2011年 04月 20日
次にお示しするのは、出資金のリターンと、J-REITの投資口のトータル・リターンの比較です。 ややこしいのですが、出資金のリターンとはJ-REITの投資成績であり、出資総額、分配金総額、保有資産の時価などによるIRRで計算しました。一方、J-REITの投資口のトータル・リターンとは、投資口の価格変化に分配金利回りを加えたトータル・リターンです。株式で言えば、企業の事業成績と株価のリターンを比較したようなものでしょうか。 縦軸(y軸)が出資金のリターンであり、Fund IRRとしています。横軸(x軸)が投資口のトータル・リターンです。バブルの大きさは時価総額、水色はオフィス系(複合系を含む)、赤色はレジデンシャル、紫はリテール、灰色はインフラ系です。ホテルなどは除外。合併などによりリターンが極端に大きい銘柄(ビ・ライフなど)も除外してます。 データの更新が面倒だったのでw、トータル・リターンの計算は04年からにしています。まぁ、それでも両者の相関性はまずまず高い。そして、出資金のリターンのうち、分配金利回り(3段目のグラフ)=インカムよりも保有不動産の含み益(2段目)=キャピタルの運用成績こそが長期的にはJ-REITの投資口のリターンを左右するのではないかと思います。 この点、前掲の住信のレポートがJ-REITのリスク決定要因として不動産市場の影響の大きさを指摘していることと符合します。 ちなみに、水色のオフィス系のみで見た相関性。結構高いですね。このことから、J-REITのセクター・セレクションが重要であることと、同一セクター内ではより良い物件選択を行うファンドに投資すべきであることがわかります。まー、当然のことなんですがw 更に、出資金のリターン(Fund IRR)と、個別物件のIRRの平均を比較したグラフ。 J-REITの運用成績を左右するのは主に物件選択だということじゃないでしょうか。もちろん、LTVの水準や借入金利などの財務戦略、あるいは運用報酬の水準なども重要なんでしょうけど、何よりも物件の運用成績こそがJ-REITの運用成績、ひいては投資口価格の長期的な動向を決めるんだと思います。 また、出資金のリターン(Fund IRR)が概ねポート資産のIRR平均を上回っている(傾向線の傾きが1よりも大きい)のは借入金等によるレバレッジ効果によるものであり、傾きが1よりも低いファンドは財務戦略に難あり、あるいはファンドサイズが小さすぎて規模の経済を働かせられていない、ということかと。右下の方に小さなバブルが集まっているのは、合併や増資などのサイズ拡大による効率性向上の余地があるということだと思います。 個別物件のIRRは、取得価格(追加取得を含む)、NOI(不動産運用損益+減価償却費)から資本的支出を控除したNCF、売却価格(売却関連費用控除後)、保有時価などによって求めています。
by guranobi
| 2011-04-20 22:21
| REIT
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