージ組成は借り換えが主体になる。となると、FEDが保有するMBSの償還がどんどん進む。バーナンキは講演で、2011年末までに4000億ドルがプリペイされると言っている。
そのプリペイをそのままFEDが国債に再投資していたら、エージェンシーやGSE-MBSをいったいどこが引き受けるというのだろう?

バーナンキが講演の最初に行っている通り、中央銀行の努力だけでは不足で政府部門の関与が不可欠。ファニー、フレディの最終的な処分には財務省・政府が損失を被らなければならないし、なによりもGSEに変わる住宅制度が明らかにならなければ、国内外の民間投資家の資金が住宅市場に入るだろうか?
新たな住宅制度の概要が明らかになるまでは、少なくともFEDが住宅資金を提供するしかないと思うののだが?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

もうちょっと話の続きがあって、FEDの債務を見るとこのように。もう紙幣なんて半分以下で、多くを超過準備に頼っている。で、2010年に入ってからは財務省からの調達が増えている。
MBS、Agency債、国債であれ保有量を拡大する場合にも財務省からの調達を増やさざるをえない。また、③IOERを引き下げると超過準備が減って、財務省からの調達を増やすことになる。この点からも、IOERを引き下げる可能性は低いと思う。
MBS償還分を国債に振り返るならば、財務省から調達した資金を国債に投入することになる。もちろん、短期調達、長期国債購入ならば、イールドをフラットニングさせる効果はあるが、国債に投入するよりも、もう暫くは信用政策を維持、拡大するべきなんじゃないかなー。
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たぶん、ピントがずれているところが多々あると思いますが、どうかお見逃しを。
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by guranobi | 2010-08-29 23:02 | 米国
2010年 08月 19日

米国家計のバランスシート調整 FOFから・・・ラスト

以上、FOFをベースにざっと見たわけですが、詳しくは個別銀行のF/Sなどと照らしあわせるべき。
FOFベースのデータではGSEや商業銀行のオンバランス化が進んでいるようにみえるが、個々のF/Sではとっくにオンバラされているのかもしれないし、逆に隠されているのかもしれない。
・・・なんだが、そこまでは無理w

片手落ちなのは承知で考えを述べると、
FEDの出口戦略が時期尚早であることは明白。借り換えによってFED保有のMBSが予想以上のペースで減少しているならば、その資金を国債のみならず、ABSやCPなどの短期市場に振り向けることが望ましいと思う。
つまり、バランスシート調整の進展に合わせて信用政策のターゲットを変えていく。その場合には資金量はさほど大規模である必要はなく、ケアしていることを示せば市場心理は好転するんじゃないかな。

前回FOMCのアナウンスメントはたぶんデフレ懸念の強まりに対応したものだと思う。デフレ懸念はそれはそれで大事だけど、マクロデータだけじゃなく、金融市場参加者との意見交換、監督を通じてもうちっと詳しく市場の状況を確認するべきでは?

まー、どういう対応が出てくるのか楽しみだけど。

Calculated Riskさんが指摘する通りに、借り換え支援を進めることも重要で、たぶん、CR氏指摘の通り商業銀行の簿価切下げが必要になる。
FOFで見る限りは、ABS(SIV、CDOなど)の処理は未だ途上。米銀は不良債権処理を一括で処理し終わったわけじゃなく、欧州と同じように時間を稼いでいる面もある、と思う。

米国の金融危機は金融機関のみならず家計のバランスシートまでも毀損している。対して欧州では基本的には金融機関の問題じゃないかと思う。もちろん、スペインなどでは不動産バブルが発生したけれど、ドイツやフランスで問題が起きたわけじゃない。
金融機関の危機は基本的にカネを突っ込めばOKだが、家計に突っ込むわけにはいかない。金融緩和による間接的な支援と、借り換え支援などのミクロ政策で対応するしかないし、時間がかかる。だから、経済回復の程度は米国の方が脆弱だと思う。二番底というよりも、長い調整のプロセスがまだまだ続いていると考える。

・・・てな感じで。
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by guranobi | 2010-08-19 00:07 | 米国
2010年 08月 18日

米国家計のバランスシート調整 FOFから・・・③

さて、このような金融収縮は未だに米国家計に影響を与えていて、その1つがホームエクイティローン(HEL)。
可処分所得の11%程度に高まったHELの残高は足元では10%を切る程度にまで緩やかに減少した。が、このペースで減り続けると2014年いっぱいかかる。
HEL減少の影響は年率で可処分所得の1%程度に相当し、消費の抑制要因(貯蓄率の上昇要因)となっている。あと3年余りHELがこれまでと同じペースで減少し、一方で可処分所得が緩やかに拡大を続けるならば、14年末でHEL/可処分所得比率は5%程度に。
ま、これが有り得べきシナリオで、雇用が順調に増加したとしても実質的な所得(可処分所得+HEL)も個人消費も弱かろうと見ておくべき。

また、金融機関のHEL貸出は全業種にわたって削減中(右側)。
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HELに関するもうひとつの大問題は地価下落に伴うネガティブ・エクイティであることはご存知の通り。
HEL残高を世帯数で除してCase-shillerと比較してみた。左上が全米のCase-shiller指数で、他3つはバブりが大きかったCA(SF、SD)とFL(Miami)。全米平均のCS指数と比較すると調整終了まで2012年くらいかなー、とも思えるが、代表的な3地域の地価と比較するとやっぱり2014年が目安になりそう。サブプラ、Alt-Aの中心がCA、FLであることを考えると、後者をメインで。

地価下落のスピードが急であったのに対してHELの減少ペースは遅い。仮に、Calculated Riskさんが言うとおりにここから地価が再下落するならばHELの減少期間が伸びるとともに、米金融機関への不安が再燃しかねず、市場へのインパクトは大きいだろう。
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ABSが急減させた消費者信用だが、その一部は商業銀行が補っている(右側)。しかし、あわせてみれば大幅な削減。▲1177億ドル、約10兆円。年率じゃないっすよ!ABS削減のさらに一部を金融会社が補っているとしても▲686億ドル。

ただし、消費者信用は住宅バブルほどには膨らんでおらず、過去平均と比較しても特別に高いわけじゃない。なので、金融機関の与信姿勢によっては回復が早いかもしれない。自動車販売なども可能性がないわけじゃないかと。
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最後に、3年前にDoblogでやったモーゲージ関連の資金フローをアップデート。なつかしい。。。
07年Q3から10年Q1までの変化量(単位:10億ドル)。
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by guranobi | 2010-08-18 23:02 | 米国
2010年 08月 18日

米国家計のバランスシート調整 FOFから・・・②

ABS発行体の資産・負債の状況、そしてCP市場
右側の負債から見ると、ABS発行体の社債が減少しているのは先程見たとおり。そしてABS発行体のCP、すなわちABCPはほとんどなくなってしまった。サブプラ問題の発生から2年をかけてABCPは役割を終えた。まー、いずれ復活するだろうけど。

左側でABS発行体の資産内容、すなわちABSの裏付け資産の推移を見る。
10年Q1の社債急減に対応して減ったのは消費者信用なので、消費者信用を裏付けとしたABSが満期を迎え、その一部を親銀行が引き受けた、ということかと。
そして問題はABS資産のなかの不動産(Mortgage)で、これこそがAlt-Aなどのリスクの高い不動産貸付の主体だと思うが、まだ十分に減っていない。資産サイドで不動産貸付が金利リセットを迎えることで順次、負債サイドのABS社債も減っていく、というシナリオかな?

下段のCP市場。
左側のCP発行主体を見ると、ABCPが急減するのと対応して商業銀行(銀行持ち株会社)のCP発行が急増している。資産サイドでABSの保有資産を引き受けるとともに、負債サイドでCPを発行した形に。このCP水準が当面維持されるのか、それとも長期債務(社債)に切り替わるのかはデュレーション・マッチング次第か。

CP市場でより重要なのは右側のホルダーの推移で、多くの投資家がCP市場から逃げている。
NGOは08年に急減させた後に全くCPを持っていない。地方政府、投信も、そしてブローカーも絞ったままであり、最終投資家、ブローカーともにCP市場に対して慎重。流動性は短期国債が供給しているんじゃないかな。
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モーゲージ(不動産貸付)のホルダーの内訳。
GSEの統計上の変更を除外するためにここではGSEのオフバラとオンバラをあわせている。ABS発行体が保有するモーゲージは安定的に減っていて、1兆ドル程度まで減るにはあと3年ほどかかる計算に。
また、商業銀行のモーゲージ資産が緩やかに増えているが、ABSから引き受けた分が含まれているとすると、実質的にはモーゲージ資産を減らしているんじゃないかと思う。
結局、米国のモーゲージは国有化されたGSEが担っており、その証券化されたGSE-MBSやGSEのエージェンシー債をFEDが買うことで支えている。
そういえば、ファンドプリーフ債を参考にするという話はどうなった?全くフォローしてないがw
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by guranobi | 2010-08-18 21:12 | 米国
2010年 08月 18日

米国家計のバランスシート調整 Flow of Fundsから・・・①

あと1ヶ月もすればFlow of Fundsが更新されるんですが、二番底が懸念されているらしいので。

たぶん、似たようなことはどこぞがやってると思いますが、確認のため。簡単に。

最初に各証券の保有者の推移。
下図は上が国債、下がエージェンシー債・GSE-MBS債
左側は保有者別の推移、右側は増減(年率表示)。

米国債の保有は、残高でも足元のフローでもますます海外に依存している。ドル安の主因。
足元のフロー(右側)を見ると、まず国債増発の規模の大きさに目を引かれる。海外の購入は4割程度。後ほど見る他の証券と比べると、国内の投資家が軒並み買い続けている。特に家計はサブプラ以前はほとんど米国債に見向きもしなかったのに、今は主要な買い手質への逃避ですね。

エージェンシー債とGSE-MBSについては、10年Q1に統計上の変更が行われたので分かり難くなっています(下の脚注参照)。フロー(右側)を見ると、過去2年間、Monetary AuthorityすなわちFRBがほぼすべての買い手となっており、かろうじて足元10年Q1に家計が買い手に回りました。その他の投資家は引き続き売り続けている。
その結果、FRBはエージェンシー債・GSE-MBSの最大のホルダーになりつつある(左下図)。
1月のMBS買い入れ停止は、MBS市場環境などを考えると早過ぎたんじゃないかなー。
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注:
エージェンシー債とGSE-MBSについては10年Q1にデータの変更が行われています。具体的には、ファニメとフレディが発行したMBSのほぼすべてがファニメ、フレディのエージェンシー債に貸借ともに組み込まれました。両社からMBSとしてオフバラされていたものを統計上、オン・バランスに戻したのです。詳しくはFOFを参照されたし。

注:
GSEとはGovernment-sponsored enterprisesの略で、実質国有化されたファニメとフレディ・マック、それにジニメィ、FHLBなどです。
エージェンシー債とはGSEなどが発行する債券で、以前は国債に準じる信用度が与えられていましたが、サブプラ危機を経て信用を失いました。ただ、ジニメィなどの信用が失われているとは思いませんが、マーケットの状況を確認していませんので、詳しいことはわかりません。
MBSとはMortgage backed securitiesの略で、不動産貸付(=Mortgage)を裏付けとした証券化商品です。GSE-MBSはGSEが証券化したMBSです。
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社債・外債の状況。FOFではこの2つは合算して計上されてます。
上が発行主体、下が保有者です。
非金融法人の社債発行はほとんど影響を受けずに増えている一方で、ABS発行体の社債が急速に減少している。ABS発行体(Issures of ABS)にはCDOやSIVなどのサブプラ問題のゴミ溜めが多く含まれているとみられる。ABS発行体が発行した証券・債務のうち満期が長めのものの償還が本格化しているのかもしれない。
これと対をなすように商業銀行の社債発行が増えているが、これはSIVやCDOのオン・バランス化が未だにつづいていることを示していると思う

下段で社債・外債の保有者の状況を見ると、年金や保険、投信が買い手になっているが、この規模は非金融法人が発行している社債の規模とほぼ同じ。
FOFでは社債・外債として合算計上されているけれど、たぶんその中でマーケットは全く分断されている。
オンバラ化しているはずの商業銀行はネットで売り手となっており、依然として資産内容の再構築を迫られている。金融規制法への対応とともに、サブプラ処理のために。
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by guranobi | 2010-08-18 20:23 | 米国
2009年 03月 22日

かんべえ先生の米国経済分析

溜池通信 March 19, 2009
米国は「みずからの失敗から学習する」という偉大な能力を持つといわれる。しかるに他人の失敗から学んだり、他国の忠告を受け入れたりすることが得意とは言えない。従って今回も、ある程度の回り道をした上で正しい答えにたどり着くのではないだろうか。
なるべくなら、米国の回り道が短く済むことを祈りたいものである。

なんの話かといえば、米国の再生には(日本の竹中プランのような)不良債権処理が不可欠だが、その実行までには時間がかかるだろう、というご指摘。

相変わらず鋭いし、論点が明確で分かりやすい。
米国は不良債権処理=政府の対応が依然として問題の中心ということで。CMBXの崩壊は続いているし。

同じく、溜池通信 Feb 20, 2009

ここで補助線として、明治維新以降、日本の輸出品目の第一位を挙げてみると、興味深いことにほぼ3 つの商品に集約できることができる。「貿易立国」日本を背負ってきたヒット商品は、意外なほどに「長寿」なのである。
(1)生 糸:1870 年代から1940 年代まで
(2)鉄 鋼:1950 年代から1970 年代まで
(3)自動車:1980 年代から2000 年代まで


言われてみれば確かに。かんべえ先生は溜池通信 Mar 6, 2009でも自動車産業の分析を行っている(このレポートでのEconomistの抄訳も面白い。米国政治の南部からCAへのシフトについて)。UAWの”レント(たかり)”が日本の自動車メーカーの高収益を生んだというご指摘はごもっとも。その伝で言えば、自動車メーカーからの税収や社会貢献を享受していた東海地方もまた、UAWのレントの恩恵を受けてきたとも言える。
また、タタ自動車の超格安車などは彼らが米国市場に基盤を持たないからできたことかも。

価格決定権がどこにあるか、という視点は経済でも個別銘柄でも重要だろう。ROEの高さの源泉が商品の価値にあるのか、レントに依存しているのか。意識しなければ。。。

ニューディール政策をどう評価するかで議論が左右に割れる。概して民主党系は「FDR は偉大な大統領であった」と考えるし、共和党系は「ニューディールは失敗だった」と総括している。今から考えると、これがイデオロギー対立への火を点けてしまったようだ。こんな風になってしまうと話は簡単で、「この景気刺激策が効けばオバマ大統領&民主党の勝ち」だが、「景気が良くならなかったら共和党の勝ち」である。その結果は、2010年11 月の中間選挙で出るだろう。

経済政策の行方次第で、中間選挙でオバマが追い詰められることに。。。その懸念がリアルになればなるほどに、AIG問題と同じ様なポピュリステト的対応をとって墓穴を掘る動きは続くかも?

どういった展開で米国版竹中プランが発動されることになるのだろう。。。
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by guranobi | 2009-03-22 03:54 | 米国
2009年 03月 16日

バークレーズがiSharesを売却へ

FT: Barclays moves to sell iShares arm

幾つか保有していることもあり、気になる記事。
この記事によれば、バークレーズはRBSやロイズよりも資産内容は健全だけど、政府保証を受けた両行よりもTier1比率が低い。公的保証(公的資金?)の申請は3月末までに行わなければならず、それに備えた資金確保ではないかとの指摘もある。

ETFがBGIの収益の1/4だというのは、んー、意外に少ない気もするが、利益成長率という観点からはETFは飽和に近いかもしれない。てか、すでに鈍化しているんじゃないかなー。。。
BGIの資産はその優秀な運用力だし、完成したビジネスモデルを切り離すのは悪くない。現在のタイミングで売却するのは適切な判断じゃないかと思う。
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by guranobi | 2009-03-16 11:59 | 米国
2009年 03月 16日

AIG救済は、欧州銀行の救済 そしてG20

FT: Summers ‘outrage’ at AIG bonuses

記事のタイトルはAIG役員が受けたボーナスに関するサマーズのコメントだけど、面白いのは副題のほう。
AIG(AIGFP)救済で助かったのは欧州の銀行じゃーん、という内容。

AIG DISCLOSES COUNTERPARTIES TO CDS, GIA AND SECURITIES LENDING TRANSACTIONS

ソジェン、ドイチェ、バークレーズ、パリバ、HSBCはじめ欧州銀行がずらーり。米系のほうが明らかに少ない。
ボーナス問題に加えて国民の税金が他国の銀行の救済に使われてんだから、そりゃ、米議会も起こるわなw

さて、、、このリストの影響は不明。
G20で議論された規制強化、レバレッジ抑制、国際監督の連携、を後押しするだろうことは確かだが。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

REUTER: G20財務相・中央銀行総裁会議:識者はこうみる
上野さんや島本さんが指摘しているとおり、G20での注目は「非伝統的政策を含めて、必要とされる間、金融緩和を継続する」という箇所だと思う。米財務省の不良債権買い取りと合わせて、この箇所が相場への安心感を暫し提供すると思う。

G20 要旨

KYな白川日銀が「社債買入条件見直す考えなし、政府紙幣は慎重な考慮必要」なーんて言っていたのはG20前の13日。バカですか?w

”学者肌”というのは過去の理屈付けができるというだけのことか?
経済の先行きを判断することはおろか、現状を見る目すらも持っていないし、国際金融の動向すらも把握できていない。本石町の論理のままで「低金利長期化の弊害」なーんてしゃべっているから、シリアスな国際会議で議論がかみ合わない。「この非常時に寝ぼけてんじゃねー」と思われるのがオチ。

総裁本人じゃなくて西村副総裁がG20に参加するというのも、卑怯じゃね?
西村さん、英語はしゃべれるんだろうけど、しゃべる中身がなんだかなーだからねぇ。。。
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by guranobi | 2009-03-16 11:41 | 米国