グラの相場見通し

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2009年 12月 30日

WEO2009から・・・おまけ

石油が足りない、ということについてちょっと追加を。

2005年以降、ずっとWEOで書かれていた埋蔵量別の石油生産コストの推計の図表が今回のWEOではなくなっています。
WEO2008の図表はこれです。

2009年エネルギー白書:第3節 原油価格下落による上流事業への影響 2.上流事業の現状
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Producedは既生産分で、MENAが中東・北アフリカ。

ここで、石油やガスの埋蔵量について、WEO2008のp204あたりから丸写しすると。。。
資源の賦存量(Resource)と可採埋蔵量(Reserves)があって、人間が使えるのは可採埋蔵量です。
その可採埋蔵量は、”存在の確からしさ”によって1P, 2P, 3Pの3段階に分かれています。
1P(Proved)・・・既発見の可採埋蔵量と、確率90%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量
2P(1P+Probable)・・・1Pと、確率50%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量
3P(2P+Possible)・・・2Pと、確率10%以上で存在するとされる未発見の可採埋蔵量

可採埋蔵量とは”商業ベースに乗る”という意味なので、市場価格が上昇すれば可採埋蔵量も増加します。また、回収技術が向上すればやはり増加します。例えば水平リグなど。現在一般に想定されている原油の回収率は35%程度らしいので、65%は地中に残されると想定されているわけです。

通常使われている可採埋蔵量は1Pの1.2兆バレルで、年間生産300億バレルで割ると40年。

そして、この図で示されているのは2P(Proved + Probable)だと思います。WEO2008では2.4兆バレル。この図のMENAとその他の合計に相当する。
で、これ以外にEOR(Enhanced Oil Recovery)や深海、北極圏、さらにはオイル・シェールや液化(GTL、CTL)を含めると8兆バレルも残ってますよー、という意味です。

重要なのはEORや深海、北極海よりも、本当に中東北ア(MENA)に1兆バレル超もの低コストの原油が眠っているのか、ということだと思います。
僕はこのデータをもとに「中東の低コストの原油が採掘されないのはおかしくね?」と言っているわけですが、中東に1兆バレルの原油が眠っていなかったら話の前提が覆るw

この分析は主にUSGS(米地質研究所)の調査結果WORLD PETROLEUM ASSESSMENT 2000に基づいたものです。

USGSの別の分析によると、石油の埋蔵量の増加はASSESSMENT 2000で想定されているペースを下回っている。
An Evaluation of the USGS World Petroleum, Assessment 2000—Supporting Data
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1995年から25年までの30年間の埋蔵量増加の予想数値に対して、96-2003年の8年間で実際にどれだけの埋蔵量が増えたかを検証したもの。
期間で按分すれば、27%が実現していれば予測値は当たっていることになる。

その結果は、既存埋蔵量の増加分は石油が予測値の28%、天然ガスが51%が達成されているのに対して、新規発見は石油が11%、天然ガスが10%しか達成されていない。
両者を合わせると、天然ガスの発見ペースは予想を上回っているのに対して、石油は下回っている。予想されたほどには石油の埋蔵量は増えていない、、、すなわち2Pの数値は高すぎるんじゃないか?という疑問が出てくるわけです。

加えて、WEO2009でこの表が消えたのは、ちょっと気になるw
まー、石油の分析そのものがほとんど無くなっているし、市場価格も変動しているし、鉄鋼などの原材料をはじめコストの変動も大きいので、コスト分析が難しかったのだろうとは思うのですが。。。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

これに対して、WEO2009は天然ガスに相当に大きな注力を払っています。

詳細はお読み頂くとして、現在、1Pは180tcmで年間消費3tcmに対して60年の可採年数があるわけですが、2Pはさらに巨大です。コンベンショナル・ガス(従来型の天然ガス)だけで405tcm、ノン・コンベンショナル・ガス(タイト・ガス、コールベット・メタン=CBM、シェール・ガス)を加えると785tcmという膨大な数値になります。
可採年数261年www

その組成パターンから天然ガスは石油よりも深い地層に埋蔵される傾向にあり、これまで開発が進んでいなかったとされること、近年、トルクメニスタン、ブラジルなどで大型ガス田が発見されていること、北米のシェール・ガス生産が本格化し、ノン・コンベンショナル・ガスの採掘コストが低下していること、その結果、欧州でもシェール・ガス調査が本格化していること、などはいずれも、ガスの巨大な埋蔵量の可能性を強めている。

尚いいのは、ガスはCO2削減に役立のみならず、CO2の話を除いても経済的な競争力があることです。
それだけ、安心して取り組むことができるんじゃないかと思います。
また、ガスを本格的に輸送用に使うようになると、この可能性はさらに広がることになるでしょう。

余談でした。
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by guranobi | 2009-12-30 10:35 | energy


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