グラの相場見通し

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2009年 08月 21日

石油価格について・・・③

次のグラフはEUのエネルギー供給についての提言、Green paper 2000から引用したグラフに私が手を加えたものです。世界の石油生産コスト(緑色のグラフ)をどうやって計算したのかの説明は全くありませんが、、、まぁ、このグラフがある程度正しいものだとして、重要なのはその形状です。
累積の生産量が高まるにつれて緩やかに生産コストが高まっているけれど、最後にコストが急激に跳ね上がっている。
ピンク色の矢印を私が書き加えましたが、これはOPECの余剰生産能力をイメージしています。EIAの短期予測によれば、OPECの余剰生産能力は2009年は日量400万バレル、2010年には500万バレルと見込まれています。最近の最低水準は2005年の100万バレルなので、まぁ、OPECが裁量的に操作できる生産の幅は400万バレル程度かなーということで。
この石油生産コストのグラフがある程度信頼できるものならば、OPECは自らの余剰生産能力を活用してかなりの程度価格を操作できることを示していると思うんですよね。
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もし、OPECが石油価格への決定権を持ってなくて、石油市場が完全競争的に決まっているのならば、OPECはその生産能力をフルに活用するはず。あるいは、川上投資を積極的に行いより安い石油を供給するはずです。つまり、生産曲線(限界費用曲線)は右にシフトし、価格はかなり低い水準まで下落するんじゃないか?
でも、そうはなってない。OPECは極めて大きな価格影響力を保持していると考えるべきです。

ちなみに、”D”とつけた青線は石油の需要曲線のイメージです。石油は1次エネルギーの根幹であり、陸海空運の燃料として代替が難しい。そのため、石油価格の変動によって需要が影響を受けることが少ない、すなわち需要の価格弾力性が小さい商品です。そのため、需要曲線は垂直に近い形状をしていると考えられます。
これについては、すぐ後で。

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ここで興味深いレポートを。
JOGMEC: 実は安い上流コスト 1 バレル30 ドルの油価でも問題なし?!
この著者は、ストリッパーウェルと呼ばれる日量10バレル以下の零細な米国の生産者の生産コストを分析し、その限界コスト(採掘のみのコスト)は30ドル以下であること、需給が緩むなかで原油価格はこのコスト以下まで下落しうることを述べています。

しかし、残念ながら実際はそうなっていない。そして、たぶんならない。
なぜなら、需給の緩みを吸収するのはこのような生産コストが比較的高い零細生産者ではなく、生産コストが低いOPECだからです。

OPECにとっても、そのような需給調整は利益にかなうことだと思います。

上のグラフで石油の需要曲線を描きました。石油の需要の価格弾力性は小さいので、需要曲線は垂直に近いものと思われます。ここで、石油の需要が減少した時、すなわち需要曲線が左にシフトしたとき、価格の下落は大きなものとなるでしょう。実際に原油価格は一時的に30ドル台まで下落しました。もしOPECが減産しなければ、JOGMECのレポートが指摘する通りに30ドルあるいはそれ以下まで下落し、その水準に暫くとどまっていたでしょう。

価格が半値になるよりも、▲7%程度の減産を受け入れたほうがOPECの石油収入は大きくなります。
なので、減産して価格を押し上げた。OPECにしてみれば当然の、合理的判断ですね。
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by guranobi | 2009-08-21 00:46 | energy


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