2010年 07月 24日
最初に過去の推移を振り返る。 ちなみに、特別会計には踏み込んでません。あれは、一般会計と税外収入が複雑に入り組んでいてど素人には扱えませんし、埋蔵金があっても基本的にはストックベースで一時的。 また、郵貯や簡保をはじめとする財投で数十兆から数百兆は”溶けて”いると思われる不良債権を無視して、含み益だけに眼を向けるのはフェアじゃない。政治的には正しい戦略かもしれませんが。 以下の資料などを参考にしましたが、難しいことはよくわからないので、データやグラフを拝借した程度です。 慶大:所得税の税収変動要因と税収調達能力の分析 森信・前川:わが国所得課税ベースのマクロ推計 跡田・橋本・前川・吉田:日本の所得課税を振り返る 一般会計の歳入と歳出の内訳。GDP比率。 左図が歳入の内訳で、オレンジ色の折れ線は歳出、水色の折れ線は利払費を除く歳出。 水色の折れ線と面グラフの差が基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)となります。 S63年(1988年)に消費税が導入されたにもかかわらず、それ以降、税収等のGDP比率は低下を続けている。これは、消費税と相殺するように所得税が減少していることが一因。消費税導入時と3→5%引き上げ時に大幅な所得減税が行われた他、社会保険料負担の増加や恒常的なGDPギャップによる課税ベースの縮小、名目所得の減少に伴う”自然減収”などから所得税は減少した。現在、日本の所得税負担は他国と比較しても極めて低くなっている。 歳入面で重要なことは、税収等・税外収入を含めた歳入は、S30年代から概ね名目GDPの12-13%程度で推移しており、仮に今後デフレから脱却し経済が順調に成長したとしても、税制変更がない限りはこれを超えないと見込まれること。 これに対して右図は歳出の内訳。データの都合で、S40からです。 歳出はS45年あたりからGDP比率で上昇し、第1次オイルショック(S48)で歳入が急減したのちも拡大し続けた。S45→S58の上昇幅を見ると、社会保障関係費+1.8%p(うち社会保険費=年金・医療が+1.3%)、公共事業費+0.8%p、地方交付税+0.9%pとなっていて、福祉の充実とともにバラマキが本格化した角栄の時代。 これ以降の歳出のGDP比は上下はあれど、概ね15-18%程度の水準に収まってきた。それが麻生政権での2度の補正によって22%に急増し、民主政権のH22会計年度でも19%の水準にある。 H23年度についても、管政権は国債費を除く歳出を前年の71.7兆円に対して71兆円以下と、ほとんど減らさない(減らせない)状況なので、やはりGDP比19%に留まる。 ここで重要なのは、歳入が順調に回復しても12-13%なので、年間の財政赤字は6-7%程度となること。利払費のGDP比率は低金利が続くとしても現在の2.0%からじわじわと2.5%くらいまで上昇する程度なので、プライマリーバランス(PB)は3.5-5%。 すなわち、民主党のバラマキが続く限り、たとえ税収が回復しても(それはデフレ下では非常に難しい)、日本財政は着実に破綻に向かうわけ。 ちなみに、今の消費税収はGDP比2.0%程度なので、PB3.5-5%は消費税9-12.5%に相当→消費税率14-17.5%。 5%引き上げて10%にしても足りませんw ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ さて、S40年代半ば以降、GDP比で膨らんだ歳出が減った時期が2つある。S50年代後半と、H10年代半ば。それぞれ中曽根政権と小泉政権という近年稀な長期政権です。 歳出GDP比の個別項目の推移を見てみる。 両政権ともに公共事業を始めとして、社会保険以外の社会保障関係費や文教科学振興費などの裁量的支出項目を幅広く削減している。 特に小泉政権下での一般会計の歳出削減は”凄まじい”。削減をまぬがれたのは社会保険費、生活保護費、住宅市街地対策費、国防費などのごく一部で、他は軒並み30-50%もの削減の憂き目に。三位一体改革にも拘らず地方交付税がほとんど減っていないのは意外だが。 項目移し替えといったテクニカルな要因もあるのかもしれないが、「増税してくれというまで削れ!」という小泉の言葉が怖いw 流石は酷薄宰相。
by guranobi
| 2010-07-24 21:42
| 日本経済
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