2010年 08月 18日
さて、このような金融収縮は未だに米国家計に影響を与えていて、その1つがホームエクイティローン(HEL)。 可処分所得の11%程度に高まったHELの残高は足元では10%を切る程度にまで緩やかに減少した。が、このペースで減り続けると2014年いっぱいかかる。 HEL減少の影響は年率で可処分所得の1%程度に相当し、消費の抑制要因(貯蓄率の上昇要因)となっている。あと3年余りHELがこれまでと同じペースで減少し、一方で可処分所得が緩やかに拡大を続けるならば、14年末でHEL/可処分所得比率は5%程度に。 ま、これが有り得べきシナリオで、雇用が順調に増加したとしても実質的な所得(可処分所得+HEL)も個人消費も弱かろうと見ておくべき。 また、金融機関のHEL貸出は全業種にわたって削減中(右側)。 HELに関するもうひとつの大問題は地価下落に伴うネガティブ・エクイティであることはご存知の通り。 HEL残高を世帯数で除してCase-shillerと比較してみた。左上が全米のCase-shiller指数で、他3つはバブりが大きかったCA(SF、SD)とFL(Miami)。全米平均のCS指数と比較すると調整終了まで2012年くらいかなー、とも思えるが、代表的な3地域の地価と比較するとやっぱり2014年が目安になりそう。サブプラ、Alt-Aの中心がCA、FLであることを考えると、後者をメインで。 地価下落のスピードが急であったのに対してHELの減少ペースは遅い。仮に、Calculated Riskさんが言うとおりにここから地価が再下落するならばHELの減少期間が伸びるとともに、米金融機関への不安が再燃しかねず、市場へのインパクトは大きいだろう。 ABSが急減させた消費者信用だが、その一部は商業銀行が補っている(右側)。しかし、あわせてみれば大幅な削減。▲1177億ドル、約10兆円。年率じゃないっすよ!ABS削減のさらに一部を金融会社が補っているとしても▲686億ドル。 ただし、消費者信用は住宅バブルほどには膨らんでおらず、過去平均と比較しても特別に高いわけじゃない。なので、金融機関の与信姿勢によっては回復が早いかもしれない。自動車販売なども可能性がないわけじゃないかと。 最後に、3年前にDoblogでやったモーゲージ関連の資金フローをアップデート。なつかしい。。。 07年Q3から10年Q1までの変化量(単位:10億ドル)。
by guranobi
| 2010-08-18 23:02
| 米国
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