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グラの相場見通し

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2010年 07月 12日

タイヤ市場 ⑥ 中国のタイヤ市場

中国の自動車保有はどの程度まで伸びるのでしょうか?
JAMA:世界各国の四輪車保有台数(2007年)
によると、2007年時点での自動車保有は乗用車が3200万台、商用車が1000万台程度。
中国の世帯数は4億戸弱なので、商用車を含めた普及率は11%程度、乗用車のみの普及率は8%程度となります。足下の自動車販売の急増を勘案すると乗用車の世帯普及率は13%程度でしょう。

でね、日本の自動車の普及率を参考に、以下のような数字を置きました。2020年で世帯普及率50%。
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乗用車保有が2.5億台、商用車0.5億台、あわせて3億台が大まかな目安になるんじゃないかと。

ここで、自動車の廃車年数(耐用年数)が10年と仮定すると、年間の自動車生産台数は3000万台。
たぶん、中国の自動車生産は3000-4000万台程度がとりあえずの目標値。これに近づくと、過剰生産能力が問題になるか、あるいは中国の自動車輸出が本格化する。たぶん、後者かな。

続いて、タイヤ。主なデータソースはUSITC "Certain Passenger Vehicle and Light Truck Tires From China"です。
タイヤ市場には新車用(OE)のタイヤと買い替えタイヤ(REP)の2種類の需要があり、それぞれ新車生産と自動車保有台数が決定的に重要なファクターです。

タイヤの買い替えが4年で発生すると仮定すると、自動車保有と同程度、すなわち年間3億本のREPタイヤ需要が発生する。一方でOEはタイヤ生産台数*4 = 1億本の需要。あわせて2020年でのタイヤ国内需要は4億本です。

中国は世界最大のタイヤ輸出国で、2009年時点で年間1.3億本を輸出している。年間+5%程度で緩やかに伸びると仮定しても、2020年での輸出は2億本。

つまり、2020年での中国のタイヤ生産は、OE1億本、REP3億本、輸出2億本の計6億本。2009年の2.6億本から2.3倍になる。
現在のタイヤ生産のうちおよそ60%が輸出に振り向けられているが、足下の自動車生産と同様にOEが2013年まで急増し、その後、OEは伸びが急速に鈍化する。代わって、REP用需要が盛り上がり、結果、タイヤ需要は2020年まで持続的に伸び続ける。年平均伸び率は+9~10%程度。
タイヤ市場 ⑥ 中国のタイヤ市場_b0165963_17265659.jpg


乗用車の世帯普及率が2020年で50%というのは高すぎるかもしれないが、一方でタイヤ輸出の伸びが年率+5%というのはたぶん控えめだし、ここでは自動車輸出を全く想定していない。中国でのタイヤ需要はこの想定と大きな違いはないと思う。

ということは、タイヤ生産能力が不足する。2004-2007年に中国の自動車用タイヤの生産能力は大幅に拡充されたが、それと同程度のペースで生産能力拡大が続くことになる。たぶん生産能力の拡充はいくつかの波が生じるだろうから、その規模は2004-2007年を大きく上回るだろうし、おそらくはすでに始まっている。
タイヤ市場 ⑥ 中国のタイヤ市場_b0165963_17493696.jpg


とりあえず以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。たぶん、また暫く潜ります。

by guranobi | 2010-07-12 21:53


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