2011年 11月 22日
この金利低下効果は、NBF(および多くのJ-REIT)の収益に大きな影響を及ぼす。 試算の前提として、平均賃料は今後2期(1年間)は計▲6%下落し、それ以降は横ばい。(サブリース考慮後の)稼働率は徐々に上昇して98%弱で一定とした。また、投資口数は今後5年間で40%増加すると想定。 首都圏のオフィス供給はいわゆる2012年問題が懸念されており(たとえば→これ)、03年を上回る37.5万坪ものオフィスが新築される見込み。既に賃料を引き下げているNBFであっても、新規供給および既存オフィスの低稼働率の影響を受けると考えるべきだろう。 NBFはJ-REITの中では珍しく半期報告書を出しているので、四半期ごとのデータが確認できる。直近の23年9末の状況を見ると、稼働率が順調に上昇する一方で、平均賃料は2四半期連続で横ばいとなっている。この賃料の落ち着きの状況や、個別資産の賃料動向、あるいは賃料の水準を考慮すると、あと▲6%の下落という想定は保守的だと思うんだが、どうだろう? 以上の、金利コスト、賃料、稼働率、増資の想定のもとでの1口当たりFFOおよび純利益≒分配金のシナリオは次の通り。 上段は(売却益を除いた)不動産営業収益に対する比率だが、営業外損益すなわち金利コストの低下が純利益を押し上げる(左右のメモリ幅は同じ)。そして、平均賃料がこの想定を上回って推移すれば、営業収益及び純利益は上ブレするだろう。 下段で1口当たりのFFOおよび純利益を見れば、40%の増資を吸収してなお分配金水準は維持されるだろうことを示している。 以上の試算は、金利コスト、賃料および増資シナリオについて保守的に見ても現在の分配金の水準は概ね維持されるだろうことを示している。さらに、5年間で40%の増資を想定していながら、借入増加に伴う金利低下の効果はここでは想定していない。増資後もLTV水準を維持するならば、当然借入が増える。借入が増加すれば今の低い金利水準で調達できるだろうから、有利子負債利子率はより低くなるはずだ。 あり得べきシナリオとしては、現在の分配金水準を当面維持しつつ、H25~26年あたりからは上昇に転じるだろうと思う。 まー、楽観的すぎるかもしれないけれどw 一方でJREは、分配金水準が維持されるかは疑問だ。シナリオの設定次第ではあるんだけど、、、分配金は今の水準から▲20~25%ほど減少することもあり得る。もしこれほど分配金が減少すれば、今の投資口価格では、JREの分配金利回りはNBFを下回る。つまり、投資口価格はもっと下落しなければバランスが取れない。 まー、稼働率がNBFのように急回復している銘柄のほうが少ないし、物件の質が劣るオフィス銘柄ではここにきて稼働率が再び低下しているものさえある。野村不オフィスとかw J-REIT全体では平均賃料が十分に下落しているとはまだ言えないし、加えて、12年問題は既に影響を及ぼしはじめているだろう。 現在の欧州ソブリン危機は、欧州の国債利回りおよび信用スプレッドの拡大と連動する形でJ-REITの価格を押し下げている。まさに06年のJ-REITバブルの逆だ。しかし、欧州ソブリン危機は日本国内の金利水準を押し下げており、国内の借り入れコストを引き下げている。なかでもJ-REITは借入れ比率が相対的に高いため、金利低下の恩恵が大きくなると思う。 2012年問題や金融収縮の影響はあるけれど、その一方でJ-REITには中期的なアップサイドの可能性が十分にあると思うのですよ。
by guranobi
| 2011-11-22 21:57
| REIT
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