グラの相場見通し

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2010年 08月 03日

天然ガス価格の動向 ④ 中国・ロシアの動向

また、JOGMECのレポートを引用させていただいて。

JOGMEC:中国:2010年エネルギー価格改革 ~天然ガス価格改革、新資源税試行~
中国は6月に天然ガス価格の改定を行った。平均+26%の引き上げ。インフレ圧力があるなかでのこの引き上げ幅は、たぶん事前の予想を上回る。中国のガス卸価格は輸入価格を下回っており、その差額は事業者(CNPC)が負担している。今回の引き上げは、近い将来のガス輸入急増に備えた処置でもあるハズ。

今回の卸価格の引き上げとガス市場価格の下落によって、中国での卸価格はほぼHenry Hubと同水準になった。しかし、著者によると中国の輸入価格はトルクメニスタンからのパイプライン、LNGともに高価格なので、まだ内外価格差はあるらしい。
だとすると、中国はロシアとのパイプライン輸入価格の交渉で譲れないだろう。輸入価格が高ければそれだけ国内の卸価格を引き上げなければならないが、それはインフレ圧力となるし、なによりも国民の不満のもととなる。また、原油価格等価よりも市場価格ベースのほうにこそ経済合理性がある。
天然ガス需要が急増する(している)中国は、今後さらにロシアからのパイプライン輸入に大きく依存せざるを得ない。長期的な影響の大きさを考えれば、軽々には妥協できない。

単なる損得問題以上に、政治の安定にかかわる問題なので中国が押し切ると思うが、どうだろう?

JOGMEC:ロシアから極東向けパイプラインが始動する
JOGMEC:中国:天然ガス不足への対応と近年発見された大型ガス田の開発状況

このレポートを読んでざっと考えると、

中国へのパイプライン供給は現在の計画に基づくと、既に完成しているトルクメニスタンからの第2東気西輸が拡張されて30bcm(2020年~)、ロシア西部から30bcm、東部(沿海州)から38bcmと、総計で2020年ころには100bcm規模に達する。

中国の天然ガス輸入は、ガス発電比率の上昇を勘案してWEO2009の予測を修正すると、2015年で70bcm、20年で200bcmに達すると見込まれる。(WEO2009年は中国のガス需要を07->30年平均+5.3%と非常に低く見ており、もともと現実的ではなかった。同予測では、15年輸入 40bcm、 20年 50bcm)。20年時点輸入200bcmのおよそ半分はロシア、トルクメニスタンからのパイプライン輸入が賄う計算に。
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08年の欧州の天然ガス輸入が、地域内取引を除いたネット輸入ベースで260bcmであることを考えると、中国は2010年代後半から急速に天然ガス貿易市場でプレゼンスを高めることになる。
IEA予測(WEO2009)では2030年での欧州の天然ガス輸入は400bcmと見込まれているが、中国は遥かにそれを上回る500bcm程度に達し、圧倒的な輸入国になる。


長期的に中国はロシアからのパイプライン輸入に依存せざるを得ない。一方のロシアは、日本のLNG更新は豪州でほぼ手当済み、韓国もある程度抑えている模様なので、中国の需要なくしては東シベリアのガス開発は進まない。
つまり、中露は東シベリアのガス開発に関して相互依存関係にある

中国がガス発電比率を2020年までに10%に引き上げると発表したのは、需要家としての自らの価値をロシアにアピールする狙いもあるだろう。
問題は価格に絞られているが、ロシアが主張する原油等価であれ、中国が求める市場価格ベースであれ、両者が妥協してパイプライン建設が進むと見るべきだろう。

なお、ロシアの欧州向けパイプラインはノルト・ストリーム、サウス・ストリームが稼働することを前提に引き続き欧州のガス輸入の6割を賄う見込み。
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by guranobi | 2010-08-03 22:13 | energy


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