2010年 08月 18日
あと1ヶ月もすればFlow of Fundsが更新されるんですが、二番底が懸念されているらしいので。 たぶん、似たようなことはどこぞがやってると思いますが、確認のため。簡単に。 最初に各証券の保有者の推移。 下図は上が国債、下がエージェンシー債・GSE-MBS債。 左側は保有者別の推移、右側は増減(年率表示)。 米国債の保有は、残高でも足元のフローでもますます海外に依存している。ドル安の主因。 足元のフロー(右側)を見ると、まず国債増発の規模の大きさに目を引かれる。海外の購入は4割程度。後ほど見る他の証券と比べると、国内の投資家が軒並み買い続けている。特に家計はサブプラ以前はほとんど米国債に見向きもしなかったのに、今は主要な買い手。質への逃避ですね。 エージェンシー債とGSE-MBSについては、10年Q1に統計上の変更が行われたので分かり難くなっています(下の脚注参照)。フロー(右側)を見ると、過去2年間、Monetary AuthorityすなわちFRBがほぼすべての買い手となっており、かろうじて足元10年Q1に家計が買い手に回りました。その他の投資家は引き続き売り続けている。 その結果、FRBはエージェンシー債・GSE-MBSの最大のホルダーになりつつある(左下図)。 1月のMBS買い入れ停止は、MBS市場環境などを考えると早過ぎたんじゃないかなー。 ======================= 注: エージェンシー債とGSE-MBSについては10年Q1にデータの変更が行われています。具体的には、ファニメとフレディが発行したMBSのほぼすべてがファニメ、フレディのエージェンシー債に貸借ともに組み込まれました。両社からMBSとしてオフバラされていたものを統計上、オン・バランスに戻したのです。詳しくはFOFを参照されたし。 注: GSEとはGovernment-sponsored enterprisesの略で、実質国有化されたファニメとフレディ・マック、それにジニメィ、FHLBなどです。 エージェンシー債とはGSEなどが発行する債券で、以前は国債に準じる信用度が与えられていましたが、サブプラ危機を経て信用を失いました。ただ、ジニメィなどの信用が失われているとは思いませんが、マーケットの状況を確認していませんので、詳しいことはわかりません。 MBSとはMortgage backed securitiesの略で、不動産貸付(=Mortgage)を裏付けとした証券化商品です。GSE-MBSはGSEが証券化したMBSです。 ======================= 社債・外債の状況。FOFではこの2つは合算して計上されてます。 上が発行主体、下が保有者です。 非金融法人の社債発行はほとんど影響を受けずに増えている一方で、ABS発行体の社債が急速に減少している。ABS発行体(Issures of ABS)にはCDOやSIVなどのサブプラ問題のゴミ溜めが多く含まれているとみられる。ABS発行体が発行した証券・債務のうち満期が長めのものの償還が本格化しているのかもしれない。 これと対をなすように商業銀行の社債発行が増えているが、これはSIVやCDOのオン・バランス化が未だにつづいていることを示していると思う。 下段で社債・外債の保有者の状況を見ると、年金や保険、投信が買い手になっているが、この規模は非金融法人が発行している社債の規模とほぼ同じ。 FOFでは社債・外債として合算計上されているけれど、たぶんその中でマーケットは全く分断されている。 オンバラ化しているはずの商業銀行はネットで売り手となっており、依然として資産内容の再構築を迫られている。金融規制法への対応とともに、サブプラ処理のために。
by guranobi
| 2010-08-18 20:23
| 米国
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