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2013年 08月 25日

大雑把な見通しの補足

補足というか、備忘録みないなものを追加で。

90年以降の米国債利回りとイールドカーブを眺めると、11年半ばから13年5月にかけて、2ー5年スプレッドが緩和局面としては異例なほどに潰れている(フラットニングしている)のがわかる(下段の図、黄色の囲み)。
通常、緩和局面におけるイールドカーブは、短期金利が政策金利に連動して低水準に留まるのに対して、長期金利は緩和効果による景気やインフレへの押し上げ効果を見越して短期金利ほどには低下しない。その結果、緩和局面ではイールドカーブはスティープニングするのが通常だ。92~93年、02~03年のように。
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しかし、11年半ばから13年5月まではカーブが潰れている。このときに何があったかというと、QE2でもQE3でもなく、”時間軸の明確化”だ

2011.8.9 FOMC statement

FEDは異例に低水準なFFレートを維持する期間について、それまでの ”for an extended period(長期間)”という曖昧な表現から、”at least through mid-2013(少なくとも13年半ばまで)”と低金利を維持する期間を明示した。
これによって、2年債利回りが低下するだけでなく、5年債利回りは2年債以上に低下し、2-5年スプレッドは潰れていった。5ー10年スプレッドはさほど潰れていないものの、多少はフラットニングしている。”時間軸の明確化”はカーブ全体を押し下げる効果があったのだと思う。統計的な検証はしてないけどw

時間軸はその後、12年1月のFOMCで”14年終盤まで”、さらに12年9月のFOMCでは”15年半ばまで”と延長されていったが、この間は金利水準・カーブともに低下を続けた。

おそらく重要な転機は12年12月のFOMCで、それまで”15年半ばまでは”低水準のFFレートが維持されるだろう、としてきたものを、”失業率が6.5%に低下するまでは”と変えたことだ。期間を明示して低金利をFEDが保証してきたが、低金利が維持される目安を失業率に変更した。経済状況に応じて柔軟に緩和期間が変化するようになったのだ。たぶん、これを境として金利上昇の下地はできていたのだが、FEDが経済の先行きに慎重な見通しを維持していたこともあり、今年5月までは金利はさほど上昇しなかった。

今年5月のバーナンキの議会証言(のQ&A)が金利上昇のきっかけとはなったけれど、すでに昨年末のFOMCで政策のルールが変わっていたんだと思う。今の金利上昇は、11年9月~12年12月までの「時間軸の明確化」効果の修正過程にある、というのが僕の判断。

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すでに2-5年、5-10年のスプレッドは金融緩和局面としては妥当な水準にまで上昇している(多少の上昇余地はあるだろうけど)。今後は、2年債が14年後半から始まるだろうFF引き上げのパスを織り込んで上昇して、カーブ全体を押し上げる形での金利上昇が起きる。
実際にFF引き上げが始まるだろう(あるいは引き上げをリアルに意識し始める)14年半ばころからはカーブ全体が潰れながら上昇する、ベア・フラットニングの局面に移るだろう。

・・・と考えると、10年債利回りは目先は3%を上回る程度で小休止したのちに、14年半ばまでに4%を上回る水準にまで再上昇。その後は4.0~4.5%程度での横ばい、というのが大雑把なイメージに。

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ここまでFEDの資産買入れ額の縮小などの量的側面にほとんど触れなかったのは、もうあまり意味が無いと考えているから。すでに昨年12月を境にFEDの金融政策は、ほぼ無条件の緩和継続から、失業率すなわち経済状況に応じた可変的な政策にかわっているし、なによりも市場金利はそうした変化を織り込みながら上昇していっている。

もはや、FF引き上げの時期やその後のパスを示さなければ米債金利の動向を論じることはできないのに、未だに資産買い入れ額の減少が9月だとか12月だとか言うだけのレポートはオカシイ。

もちろん、5月以降の金利上昇の影響が実体経済に及ぶだろうし、その影響の程度を市場もFEDも確認していく。しかし、その影響は利上げのシナリオを3~6ヶ月程度前後させるマイナーな修正だと考えるべきだろう。すでにFEDは利上げモードに入っており、おおまかな利上げのシナリオを念頭においた上でマイナーな変化を見るようにしないと、大局を見誤ることになりかねない。

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このFEDでの経験は日銀にとっても重要な示唆を与えていると思う。
15年4月以降のQQEについてそろそろ緩和継続の意思表明をしといたほうが良いんじゃないだろうか。15年4月までの2%インフレを実現させるためにも、15年4月以降も国債買い入れを一定期間継続するよーと宣言して、時間軸の明確化を保っておいたほうが、長期金利の安定性にも貢献するんじゃないかなーと思うのです。
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by guranobi | 2013-08-25 08:17 | 米国
2013年 08月 20日

米国金利の大雑把な見通し

久々の投稿なので、ざっくりと。

米国債の利回りが上昇している。イールドカーブを眺めると、2 - 5年が急激にスティープニングしていることから、今回の金利上昇は5年債(中期ゾーン)が主役だったことがわかる。
対して、2年債はほとんど動いていない。これは、ほぼ今後2年間はFF金利が引き上げられないだろうという市場の予想を反映しているのだろう。
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しかし、今の失業率のトレンドが続くならば14年後半にはFEDが目安とする6.5%に到達する。失業率は過去3年間、前年比で▲0.7%pのペースで低下を続けており、来年の今頃には6.7%程度ということになる。さらにそのまま行けば、16年半ばには5.5%というキケーンな水準に届く計算に。

もちろん、労働参加率の上昇だとか、パートタイマー主体の雇用増加だとか、労働市場の改善に対してネガティブな面もあるのだけど、一方で今の5年ないしは10年の実質金利がゼロなのだから、この低すぎる実質金利が経済を刺激しないはずがない。フレディやファニメなどのGSEの不良債権処理もおおっぴらに議論できるほどに金融システムが改善してきている以上、ユルユルの実質金利水準が経済を刺激すると考えるのが自然でしょ?

・・・と考えると、14年後半には利上げ開始、そして失業率が5.5%に届くであろう16年半ばころには実質FFレートは均衡水準である2%に持っていかなければならない。そのときのインフレが2%だとすると、目標とする名目FFレートは4%ということになる。
こんな感じで。
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94年、04年に続き、14年後半には、10年おきの本格的な金融引締め局面に入る。そしてこのFFレートの推移を前提に2年債利回りを予想すると、結構な勢いで上昇することになる。


バーナンキの後任が誰になるかは重要ではあるけれど、おおまかなイメージには大差ないだろう。
FEDはすでに出口戦略に関する幾つかの目安、ヒントを与えてくれているので、それに従ったシナリオが立つ。

ここで示したFFレートに基づけば、今の2年債利回りは0.5%を越えていなければならない(実際には0.35%)。そして5年債利回りは2%程度のはずだ(実際には1.55%)
そして時が経つに連れて、織り込んでいくFF引き上げの回数が増えるので、”あるべき”利回り水準は徐々に上昇していく。14年初での2年債は1%に届いていなければならない。


6月下旬のオフ会では、「今の米債利回りは特に短中期ゾーンが低すぎる」と言ったけれど、それは今でも変わらない。エマージングの変調がFEDの利上げを暫くは躊躇させるかもしれないが、その”一時停止”はせいぜい3-4ヶ月程度だと思う。FEDは米国経済の状況に合わせた金融政策を採るべきであり、対外的な調整は為替レートが行うものだ。

5年債が主導する金利上昇の第1ステージはそろそろ終わりかもしれない。しかし、年末あたりには2年債が中心となる第2ステージの金利上昇が起きるだろう。ひとつの目安は2年債利回りが0.5%を超えてくるかどうか、だろう。
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by guranobi | 2013-08-20 19:52 | 米国
2011年 07月 07日

債券利回りと株価の相関性、そしてQEの波及経路

お久しぶりです。ネタがなくて困るのですが。。。

6月は米国10年債利回りが3%を下回る状況が暫く続きましたが、その間、軽く恐怖心を覚えました。
ISMやらADPやら強めの数字が出て、やはりソフトパッチは統計上の歪みだったかとほっとしてますが、長期金利がジワジワと下がっていく状況はイヤなものです。

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このグラフの赤色の面グラフは、米国の10年債利回りの変化(前日差, %p)と株価のリターン(前日比, %)の相関性。100営業日ローリング。青線は10年債利回り。

現在の債券利回りと株価の相関性は正なので、金利低下=株価下落ですね。
ところが、67-97年頃の間は両者の相関性は負でした。金利低下=株価上昇。
そして67年以前では相関性は正です。

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この債券利回りと株価の相関性の逆転は、何が原因なんでしょうか?
よくわからんのですが、インフレの水準じゃないかと思うんですよね。

単純な株価モデルのDDMで考えると、
株価=配当/(割引率-配当成長率)
P=D/(r-g)

ここで、配当≒企業収益の成長率gはインフレ率が高すぎても低すぎても低下するんじゃないかと思うんです。

次のグラフは、米国の企業収益(NIPAベース)とGDPデフレーターの3年平均の関係。
両者には相関性は認められません。で、紫色の台形のように分布しているように思うんです。あくまで僕のイメージですが。
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これに10年債利回りを赤色で重ねたもの。右側の高インフレの時には、割引率r(10年債利回り)が高止まりする一方で、企業収益の伸びgは鈍化する。よって、金利の上昇は株価下落に繋がる。
逆にグラフの左側、低インフレの時には金利の低下は割引率rの低下として株価にはプラスだが、それ以上に企業収益の伸びgの落ち込みが大きく、株価下落となる。よって金利と株価は正の相関となる。
たぶん、過去20年間の日本はこの台形の左下のところに留まり続けていたんじゃないかと。
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参考までに、日本の金利と株価の関係。データの制約からこちらは月次。米国の相関性が98年ころにプラスに転じたのに対して、日本の相関性はデフレに陥った93-94年からプラスになってます。
金利と株価の相関性の逆転がグローバルに同時に起きたわけではなく、先行してデフレ局面に陥った日本において、やはり相関性の逆転が先行しているということです。
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現在の債券利回りと株価の正の相関を考慮するとですね、QEの波及経路として言うところのポートフォリオ・リバランス効果とやらに疑問を感じるわけですよ。FEDが米国債を購入して米債の価格を押し上げ、それが他資産に波及する、とは考えがたい。
それよりも、FEDの米債購入によってインフレ期待ないしは成長期待を押し上げ、米国債価格を押し下げ=金利上昇を引き起こして、米債から他資産に資金が流出することによって株式などの資産価格効果が発生すると考えるほうがしっくり来るんですよね。

だから、QEが成果を上げるシナリオは金利上昇であって、金利低下ではない

PIMCOは、「米債金利は上昇する。そして、8月にもQE3が行われる」とか言っているみたいですが、金利が上昇するならばQE3は必要ないし、QE3が行われる状況では10年債利回りは2%台前半くらいまで低下しているでしょう。

まー、未熟者の解釈なのですけど。

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そうそう、金利と株価の関係については日銀が興味深い分析を出していますね。
BOJ:低金利持続期待の変化と株価

低金利が持続するという期待が強まった局面では、株価の下落に繋がりやすい。しかし、政策当局の積極的緩和姿勢を背景とした低金利持続期待の局面では、株価が上昇している。これは、政策当局者の姿勢が金融市場に大きな影響を与えるだろうことを示唆しているのではないでしょうか。

だからこそ、今のFEDメンバーが出口戦略を詳細に検討するような”前のめり”の姿勢がイヤに思える。出口戦略の方法を議論するのではなく、出口戦略が必要となる環境、条件を検討するほうがよっぽど市場の安心感に繋がるでしょう。

それにしても、この日銀のレポート、白川批判と捉えられないんでしょうかね?w
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by guranobi | 2011-07-07 00:14 | 米国
2011年 06月 13日

米国の家計所得の予想、、、あくまでイメージで

先程の記事の続きを若干。

仮に貯蓄率の低下トレンドが続くとしても、所得の伸びが過去の景気回復期と比較して異例に低い状況が続くんじゃないかと僕は考えています。その主因は時間あたり賃金の上昇率の鈍化です(下図の濃い紫色の部分)。
なので、個人消費の伸びはFEDが想定しているであろう水準よりもかなり低くなるんじゃないかと思ふ。
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米共和党が財政削減にこだわり続けるならば、更に所得・消費環境が悪化するのは必死。

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余談ですが、先の記事でも引用したresearch ahead氏の最近の記事は興味深い。今春の米国経済データの落ち込み(ソフトパッチ)は季節調整の”歪み”によるものだという指摘。今回の景気後退があまりに大幅な落ち込みだったため、統計上の歪みが生じているとの見解。
ご参考まで。

research ahead: Growing probability of positive US data surprises

ちなみに、、、前月比+5.4万人となった5月の雇用統計ですが、4-6月の労働投入量は前期比年率+3%強とかなり高めになる計算。6月の雇用統計でどーなるかはわからんがw
市場のネガティブな反応とは違って、強めのGDPなどが出て、短期的に金利はスパイクするかもな~というのが今の僕のイメージ。
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by guranobi | 2011-06-13 22:20 | 米国
2011年 06月 13日

米国の貯蓄率は低下トレンド入り

米国の貯蓄率は過去1年の間、1%pほど低下して4月は4.9%となりました。そして中期的には、このまま低下トレンドを続けて14年末では3.0%程度、あるいは3%以下まで下がるんじゃないかと思います。

高齢化や生産性などの影響も考えてみたんですが、これらの要因についてはどうもよくわからん。。。後でグラフだけ付け加えます。

今回、貯蓄率の低下を予想する理由は、債務返済負担の低下です。今更ですが。。。
ストック面の分析が甘いのは、僕だったかもしれません。
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ふつう、貯蓄率は以下のように計算します。

貯蓄 = 可処分所得 - 消費支出
貯蓄率 = 貯蓄 / 可処分所得

所得のうち消費したものの残りが貯蓄。「1 - 貯蓄率」は消費性向です。貯蓄率の低下は消費性向の上昇であり、一般的には消費意欲の高まりだと解釈されます。

しかし、消費するためのカネは所得だけではありませんね。「借金」で得たカネも使う。あるいは、「借金」の返済を優先して消費を抑制することもある。今の米国のように。

・・・ということを考慮して、貯蓄率の計算の可処分所得に「借金の増減分」を加えて修正してみました。消費に使うカネが、所得と借金の両方から出てくると考える。念のためですが、フツーの貯蓄率が不適切というわけじゃなく、借金を加えて修正したものも合わせて趨勢を把握するほうがいいんじゃないか、ということです。

その修正貯蓄率が下の赤色の破線。所得に加える「借金」は消費者信用とホームエクイティローン(HEL)です。モーゲージ(住宅ローン)を加えていないのは、住宅ローンの大部分は消費じゃなくて住宅購入に回されるため。まぁ、米国では少なくない部分が消費に回されるようですが、HELで代用できますし、あまり深く考えない方向でw

第二次大戦後から2000年代まで趨勢的に修正貯蓄率は実際の貯蓄率を上回っています。そして、2000年代では実際の貯蓄率が急低下したのに対して、修正貯蓄率は比較的安定している。リーマンショック後は、実際の貯蓄率が急上昇している。これは金融が急速に収縮したので、借金返済に優先的にカネを使わざるを得なくなったため、と考えていいでしょう。
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そこで、まず、FOFの記事でも見た家計の債務負担の調整について仮定を置きました。消費者信用は11年末~12年前半にボトム、HELは13年末~14年にボトムを付けると想定。薄い色の部分が想定値です。やや楽観的かもしれませんが、大筋を考えるための仮定値ですから、お見逃しを。
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これに、雇用・労働時間・時間あたり賃金の想定値をベースとした可処分所得から、実際の貯蓄率の推移を計算するとこんな感じ。ベースとなる”修正貯蓄率”は4.5%で横ばいにしました。とりあえずの仮定値として。
今回の試算では、11年内は4.9-5.2%程度で横ばいとなり、12半ばから本格的に低下しはじめ、13年末に4.2%、14年末 3.4%、15年末3.2%
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ここで重要なことは、債務が減っている過程であっても、債務の減少額が小さくなれば(債務負担が小さくなれば)、貯蓄率の低下要因になるということ。これは過去1年の貯蓄率低下の主因でもありますし、今後も中期的に続くだろうと思います。
上の貯蓄率の試算値では11年内から12年半ばまでは横ばいとなっていますが、それは試算のなかでのブレのようなものです。11年内に貯蓄率の低下が続いたとしてもおかしくはありません。
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・・・以上のような点も、FEDメンバーが年後半の消費ピックアップを想定している理由なのかな~?
もしそうなら、「ストック面の分析が甘い気がする」とか書いてゴメンね、バーナンキ。だけど、そういった説明を見たことないんだよな~

それと、貯蓄率の低下が中期的に続くとしても、消費が加速するとは限らない。高失業率を背景とした時間あたり賃金の上昇率の鈍化が続くのならば、所得の伸びは暫くは低いだろうから。この点、簡単な記事を書くかもです。

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以下、余談のようなもの。

貯蓄率の長期的な推移と年齢構成を比較してみると、人口動態の変化は必ずしも貯蓄率の動向を決めているとは言いがたい。
下の1段目のグラフは15歳以上人口に占める中・高年齢の比率と、貯蓄率の推移。5歳階層別。2段目は全米の平均年齢の推移。
80年代以降、米国の高齢化と貯蓄率の低下が概ねパラレルに起きているように見える。しかし、30年代から70年代までは高齢化とは逆に貯蓄率は上昇している。
また、3段目のグラフは貯蓄性向が高いとされる30-55歳の人口比率と貯蓄率の比較。パラレルに見えますが、30-55歳の構成比は逆メモリなので、、、想定とは反対の動きなのです。
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また、米国の貯蓄率について考察を加えているこちらの記事を参考に全要素生産性(TFP)と貯蓄率についても考えた。生産性上昇率の加速が投資機会を拡大し、実質金利と貯蓄率の上昇に繋がる、という氏の指摘は興味深い。

research ahead: Demographics, the savings ratio and interest rates

過去の動向を見ると、生産性(ここではMFP)の鈍化が70年代前半に生じ、それが80年代後半からの貯蓄率の低下を生んだように見える。もっと深く考えたかったんだが、、、時間切れ。
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まぁ、人口動態や生産性の状況も、どっちかというと今後の貯蓄率のトレンドの低下を示唆しているように思える。なので、上の試算値はさらに低めに考えておきたいのです。
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by guranobi | 2011-06-13 00:38 | 米国
2011年 06月 12日

米国 Flow of Funds, 11年1Q

米国のFlow of Funds(資金循環統計)が出ましたね。
どこぞのレポートでも紹介されているでしょうから、ごくごく簡単に。

FED: Flow of Funds Accounts of the U.S.

ホームエクイティローン(HEL)の可処分所得比の推移。HELは依然として安定的に減少しており、13-14年頃が調整の目安。
貯蓄率との関係については、別途、記事を書くと思います。たぶん。
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住宅価格(Case shiller)と、1世帯あたりのHEL残高を比較しても、やはり13年ころが調整終了の目安に。
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米国債保有の増加は当然ながらFEDが主役に。注目は家計が米国債の大幅な売り手となったこと。何かテクニカルな理由があるのかもしれないが、質への逃避の終焉と見るべきところ。
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家計は米国債の代わりに、MBSとエージェンシー債に回帰してきている。FEDはMBSの元本償還を国債に再投資しているため、MBSの保有残高は緩やかに減り続けている。暫くすれば(1-2四半期後?)海外勢もMBSに本格的に帰ってくるんじゃないか?ドル高とともに?
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ちなみに、FEDの資産構成の推移。
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FED: Monthly Report on Credit and Liquidity Programs and the Balance Sheet

モーゲージ債権の保有者。ABSの腐臭は半分ほど消えたところか?商業銀行はモーゲージ圧縮を継続。
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消費者信用の注目点は、学生ローンの増加。若年層の労働参加率の低下を金融面で支えている。なんか、政府プログラムが貢献しているんだろうな。わかんないけど。
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by guranobi | 2011-06-12 18:16 | 米国
2011年 06月 02日

FOMCに見る福井日銀のデジャヴ

最初にお断りしますが、グチです。毒吐きますので。

前回の記事の続きです。4月のFOMC議事録を読んだ時に福井が浮かんできたんですよ。殺人集団日銀の前総裁、福井。

不適切な金融政策がどのような悲劇をもたらすかは、われわれ日本人ならよく知っているでしょう。特に、投資をなす人々は。

2007年2月に福井日銀が2回目の利上げに踏み切る前、僕はブログ上で半狂乱でした。賃金(所定内給与)が下落しているなかでの追加利上げは、狂気の沙汰としか思えなかったのです。賃金が下落しているということは、完全雇用が達成されていない、あるいは失業率が自然失業率を上回っているということ。つまり、GDPギャップが依然として存在していた。
しかも、物価は下落ないしはゼロだった。コアコアはもちろん下落していたし、生鮮食料品を除く総合はせいぜい+0.5%。誤差の範囲だし、インフレ・バイアスを考えればゼロ以下。物価が急騰しているってんならね~、実質金利を調整するための利上げもわからなくもないんだが、、、当時は利上げすべき理由は全くありませんでした。
福井の妄想を除いては。

当時は、「いざという時の利下げに備えて、弾丸を装填しているんだ」とか、呑気なことを言ってた人もいたけれど。そういう方々や、(利上げに反対した)岩田委員以外の日銀審議委員が経済と金融政策を理解していないことは、今となっては明らかなことだと僕は思っています。

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恐らく、現在、多くの方々が菅直人に対して抱いているような嫌悪感を、当時の僕は福井俊彦に対して抱いていたのです。そして今の僕も。

責任ある地位にありながらその責任に相応しい知見も理解力もなく、ただ饒舌に意味不明な言葉を吐き、愚かな行動で多くの人々を不幸にする。宰相不幸社会、いいですねw

そして、自らの過ちを決して認めることがなく、それが故に、誤った政策を続ける。リーマンショックが襲ってきたにも係わらず、福井は結局、退任するまで利下げをせず、アクシデンタルに後任となった白川も利下げしたのは主要先進国では最後でした。
無謬性に拘る輩は、悲劇を拡大する。原発だけじゃないんですよね。

専門家と見做される人々が決してそれに相応しい能力を持っているとは限らないし、日本の場合には組織の意向に沿った”専門家”は得てして無能であり、有害ですらある。原発対応の稚拙さは、日銀の無能さと重なって見える。なんかね、デジャヴなんです。

FOMC議事録で早々に出口戦略を議論するメンバーには、福井と似た臭いを感じる。
大幅なGDPギャップが存在していることは明らかだし、第3次産業が経済の主体であるなかでは賃金動向やULCに注意を払わなければならない。そして、株価や、特に住宅価格の上昇を忍耐強く甘受しなければならない。賃金が鈍化し、住宅価格が下落を続ける中で出口戦略を検討するなんてのは、早過ぎる。

まそれでも、物価がゼロどころかデフレのなかで資産価格を殺しにいった福井の無能さと較べればはるかにマシではありますが。

唯一の救いは、バーナンキには”過ちを認める能力”があることです。リーマンショックの時も状況把握に時間はかかったけれど修正したし、10年初頭のMBS購入停止の失敗もQE2で修正した。フリードマンに対しても、FEDを代表して大恐慌時の対応の過ちを認めた。

だから、深刻な事態にはならないとは思う。けどね、注意しなきゃいけないと思うのですよ。米国の低金利こそが、株高、商品高、エマージングのインフレ懸念の主因でしょうから。
FEDが利上げしちゃったら全ての景色が変わるはず。

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ちなみに、Case Shiller指数を時間あたり賃金で実質化したグラフ。

だいぶ下がりましたね。南東部や中西部といった内陸部では90年代を下回るほどにまで低下しています。NYやCAなどの東西両岸は90~2000年ころの水準を2割ほど上回る水準にとどまっています。ただ、これら両岸地域にはドル安や不動産安を理由に海外投資家の資金が流入しているとも指摘されています。
低金利も長期化しているし、そろそろ反転上昇してもおかしくないぞ、と。
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そしてFEDも注目していると評判の?CoreLogicのHome Price Index
CoreLogic HPI
・・・を紹介しているCRの記事
CoreLogic: Home Price Index increased 0.7% between March and April

HPIは季調前のデータであり、季調前の住宅価格は通常6月から上昇を始めるにもかかわらず、4月のHPIが+0.4%上昇しているとCRは指摘している。
HPIについて同様に興味深いのは、distressed sales除きの価格が前年比で上昇しはじめていること。これもね、利上げの理由にされかねないんですよね。
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by guranobi | 2011-06-02 21:11 | 米国
2011年 05月 30日

米国の雇用・物価見通しのアップデート

ちょうど半年前に米国の雇用・物価動向の見通しを作成しました。今回はそのアップデートで。
本来なら2月くらいに行うべきだったのでしょうけど。

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向

その見通しの結果は、、、外しました。見事に。
金利は「デフレ・リスクが高まる展開なので、実質金利は比較的安定する一方で、BEIの低下が特に短-中期セクターにおいて見られると思料。よって、再びブル・スティープの展開を予想」と書きました。しかし、この半年間の展開はせいぜいレンジ相場。足下は金利が低下しているけれど、これはデフレ懸念というよりも景気の失速懸念によるもの。

また、GDP+3.25%成長を前提として、失業率は11年末で9.6%と予想したけど、既に9.0%にまで低下。GDP成長率が想定よりも低かったのですが、成長率の下ブレは失業率の上ブレ要因ですから、実際には1%ほど失業率の予想水準は違っていた。この見込み違いの主因は労働参加率=労働供給が予想以上に急低下したため。

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労働参加率については前回の見通しでも十分に検討したつもりだったけど、それでも甘かった。
米国の景気回復の初期においては、失業率が低下しはじめた数カ月は労働参加率も低下する(下図の青色の囲みの時期)。今回は景気後退が深刻であったことから労働参加率は2011年も緩やかな低下を続けるだろうと考えていたが、12-1月の低下は予想以上だった。
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興味深いのは、労働参加率のトレンドは全くといっていいほど変わっていないこと。つまり、若年層・中年層の労働参加率が低下し、高年齢層の参加率は上昇を続けている。12-1月の低下を含めて、今回の景気後退および景気回復初期では、このトレンドが加速したに過ぎない。
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下図は青色が進学率(Enrollment rate, 逆メモリ)で、赤色が労働参加率。年齢階層別。
前回の検討でも指摘したが、米国では高等教育への進学率が80年代後半から上昇するとともに、若年層の労働参加率が趨勢的に低下している。景気後退期に進学率は上昇するが、それは就職先を見つけるのが難しいための労働市場からの”退避”という側面だけではないだろう。趨勢的な進学率上昇が景気後退を機に加速しているとも言える。
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まー、イロイロ考えてみて、労働参加率の見通しを修正。外した分だけ、単に引き下げたわけですが。
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そして、新しい労働参加率のもとでの予想はこんな感じ。ULCは前回の15年に▲1.3%という”過激”な見通しではなく、13-14年に▲0.1%程度という緩やかなディスインフレ・シナリオに修正。
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ただ、これでも現在の一般的な物価見通しよりもかなり下に見たものだろう。実際に、コアCPIのみならずクリーブランド連銀の刈り込み平均などを見ても物価はボトムアウトしたように見える。
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しかし、失業率と賃金上昇率の”加速度(前年比上昇率の前年差)”の関係は変わっていない。失業率6%を大きく上回る状況では賃金上昇率は着実に鈍化している。大幅なGDPギャップが存在するために、デフレ圧力が継続している。こういう構造的な背景があると考えなければ、足下の金利低下は理解しがたい動きだろう。
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なので、Fedは11年内はもちろんのこと、12年も利上げするべきではない。

だが、、、ご存知のとおり4月FOMCの議事録で出口戦略を詳細に検討していることから、早過ぎる利上げにFEDが傾くリスクは高い。
「今回は結論を出さずに、出口戦略の検討のみを行った」というFOMCが1年以上続くと考えるのは難しい。議論するばかりじゃないはずなんだよな・・・

これまでも度々グチってきましたが、バーナンキは過剰債務問題とかのストック面の分析が甘い気がするし、FOMC内の合議制という名のリーダーシップの不足も気になる。タカ派に押し切られるリスクはリアルだ。

FEDのBSとか、FOMCの議論の傾向とか、まめまめに検討しなきゃいかんのだろうな~
もうちょっと米国についてはゆっくりできると思っていたんだけど。。。
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by guranobi | 2011-05-30 00:51 | 米国
2011年 01月 20日

貨幣の流通速度と株価の関係

皆様、お久しぶりです。
ずいぶん遅くなりましたが、今年もよい年でありますように。

さほど重要とは思えない話ですが。。。

デフレ脱却国民会議で岩田規久男先生が貨幣の流通速度(Velocity)と貸出の関係に言及されていました。まず貨幣の流通速度が増えて、企業が内部資金で賄えなくなってから初めて外部資金=貸出の需要が増えるのだと仰っていました。全くもってその通りで、今更このことに気付かされる自分の勉強不足を恥じるばかりです。

とすると、名目GDPの伸びがマネーの伸びを上回る状況がしばらく続いてから、初めて貸出が本格的に増加するということ。

そこで、米国の貨幣の流通速度と商工業向け貸出(C&I loan, 前年比)を確認してみるとこんな感じ。
流通速度は08年央から09年にかけて急落しており、これには名目GDPの下落とマネーの増加双方が影響している。

過去の事例を見ると、景気後退期には貨幣の流通速度が概ね低下し、景気回復初期には概ね1~2年の間上昇する。そして貨幣の流通速度が上昇し始めて半年から1年ほど遅れて、C&Iローンの前年比の伸びが高まる傾向が認められる。ただし、ここではC&Iローンを前年比で測っているためにこうしたラグが生じているのかもしれない。
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マネー(ここではM2)の伸びの内訳をざっと見ると、リーマン危機の後にM1が急増した一方で、M1以外のM2はやや遅れて09年後半に伸びが鈍化した。

仮に、(以前の記事で見たように)今後デフレ懸念が本格的に高まるような状況になれば名目GDPの伸びはせいぜい4%程度に留まるだろうから、貨幣の流通速度が上昇するようなケースではマネーの伸びはこれを下回ることになる。あるいは、名目GDPが比較的高い伸びに回帰するまでは、貨幣の流通速度は更に低下し続けるだろう。
貨幣の流通速度は足下2四半期に渡って僅かに再低下しており、今後の動向に注目したいところ。
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ところで、貨幣の流通速度は名目GDPをマネーで割った値なので相場とも何らかの関係があるのでは?、と考えて、S&P500のPEを貨幣の流通速度と長期金利を使って最小二乗法で推計した。
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ヒジョーにシンプルな推計式なのに、adj_R^2が0.75と結構高い。ただし、D.W.比が0.12と非常に高い正の系列相関が認められるので、まぁ、参考程度にしかならんだろうがw
長期金利の係数がマイナスなのはいいとして、流通速度の係数がプラスなんですよね。流通速度=名目GDP/マネーからフツーに考えると、マネーとPEはプラスの関係→貨幣の流通速度とPEはマイナスの関係のはずなんだが。。。まぁ、因果関係がどっちに向いているのかも色々考えられるところなので、深くは追求しないw
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ここで、貨幣の流通速度と長期金利に仮定の数字を置いて、S&P500のPEの推計値を伸ばしてみる。
名目GDPは前回の雇用・賃金動向の記事から、11年4.0%、12年3.75%、13年4.0%、14年4.5%と置き、名目長期金利はこの数値を下回るように設定した。依然としてデフレ脱却を要する局面であり、名目GDPを下回る長期金利が続くだろうと僕は考えているわけです。

これによると、足下のPE推計値22.7倍(実際の予想PEは22.0倍)が、13年初には26.1倍に上昇することに。貨幣の流通速度が過去の景気回復初期と同様のペースで上昇すると想定したことと、長期金利が更に低下すると置いたので、まー、こういう結果になるのは仕方がない。
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このような、いい加減な推計式とその延長を示したのは、僕が持っている米国景気と相場のイメージに合うからです。QE2を採用しつつも、高失業率が続くためにデフレ懸念は逆に本格化するだろう。そのために長短金利はブル・スティープするだろう。一方で、実質成長率は3.0~3.5%程度の成長を見せるだろうから、貨幣の流通速度は緩やかに上昇し、徐々に資金需要が高まり始める。これらはいずれも株価にはプラスに働くだろう。

まー、証券会社とかの見通しとたぶん大差ないでしょうけど。。。

日本や他の先進国、エマージングにおける関係とかも見てみたいのですが、とりあえず。
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by guranobi | 2011-01-20 22:57 | 米国
2010年 12月 29日

米国の中期経済見通し? 雇用・物価動向⑤・・・おまけ

なんと、Calculated Risk氏も労働参加率の記事を書いていらっしゃいましたよ。

CR: Labor Force Participation Rate: What will happen?

似たようなことやってんなーw
まぁ、経済動向や金融政策を予想するなら当然っちゃ、当然なんだが。

2015年で66%か。65%なら十分にあり得るんだが、大胆な予想。わずか1%の違いだけど、デフレとインフレの境目にある状況では、結構、シナリオに与える影響は大きいのです。

明らかなのは、彼我の生産性の違いですねw
相変わらず分析のレベルと量がとんでもないぜよ。

ご参考までの紹介でした。
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by guranobi | 2010-12-29 23:33 | 米国