2013年 08月 20日
久々の投稿なので、ざっくりと。 米国債の利回りが上昇している。イールドカーブを眺めると、2 - 5年が急激にスティープニングしていることから、今回の金利上昇は5年債(中期ゾーン)が主役だったことがわかる。 対して、2年債はほとんど動いていない。これは、ほぼ今後2年間はFF金利が引き上げられないだろうという市場の予想を反映しているのだろう。 しかし、今の失業率のトレンドが続くならば14年後半にはFEDが目安とする6.5%に到達する。失業率は過去3年間、前年比で▲0.7%pのペースで低下を続けており、来年の今頃には6.7%程度ということになる。さらにそのまま行けば、16年半ばには5.5%というキケーンな水準に届く計算に。 もちろん、労働参加率の上昇だとか、パートタイマー主体の雇用増加だとか、労働市場の改善に対してネガティブな面もあるのだけど、一方で今の5年ないしは10年の実質金利がゼロなのだから、この低すぎる実質金利が経済を刺激しないはずがない。フレディやファニメなどのGSEの不良債権処理もおおっぴらに議論できるほどに金融システムが改善してきている以上、ユルユルの実質金利水準が経済を刺激すると考えるのが自然でしょ? ・・・と考えると、14年後半には利上げ開始、そして失業率が5.5%に届くであろう16年半ばころには実質FFレートは均衡水準である2%に持っていかなければならない。そのときのインフレが2%だとすると、目標とする名目FFレートは4%ということになる。 こんな感じで。 94年、04年に続き、14年後半には、10年おきの本格的な金融引締め局面に入る。そしてこのFFレートの推移を前提に2年債利回りを予想すると、結構な勢いで上昇することになる。 バーナンキの後任が誰になるかは重要ではあるけれど、おおまかなイメージには大差ないだろう。 FEDはすでに出口戦略に関する幾つかの目安、ヒントを与えてくれているので、それに従ったシナリオが立つ。 ここで示したFFレートに基づけば、今の2年債利回りは0.5%を越えていなければならない(実際には0.35%)。そして5年債利回りは2%程度のはずだ(実際には1.55%)。 そして時が経つに連れて、織り込んでいくFF引き上げの回数が増えるので、”あるべき”利回り水準は徐々に上昇していく。14年初での2年債は1%に届いていなければならない。 6月下旬のオフ会では、「今の米債利回りは特に短中期ゾーンが低すぎる」と言ったけれど、それは今でも変わらない。エマージングの変調がFEDの利上げを暫くは躊躇させるかもしれないが、その”一時停止”はせいぜい3-4ヶ月程度だと思う。FEDは米国経済の状況に合わせた金融政策を採るべきであり、対外的な調整は為替レートが行うものだ。 5年債が主導する金利上昇の第1ステージはそろそろ終わりかもしれない。しかし、年末あたりには2年債が中心となる第2ステージの金利上昇が起きるだろう。ひとつの目安は2年債利回りが0.5%を超えてくるかどうか、だろう。
by guranobi
| 2013-08-20 19:52
| 米国
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