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2011年 07月 07日

債券利回りと株価の相関性、そしてQEの波及経路

お久しぶりです。ネタがなくて困るのですが。。。

6月は米国10年債利回りが3%を下回る状況が暫く続きましたが、その間、軽く恐怖心を覚えました。
ISMやらADPやら強めの数字が出て、やはりソフトパッチは統計上の歪みだったかとほっとしてますが、長期金利がジワジワと下がっていく状況はイヤなものです。

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このグラフの赤色の面グラフは、米国の10年債利回りの変化(前日差, %p)と株価のリターン(前日比, %)の相関性。100営業日ローリング。青線は10年債利回り。

現在の債券利回りと株価の相関性は正なので、金利低下=株価下落ですね。
ところが、67-97年頃の間は両者の相関性は負でした。金利低下=株価上昇。
そして67年以前では相関性は正です。

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この債券利回りと株価の相関性の逆転は、何が原因なんでしょうか?
よくわからんのですが、インフレの水準じゃないかと思うんですよね。

単純な株価モデルのDDMで考えると、
株価=配当/(割引率-配当成長率)
P=D/(r-g)

ここで、配当≒企業収益の成長率gはインフレ率が高すぎても低すぎても低下するんじゃないかと思うんです。

次のグラフは、米国の企業収益(NIPAベース)とGDPデフレーターの3年平均の関係。
両者には相関性は認められません。で、紫色の台形のように分布しているように思うんです。あくまで僕のイメージですが。
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これに10年債利回りを赤色で重ねたもの。右側の高インフレの時には、割引率r(10年債利回り)が高止まりする一方で、企業収益の伸びgは鈍化する。よって、金利の上昇は株価下落に繋がる。
逆にグラフの左側、低インフレの時には金利の低下は割引率rの低下として株価にはプラスだが、それ以上に企業収益の伸びgの落ち込みが大きく、株価下落となる。よって金利と株価は正の相関となる。
たぶん、過去20年間の日本はこの台形の左下のところに留まり続けていたんじゃないかと。
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参考までに、日本の金利と株価の関係。データの制約からこちらは月次。米国の相関性が98年ころにプラスに転じたのに対して、日本の相関性はデフレに陥った93-94年からプラスになってます。
金利と株価の相関性の逆転がグローバルに同時に起きたわけではなく、先行してデフレ局面に陥った日本において、やはり相関性の逆転が先行しているということです。
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現在の債券利回りと株価の正の相関を考慮するとですね、QEの波及経路として言うところのポートフォリオ・リバランス効果とやらに疑問を感じるわけですよ。FEDが米国債を購入して米債の価格を押し上げ、それが他資産に波及する、とは考えがたい。
それよりも、FEDの米債購入によってインフレ期待ないしは成長期待を押し上げ、米国債価格を押し下げ=金利上昇を引き起こして、米債から他資産に資金が流出することによって株式などの資産価格効果が発生すると考えるほうがしっくり来るんですよね。

だから、QEが成果を上げるシナリオは金利上昇であって、金利低下ではない

PIMCOは、「米債金利は上昇する。そして、8月にもQE3が行われる」とか言っているみたいですが、金利が上昇するならばQE3は必要ないし、QE3が行われる状況では10年債利回りは2%台前半くらいまで低下しているでしょう。

まー、未熟者の解釈なのですけど。

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そうそう、金利と株価の関係については日銀が興味深い分析を出していますね。
BOJ:低金利持続期待の変化と株価

低金利が持続するという期待が強まった局面では、株価の下落に繋がりやすい。しかし、政策当局の積極的緩和姿勢を背景とした低金利持続期待の局面では、株価が上昇している。これは、政策当局者の姿勢が金融市場に大きな影響を与えるだろうことを示唆しているのではないでしょうか。

だからこそ、今のFEDメンバーが出口戦略を詳細に検討するような”前のめり”の姿勢がイヤに思える。出口戦略の方法を議論するのではなく、出口戦略が必要となる環境、条件を検討するほうがよっぽど市場の安心感に繋がるでしょう。

それにしても、この日銀のレポート、白川批判と捉えられないんでしょうかね?w
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by guranobi | 2011-07-07 00:14 | 米国


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