グラの相場見通し

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2010年 10月 16日

バーナンキ講演 20101015

日経の記事に付け加えることもあまりないんですが、一応。

10/15 Monetary Policy Objectives and Tools in a Low-Inflation Environment

8/27のジャクソンホールでの講演(→僕の関連記事)と比較した大雑把な印象を。

経済成長見通しは基本的に変化ないものの、失業率の高止まりに重ねて触れている。"unemployment"という言葉が8月は7回だけだったのに、今回は31回も使われている。これは、高失業率=需給ギャップの継続を強く意識していることを意味し、物価に関する見通しが下方修正されていることと合わせて、デフレ・リスクに力点が置かれている。

物価に付いては、コアPCEデフレーターの低下傾向やその水準だけでなく、クリーブランド連銀が発表しているCPI刈り込み平均(9月前年比+0.8%)やCPI中央値(同+0.5%)にまで触れて、インフレ率の全般的な停滞への警戒を示している。
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構造的失業率に詳しく触れているのも今回の特徴だが、バーナンキの見解は失業率の上昇の大部分は構造的なものではなく、循環的な需要不足によるものだというもの。これは、金融緩和を含めた需要刺激策はより強力に、あるいはより長期間にわたって採られるべきだとの考えを示唆している。

そして恐らく今回の講演で彼が強調したかったのは、中盤以降の"The Objectives of Monetary Policy"というセクションじゃないかと思う。というのは、いわゆるデュアル・マンデートのうち物価安定に軸足をおいた議論をしており、インタゲ(的)政策に通じる意識が伺えるから。
FEDが示す失業率やインフレ率の長期見通しのうちインフレ率は中央銀行が決められるが、失業率は人口動態や構造的要因で決められるものだ、と述べている。
Although attaining the long-run sustainable rate of unemployment and achieving the mandate-consistent rate of inflation are both key objectives of monetary policy, the two objectives are somewhat different in nature. Most importantly, whereas monetary policymakers clearly have the ability to determine the inflation rate in the long run, they have little or no control over the longer-run sustainable unemployment rate, which is primarily determined by demographic and structural factors, not by monetary policy.

その上で、「FOMCの長期見通しよりも足下のインフレ率が低すぎる(too low)」とか、「失業率が高すぎる(too high)」、あるいは「足下のインフレ率のバッファーは低すぎる」「実質短期金利は高すぎる」という見解を述べており、デフレ・リスクへの警戒を明確に示している(細かい話だけど、"too low", "too high"をイタリック体で強調しているが、これも8月の講演では見られなかったこと)。

The longer-run inflation projections in the SEP indicate that FOMC participants generally judge the mandate-consistent inflation rate to be about 2 percent or a bit below. In contrast, as I noted earlier, recent readings on underlying inflation have been approximately 1 percent. Thus, in effect, inflation is running at rates that are too low relative to the levels that the Committee judges to be most consistent with the Federal Reserve's dual mandate in the longer run. In particular, at current rates of inflation, the constraint imposed by the zero lower bound on nominal interest rates is too tight (the short-term real interest rate is too high, given the state of the economy), and the risk of deflation is higher than desirable.

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ということは、8月の講演で4つの追加緩和策を行う条件として述べていた
a.デフレリスクが高まったとき
b.経済の著しい悪化が見られたとき
という2つのうち、デフレリスクが明確に述べられているので、QE2発動。

まぁ、確かに市場織り込み済みですけどねw

特に長期債券の追加購入の可能性が高いでしょうが、その”リスク”にわざわざ触れたのは、「QE2やってもインフレ期待を高めすぎないでね」というメッセージじゃないかと。

また、長期債券とは国債に限定していませんので。日経さんの(国債など)という追加表記は不要。

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前回公演の記事でも書きましたが、僕はバーナンキの経済見通しは楽観的すぎると思います。

彼は、家計の純資産は増加していて個人消費にプラスだと言っている。個人消費が低迷しているのは失業率が高止まっているためだと。
しかし、家計の債務負担はまだまだ大きくて、ホームエクイティローンの重しは当面続く。それが個人消費を押し下げ、雇用低迷の原因になっているんじゃないか?

そもそも、バランスシート調整が起きているんだから、雇用とか消費などのフローの背景にあるストック調整の動向にもっと力点をおいて分析するべきだろ~と思うんですけどね。

まぁ、FOMC議長にして大恐慌の専門家に対しておこがましい意見かもしれませんが、、、彼の経済見通しは因果関係が間違っていると思うんだけどなぁ。
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by guranobi | 2010-10-16 09:56 | 米国


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