2011年 01月 20日

貨幣の流通速度と株価の関係

皆様、お久しぶりです。
ずいぶん遅くなりましたが、今年もよい年でありますように。

さほど重要とは思えない話ですが。。。

デフレ脱却国民会議で岩田規久男先生が貨幣の流通速度(Velocity)と貸出の関係に言及されていました。まず貨幣の流通速度が増えて、企業が内部資金で賄えなくなってから初めて外部資金=貸出の需要が増えるのだと仰っていました。全くもってその通りで、今更このことに気付かされる自分の勉強不足を恥じるばかりです。

とすると、名目GDPの伸びがマネーの伸びを上回る状況がしばらく続いてから、初めて貸出が本格的に増加するということ。

そこで、米国の貨幣の流通速度と商工業向け貸出(C&I loan, 前年比)を確認してみるとこんな感じ。
流通速度は08年央から09年にかけて急落しており、これには名目GDPの下落とマネーの増加双方が影響している。

過去の事例を見ると、景気後退期には貨幣の流通速度が概ね低下し、景気回復初期には概ね1~2年の間上昇する。そして貨幣の流通速度が上昇し始めて半年から1年ほど遅れて、C&Iローンの前年比の伸びが高まる傾向が認められる。ただし、ここではC&Iローンを前年比で測っているためにこうしたラグが生じているのかもしれない。
b0165963_1113368.jpg

マネー(ここではM2)の伸びの内訳をざっと見ると、リーマン危機の後にM1が急増した一方で、M1以外のM2はやや遅れて09年後半に伸びが鈍化した。

仮に、(以前の記事で見たように)今後デフレ懸念が本格的に高まるような状況になれば名目GDPの伸びはせいぜい4%程度に留まるだろうから、貨幣の流通速度が上昇するようなケースではマネーの伸びはこれを下回ることになる。あるいは、名目GDPが比較的高い伸びに回帰するまでは、貨幣の流通速度は更に低下し続けるだろう。
貨幣の流通速度は足下2四半期に渡って僅かに再低下しており、今後の動向に注目したいところ。
b0165963_11173287.jpg


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ところで、貨幣の流通速度は名目GDPをマネーで割った値なので相場とも何らかの関係があるのでは?、と考えて、S&P500のPEを貨幣の流通速度と長期金利を使って最小二乗法で推計した。
b0165963_17595290.jpg

ヒジョーにシンプルな推計式なのに、adj_R^2が0.75と結構高い。ただし、D.W.比が0.12と非常に高い正の系列相関が認められるので、まぁ、参考程度にしかならんだろうがw
長期金利の係数がマイナスなのはいいとして、流通速度の係数がプラスなんですよね。流通速度=名目GDP/マネーからフツーに考えると、マネーとPEはプラスの関係→貨幣の流通速度とPEはマイナスの関係のはずなんだが。。。まぁ、因果関係がどっちに向いているのかも色々考えられるところなので、深くは追求しないw
b0165963_1128261.jpg


ここで、貨幣の流通速度と長期金利に仮定の数字を置いて、S&P500のPEの推計値を伸ばしてみる。
名目GDPは前回の雇用・賃金動向の記事から、11年4.0%、12年3.75%、13年4.0%、14年4.5%と置き、名目長期金利はこの数値を下回るように設定した。依然としてデフレ脱却を要する局面であり、名目GDPを下回る長期金利が続くだろうと僕は考えているわけです。

これによると、足下のPE推計値22.7倍(実際の予想PEは22.0倍)が、13年初には26.1倍に上昇することに。貨幣の流通速度が過去の景気回復初期と同様のペースで上昇すると想定したことと、長期金利が更に低下すると置いたので、まー、こういう結果になるのは仕方がない。
b0165963_16364474.jpg

このような、いい加減な推計式とその延長を示したのは、僕が持っている米国景気と相場のイメージに合うからです。QE2を採用しつつも、高失業率が続くためにデフレ懸念は逆に本格化するだろう。そのために長短金利はブル・スティープするだろう。一方で、実質成長率は3.0~3.5%程度の成長を見せるだろうから、貨幣の流通速度は緩やかに上昇し、徐々に資金需要が高まり始める。これらはいずれも株価にはプラスに働くだろう。

まー、証券会社とかの見通しとたぶん大差ないでしょうけど。。。

日本や他の先進国、エマージングにおける関係とかも見てみたいのですが、とりあえず。
[PR]

by guranobi | 2011-01-20 22:57 | 米国


<< 余震の状況      良い新年をお迎えください >>